【心の在り方から見る経営③】チームにおける建設的な合意は機能しているか?
経営課題の源泉は経営者の心の在り方にある
組織課題の源泉は構成員の心の在り方にある
ゆえに課題への根本的な解消は常に内面の変容を伴う
これは10年近く経営戦略コンサルタントを勤めてきた私が確信したことです。これは私がコーチングをやっていることの大きな理由の一つです。私がなぜこのようなことを考えるに至ったのか、あるいは、コーチとして経営というものをどう観察しているのかの一端をnoteで連続してお伝えしたいと思います。第3回は意思決定の質を担保するための合意プロセスを形成しようという話です。
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経営チームに建設的な合意プロセスはあるか?
私の言う建設的な合意プロセスとは、話し手が提案する事案について、聴き手が内容・背景共に十分理解した上で議論を尽くし、腑に落ちた方向性にて合意する一連のプロセスを示す。具体的にはこちらのスライドでご確認いただきたい。
建設的な合意のプロセスは感知→表明→土台整備→合意形成の4つで構成されている。通常、合意プロセスというのは4つ目の合意形成のための議論を指すと捉えられがちだが、それは違う。拙速に合意形成のための議論を進めようとすると、実は非建設的な合意プロセスになりがちなのである。
会議において、話し手が語った提案内容を表面的に受け取って是非を論じようとしたり、半分決めつけたような形で切り捨てたりする場面を見たことはないだろうか?そのような反応をする聴き手は往々にして、話し手が意図している前提や価値観、また内容それ自体の詳細を理解しようとする姿勢に欠けており、表面的な内容でしか物事を判断する姿勢を持てていない。
だから、話し手には議論が尽くされず切り捨てられたという印象が残る。話し手が落胆し、傷つくだけでなく、表面的な内容で決めつけをする人間が経営チームにいる場合、当然その経営チームの意志決定の品質は担保できないのは明白だ。
以下で、非建設的な合意形成の一例を示してみよう。4つのプロセスでいう表明が欠けたプロセスだ。これはどの組織でもあるあるではないだろうか。
まず一つには、聴き手が話し手の語りの内容に違和感を抱いても、その違和感の表明を避けてしまうケースだ。以下のスライドを見ていただきたい。
このケースでは明らかに本当の意味での対話は行われていない。その場をやり過ごし、議論を避ける姿勢のチームで良い意思決定ができるはずもない。
二つ目は過度に話し手が強引なケースだ。話し手は常に、自分は正しく、相手が間違っているという妄想に支配されている。その心理的な要因は負けず嫌いだったり、過度な攻撃性、対抗意識だったりする。このような態度に出られると建設的な合意は困難だ。
建設的な合意のプロセスを崩壊させるパターンは他にも無数にあり得るだろう。ただその本質的原因は常に、感知→表明→土台整備→合意形成の4つのプロセスが成立していないことにあると言って差し支えない。
建設的な合意のプロセスを以下に示しておこう。
このような要件が具備されているかどうか、経営会議の品質を振り返ってみることをおすすめする。
なお、建設的な合意のプロセスの要件は、心理的安全性の乏しさと個々人の感情の作用によって脅かされる傾向があることに注意されたい。具体的には以下のようなことだ。
最後に、プロセス改善に向けて一人ひとりが向き合うことを推奨する自己点検ポイントをあげておこう。大事なのは、自分自身が建設的な合意のプロセスを阻害している一要因であることを自覚することだ。原因の外部化(結局、アイツが悪いんだという発想)こそが、建設的な合意のプロセスを破壊する主たる要因だからだ。
以上、参考にしていただきたい。
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