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【自社の競争優位性分析フレームワーク】ファイブフォース分析解説

プロローグ

ファイブフォース分析は、マイケル・ポーター教授によって開発された競争戦略分析フレームワークです。これは、業界の競争状況を理解し、企業の競争力を高めるための戦略を立案する際に役立ちます。

本フレームワークも使い古されたフレームワークであり、戦略立案プロジェクトや事業計画立案時等のビジネスの現場でファイブフォース分析結果を示すと、「未だにファイブフォース分析なんかやるのか、芸がないねぇ。でも、出発点として最低限やっておく必要はあるよね」という反応なり、ビジネス意思決定の衛生要因を満たす(足切り・予選落ちにならない)という意味では、使うことが有効です。

使い古されたフレームワークを使う意味は、下記にも記載しています。

ファイブフォース分析解説

ファイブフォース分析には、以下の5つの要素が含まれています。

  1. 業界内の競争(競合他社)

  2. 新規参入の脅威

  3. 代替品・サービスの脅威

  4. 顧客の交渉力

  5. 供給者の交渉力

では、これらの要素を具体的な分析例とともに説明しましょう。

例として、スマートフォン市場を考えます。

業界内の競争(競合他社):
スマートフォン市場では、Apple、Samsung、Huawei、Xiaomiなどの大手企業が競争しています。競争が激しいため、新製品の開発や価格競争が常に行われています。この要素を分析することで、自社の競争優位性を理解し、市場でのポジションを強化するための戦略を立てることができます。

新規参入の脅威:
スマートフォン市場に新たな企業が参入する際の障壁は、開発費やブランド力、販売チャネルの確立などが挙げられます。新規参入者が市場に参入しやすいほど、競争が激化し、自社の収益が圧迫される可能性があります。新規参入の脅威を把握することで、これらの障壁を強化し、自社の地位を守る戦略を立てることができます。

代替品・サービスの脅威:
スマートフォンの代替品として、タブレットやスマートウォッチ等が考えられます。これらの製品がスマートフォンと同等の機能や価格で提供されると、スマートフォンの需要が減少する可能性があります。代替品・サービスの脅威を理解することで、自社製品の独自性や競争力を強化する戦略を立てることができます。

顧客の交渉力:
スマートフォン市場では、消費者は多くの選択肢を持っています。そのため、消費者は価格や機能、デザインなどを比較し、自分にとって最適な製品を選ぶことができます。顧客の交渉力が高いほど、企業は顧客のニーズに応えるために価格やサービスを改善する必要があります。顧客の交渉力を理解することで、顧客満足度を向上させ、リピート購入や口コミによるブランド力向上を目指す戦略を立てることができます。

供給者の交渉力:
スマートフォン製造には、多くの部品や素材が必要です。これらを供給する企業との交渉力が、製品の原価や品質に影響を与えます。供給者の交渉力が高い場合、企業はより高い原価で部品を調達する必要があり、製品価格の競争力が低下する可能性があります。供給者の交渉力を分析することで、リスクを回避し、コスト削減や良い条件での調達を目指す戦略を立てることができます。

これらの5つの要素を総合的に分析することで、スマートフォン市場における自社の競争力を評価し、市場での地位を強化するための戦略を立てることができます。ファイブフォース分析は、どの業界にも適用できるため、業界分析の基本として理解しておくと役立ちます。

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「戦略立案フレームワーク」をイメージ

ファイブフォース分析結果を活用して競争戦略を立案した事例

ファイブフォース分析フレームワークで分析した結果を活用して、競争戦略自体を立案することが重要です。Netflixがエンターテイメント業界でファイブフォース分析を活用した競争戦略を立案したケースを紹介します。

業界内の競争(競合他社):
Netflixは、従来のテレビ放送やケーブルテレビ、他の動画配信サービスと競合しています。Netflixは、独自のオリジナルコンテンツを制作し、競合他社と差別化を図ることで市場シェアを拡大しています。

新規参入の脅威:
動画配信市場への新規参入が容易であり、Amazon Prime VideoやHulu、Disney+などの競合が増えています。Netflixは、オリジナルコンテンツへの投資を続けることで、新規参入者に対抗しています。

代替品・サービスの脅威:
Netflixの代替品として、従来のテレビや映画館、DVDレンタルなどが考えられます。Netflixは、定額制の料金プランや高画質ストリーミング、多様なデバイス対応などで、これらの代替品・サービスに対抗しています。

顧客の交渉力:
顧客は、多くの動画配信サービスから選択できるため、顧客の交渉力が高いと言えます。Netflixは、豊富なコンテンツラインナップや利便性の高いサービス、独自のアルゴリズムによるおすすめ機能などで、顧客満足度を高めています。

供給者の交渉力:
コンテンツ制作や配信において、制作会社やインフラプロバイダーとの交渉が重要です。Netflixは、独自の制作会社を持つことで、供給者に対する交渉力を強化し、コストやコンテンツの品質を管理しています。

これらのファイブフォース分析をもとに、Netflixは競争戦略を立案し、業界での地位を確立しました。オリジナルコンテンツの開発や定額制料金プラン、利便性の高いサービスなど、独自の競争優位性を持つことで、競合他社や新規参入者に対抗し、市場シェアを拡大しています。この事例から、ファイブフォース分析を適切に活用することで、企業が競争力を向上させ、成功につなげることができることがわかります。

Netflixは、この分析結果をもとに以下の競争戦略を立案しています。

オリジナルコンテンツの開発:
Netflixは、独自のオリジナルコンテンツを制作することで、競合他社との差別化を図り、顧客の関心を引くことに成功しました。2021年度のコンテンツ製作予算は170億ドル(約2.3兆円)です。対比して、NHKの年間支出額は、2023年度で約6,700億円です。これにより、他の動画配信サービスとの競争を勝ち抜くことができました。

国際展開:
Netflixは、世界中の市場に進出し、地域ごとのコンテンツニーズに対応することで、幅広い顧客層を獲得しています。さらに、地域オリジナルコンテンツの制作にも力を入れることで、地域市場での競争力を高めています。

テクノロジーの活用:
Netflixは、独自のアルゴリズムを開発し、個々の顧客に最適なコンテンツをおすすめすることで、利便性を向上させています。また、高画質ストリーミングやオフライン再生機能など、最新の技術を取り入れることで、サービス品質を維持しています。

パートナーシップ戦略:
Netflixは、インターネットサービスプロバイダーやデバイスメーカーとの提携を通じて、サービスの普及と利便性の向上を図っています。例えば、スマートテレビやゲーム機などのプリインストールアプリとしてNetflixが提供されることで、顧客獲得のチャンスを増やしています。

このように、ファイブフォース分析を用いて競争状況を把握し、戦略を立案することで、Netflixはエンターテイメント業界で成功を収めることができました。企業は、このような分析を活用して、自社の競争力を向上させ、市場での地位を確立することが可能です。

サマリ

ファイブフォース分析の下記5つの要素を分析することで、自社の競争力を評価し、市場での地位を強化するための戦略を立てることができます。

  1. 業界内の競争(競合他社)

  2. 新規参入の脅威

  3. 代替品・サービスの脅威

  4. 顧客の交渉力

  5. 供給者の交渉力

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