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【自社の競争優位性分析フレームワーク】VRIO分析解説

プロローグ

戦略立案のためのフレームワークは、SWOT/3C+3S/STP+4P/5Force等数多くあります。真実に至る道は一つではありませんし、分析対象が同じであっても、異なる分析手法を用いるほうが、検証を行える仮説が増えるので、より早く正解にたどり着けるでしょう。

この意味で、使える分析フレームワークの数を増やしておくことは有用です。仮説立案力を高めるためには、自分が使える料理道具を増やしておくことが有効であることは、下記にも記載しました。

戦略立案フレームワークの一つである、VRIO分析を解説します。VRIO分析は、企業内部の経営資源に競争優位の源泉を求めるアプローチであるRBV(リソース・ベースト・ビュー)の代表的なフレームワークです。

昔からある使い古されたフレームワークであっても利用価値があることは下記に記載しています。


VRIO分析フレームワーク

VRIO分析は、企業が競争優位を構築し維持するために必要な戦略的リソースを評価するフレームワークです。VRIOは以下の4つの要素に分けられます。

1.Value(経済的価値):自社が保有するリソースが顧客に価値を提供し、競合他社と差別化できるかどうか?

2.Rarity(希少性):自社が保有するリソースが、競合他社に比べて希少であるかどうか?

3.Inimitability(模倣困難性):競合他社が簡単に、自社が保有するリソースを模倣できないかどうか?

4.Organization(組織化):自社がリソースを効果的に活用し、価値を創出できる組織能力を持っているかどうか?


VRIO分析の実例

分析具体例: 例として、スマートフォン業界で独自の技術を持つブラウン社(架空の企業です)を考えましょう。

1.Value(経済的価値):ブラウン社の独自技術は、消費者に高速で効率的なスマートフォンを提供することで価値を生み出しています。これにより、顧客は企業ブラウン社のスマートフォンを競合他社の製品よりも選びやすくなります。

2.Rarity(希少性):ブラウン社の独自技術は特許取得済みであり、他社には容易に入手できません。そのため、この技術は希少性が高く、競合他社が持っていないリソースとなります。

3.Inimitability(模倣困難性):特許取得済みの技術は競合他社によって簡単に模倣できません。また、この技術は研究開発に多大な時間と労力がかかっており、他社が追いつくことは困難です。

4.Organization(組織化):ブラウン社は技術開発チームを持ち、効果的な技術開発と製品開発が行われています。これにより、独自技術を活用して価値を創出し、競争優位を維持できます。

このVRIO分析を通じて、ブラウン社は独自技術を用いて競争優位を維持できることがわかります。企業はこれらの要素を考慮して、自社のリソースを最適に活用し、競争力を高める戦略を立てることができます。

Stable Diffusionで生成・ベラスケス風 
VRIO分析をイメージ


VRIO分析結果を活用した戦略立案例

例えば、ブラウン社は以下のような戦略を考えることができます。

1.マーケティング戦略:独自技術を活用した高速で効率的なスマートフォンの特徴を強調し、消費者にその価値を理解してもらうようなマーケティングキャンペーンを展開します。

2.開発戦略:研究開発部門にさらなる投資を行い、技術の進化を継続し、競合他社が追いつけない独自技術を維持します。

3.提携戦略:他の企業や業界と提携し、独自技術を活用した新たなビジネスチャンスを探求します。これにより、さらなる市場拡大が期待できます。

4.人材戦略:優れた技術開発チームを維持するために、優秀な人材の採用や育成に力を入れ、組織の能力を維持・向上させます。

このように、VRIO分析を用いて企業の競争優位を評価し、それに基づいて戦略を立てることで、市場での成功確率を高めることができます。基本的に、VRIO分析で明確にした企業が保有するリソースの優位性を強化する・弱みを補う戦略を立案するイメージです。

Stable Diffusionで生成・ベラスケス風 
VRIO分析をイメージ

VRIO分析を新卒に教えるとしたら

経験豊富なレッド部長が新卒ブルーさんに、VRIO分析をわかりやすく説明するとしたら、下記となります。

レッド部長:ブルーさん、VRIO分析について聞いたことある?

ブルーさん:うーん、ちょっと聞いたことあるけど、よくわからないです。

レッド部長:大丈夫、わかりやすく説明するよ。まず、VRIOはValue(経済的価値)、Rarity(希少性)、Inimitability(模倣困難性)、Organization(組織化)の頭文字を取ったものだよ。これらの要素を考慮して、企業の競争優位を評価するんだ。

ブルーさん:ふむふむ。でも、それってどういう意味なんですか?

レッド部長:例えば、サッカーチームを考えてみて。そのチームが強いかどうかを分析するために、以下のような要素を見ることができるよ。

  1. Value(経済的価値):選手たちの技術や戦術が、相手チームに対して優位に立てるかどうか。つまり、得点を決める力や守備力があるか。

  2. Rarity(希少性):チームが持つ技術や戦術が、他チームと比べて珍しいかどうか。例えば、独自の戦術を持っているか。

  3. Inimitability(模倣困難性):他チームが簡単に真似できない選手や戦術を持っているか。例えば、特別なスキルを持つ選手がいるか。

  4. Organization(組織化):チーム全体でそれらの要素を活かし、勝利に結びつける能力があるか。例えば、監督やコーチが適切な指導ができているか。

ブルーさん:なるほど、サッカーチームの例で考えるとわかりやすいですね!

レッド部長:そうだね。ビジネスにも同じ考え方が適用できるんだ。企業が競争優位を持つためには、以下のような要素を見ることができるよ。

  1. Value(価値):企業が提供する製品やサービスが、顧客にとって価値があるものであるか。つまり、顧客が求めているものを満たしているか。

  2. Rarity(希少性):企業が持つ技術や戦略が、競合他社と比べて珍しいものであるか。例えば、特許を持っている技術があるか。

  3. Inimitability(模倣困難性):他社が簡単に真似できない技術や戦略を持っているか。例えば、独自のノウハウや秘密のレシピがあるか。

  4. Organization(組織化):企業全体でそれらの要素を活かし、利益に結びつける能力があるか。例えば、適切な経営戦略や人材育成ができているか。

ブルーさん:確かに、企業の競争優位を評価するためにも、VRIO分析が役立ちそうですね。

レッド部長:そうだね。VRIO分析を使って、自社の強みや弱みを理解し、競争力を向上させる戦略を立てることが重要だよ。君もこれからビジネスの現場で活躍するために、ぜひVRIO分析を習得しておいてね。

ブルーさん:分かりました!レッド部長、ありがとうございます!

サマリ

筋がいい仮説を早期に大量に立案できれば、正解に早くたどり着くことができます。戦略立案のためのフレームワークは、多く知っておくことは有用です。

企業内部の経営資源に競争優位の源泉を求めるRBV(リソース・ベースト・ビュー)の代表的なフレームワークVRIO分析では、下記4つの要素で分析を行います。

  1. Value(価値):リソースが顧客に価値を提供し、競合他社と差別化できるかどうか。

  2. Rarity(希少性):リソースが競合他社に比べて希少であるかどうか。

  3. Inimitability(模倣困難性):競合他社が簡単にリソースを模倣できないかどうか。

  4. Organization(組織化):企業がリソースを効果的に活用し、価値を創出できる組織能力を持っているかどうか。

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