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古代ローマ人のパクリ疑惑を現代の問題解決に活かす

シリーズ累計500万部を突破する人気コミックの「テルマエ・ロマエ」。阿部寛さんをはじめ、市村正親さん、北村一輝さんや宍戸開さんといった濃い顔の日本人がローマ人役で出演されて映画化されたので、ご存知の方も多いかと思います。

時は五賢帝の1人として知られる皇帝ハドリアヌスの時代。

古代ローマの浴場設計技師ルシウスが、なぜか、時々現代の日本にタイムスリップ。銭湯や温泉で得たヒントを基にテルマエ(浴場)を設計するという奇想天外なストリーです。

映画の途中で、主人公のルシウスが「自分は単なるモノマネではないか」と悩むシーンがありました。つまり、ローマで人気になった彼のいろいろなアイデアは、自分で考えたものではなく、「平たい顔族(日本人)が使っているものを単純にぱくっただけではないか」という訳です。

会社においても、特にまじめな経営者の中に、「他社でやっていることを真似したくない」「オリジナリティのある仕事をしたい」ということで、他から学ぶことを拒んでいる人がおられます。

もちろん、どこかの国のように、表面的なことだけ真似して、粗悪品を乱造するのは論外です。

しかし、

・目の前に困っている人がいる
・現実に解決すべきニーズがある

時に、自社のやり方や技術にこだわって自分独自のアイデアに固執することは、かえって大きなビジネスチャンスを逃すことになります。

たとえ、使っている技術そのものが自社開発のものでなくても、技術と新たなニーズを結び付けることは立派な商売です。そして、真似して成功するには技術とニーズの両方に対して、物事の本質を見極める目が必要であり、組合せにこそオリジナリティがあります

特に昨今は一つの問題に対して解決方法が無数にある時代。新たな問題を見つけることができたら、目利き力を活かし、他社の力も借りながら、柔軟かつ迅速に問題解決への道筋をつけることが肝要です。

古代ローマが発展した理由の一つは、属州に対するゆるやかな統治であったと言われています。たとえ勝者であっても、敗者からも謙虚に学ぶ姿勢がローマ帝国繁栄に基礎にあったのではないでしょうか。

「自分は何でもできる」と考え、他者を否定してオリジナルにこだわるのは、自立ではなく、孤立につながります。


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