見出し画像

使い続ける事業計画にするために必要な三つの価値

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

以前クライアントさんの事業計画書の作成をお手伝いする機会がありました。私は主に事業計画の数字編のところを担当しました。

スタートアップ企業で、まだ業歴が短いので、今後の業績はどんな形で推移するのかについて、過去の実績はあまり参考になりません。

どちらかと言えば、これから新しく事業を始めると、どんなイメージになるかが中心となります。

そして、その数字を作るにあたっては、いくつかの前提条件を置きました。

・商品の単価は〇〇円
・売上原価は??%
・年間の販売先数は△△社
・社員は今後□□人ずつ増える・・・

そして、出来上がった数字は、それなりに見栄えのする数字に収まった気がします。

しかし、・・・。

肝心なのは、ここからです。

事業計画書を作れば、銀行がお金を貸してくれるかもしれません。また、魅力的な事業計画であれば、「何か一緒にやりませんか?」と、業務提携のオファーが舞い込む可能だってあります。

一方で、

・最初に設定していた単価では売れなかった
・原材料費が高騰して、原価率が上がった
・契約を取るまでに、思っていた以上に時間がかかった
・なかなか人が集まらず、プロジェクトの進捗が遅れた

など、計画はあくまで計画であって、実際に進めてみると、その通りにはいかないのが普通です。

その時、何を道しるべにするのか?

実は、先の事業計画を作成するにあたって、数字をどう作るのかよりも悩んだのは、「会社は何を目的にするのか」です。

いわば、「会社は自社の商品を通して、どんな世界にしたいのか」ということです。

まだ発展途上の会社の場合、数字的な目標は大きく上振れする時もあれば、大きく下方修正を余儀なくされることもあります。

けれども、「会社は何を目的にするのか」については、会社の大小や業歴の長短に関わらず、しっかりと定めておく必要があります。

特に実績がまだあまりない会社の場合、どんなに数字を精緻に積み上げても、トラックレコードが乏しいために、「本当にこの数字ができるのか?」については、常に突っ込まれます。

それゆえ、より会社が魅力的に見えるには「会社は何を目的にするのか」という点にかかる比重がより大きくなります。

つまり、理論(数字)で納得させるのではなく、「こんなことができたらいいね!」という形で、感情で巻き込めるかどうか。

商品には、

機能価値
・感情価値

の両方があり、両者が伝わって初めて商品が売れます。

また、最近では単に安いとか、デザインが格好良いとかいっただけでなく、「環境にやさしい」「貧困の解消につなげる」とかいったような

社会的価値

も求められるようになっています。

このため、事業計画も

機能価値~数字的、論理的な納得感
感情価値~理念や目的に対する共感
社会的価値~どのような形で社会に貢献するのかという共鳴感

の三つがないと、交渉相手にこちらの真意が伝わらないと感じています。


ちなみに、Amazon社では、主要なプロダクト開発や新規事業に着手する前の必須ツールとしてプレスリリースが使われています。それはプレスリリースを書く際には、前述の機能価値、感情価値、社会的価値を織り込まないと、意義のあるものにならないからです。

会社で事業計画を作る場合、数字の部分が中心になるので、どうしても、経理や財務の人がメインになりがちです。

しかしながら、単に数字だけ並べた事業計画はもはや意味がなくなりつつあります。特に感情価値や社会的価値の部分は経理や財務など主に数字を扱う社員の中には苦手な人もいるので、一工夫が必要。

マーケティングや広報などの担当者も交えて、実効性の高い事業計画書を作って、使い続ける事業計画にしましょう。

★関連する記事は
↓ ↓ ↓


この記事が参加している募集

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?