友達が教えてくれた。
雨が降っている時間というのは、ただ天気がそうなっているだけではなく、自分の愛しい人に何か嫌なことが起こってしまって、その人の悲しみや寂しさを含んだ涙が空まで伝わっている合図なんだと。他にも、夕暮れ時にカラスがたった1羽で鳴いているのは、これまた自分の愛しい人に不幸が訪れる前触れなんだとか。
「全部、唄の中にでてくる歌詞なんだけどね。何百、何千年って、想像もできないぐらい大昔から唄われてることなの。細かく言うと、男性が自分の想いを寄せている女性に対して唄っている内容なんだけど。」
彼女はそれを家族やペット、友達、自分に関わる全ての人たちに当てはめて想像してしまうので、雨の日は気分が落ちるし、帰宅時に1羽だけで行動するカラスを見つけるとぞっとするらしい。条件反射で泣きたくなると言っていた。
「高校生の時に大好きな人が亡くなっちゃって、その日の夜がずっと大雨だった。実際はいつもと変わらない量だったのかもしれないけど感覚的にね。あぁ、すごい降ってるなぁって」
その日から、彼女にとって雨が降っている時間というのは、特別なものになったらしい。
確か、それと似た映画があったような。亡くなった母親が雨の降る季節にだけ現れるので、てるてる坊主を逆さまに吊るして待っている男の子の話。
彼女には、雨の日にしか歌わない曲がある。亡くなったその人”だけ”に向けて書いた歌を、この時期になるとほぼ毎日歌っているそう。
今日もほんの一瞬だけ、傘を差すほどでもないが静かに降っていた。


同じ頃、彼女もきっと囁くように歌っていたんだろうなと思う。

「今よりもずっと無知だった17歳の自分が、”生きている限り必ず別れは訪れる”ということをどうしても受け入れられずに書いた曲なんだから、そんなに素敵なものではないよ」
と彼女は言うが、万人に届けるためではない、そんな歌があることが、まだ何の経験もない私にとっては少し羨ましかったりするのです。

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中村コリー

うたっています メモ帳みたいにゆるりと、ぽちぽちいこうかなぁ
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