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FUJIFILMのフィルムシミュレーションの設定を考える

X100Vを購入して1か月と少しが経ちますが、要となるところのフィルムシミュレーションについてはまだまだ掴み切れていません。
特に悩んでいるのが、日常使いするフィルムシミュレーションの設定をどうするか、という点です。というのも、フィルムシミュレーションはどれも各々個性が強くて癖があり、プレーンでフラットな―これが「標準」、と位置づけることができる―モードがないように感じているからです。
クラシックネガは好きだけど日常全てカバーするかというとそうではないし、VelviaはもとよりPROVIAもASTIAも少し派手すぎるような。PRO Neg. Std は軟調すぎだし…と悩んでいたところに、先日デジカメWatchにもの凄く参考になる記事が掲載されていました。
今回はこれを参考にしながら、自分なりの設定を探ります。

開発陣インタビューにヒントを求める

開発陣のインタビューです。個人的には難しい話もあったけど、FUJIの考え方がすごく良く分かります。その中で参考になりそうな部分を要約すると…

・フィルムシミュレーションは個別のフィルムを模倣したものではない。
各々のフィルムが目指すところの「理想の画質」をデジタルで実現することを目標としたもの。
・カラークロームエフェクトは、フィルムの「深い色表現」を目標とするもの。発色が良い部分の発色をあえて抑える「多重層効果」により、明るい部分の階調性を出し「深い色」を表現する。
・グレインエフェクトは、ランダム生成のドットを加算することによってトーンを滑らかに見せて画質を向上させて見せる「ディザリング」効果を狙ったもの。但し、単純にドットを乗せるだけではデジタル臭くなるので、粒状っぽく加工している。
・高ISOにしたときのノイズも粒状っぽく見せる処理をしているが、これはあくまで「気持ち良く見せる」ためで、グレインエフェクトとはニュアンスが異なる。
・フィルムシミュレーションの中では、PRO Neg.系が最も測色に近い
HiとStdの主な違いはトーンカーブで、Hiの方がシャドーが締まってハイライトがタイト。色はHiとStdで同じ設計。
PROVIA,ASTIA,Velviaは測色よりも少しマゼンタ傾向
クラシッククロームのスキントーンはウォームにシフトしている。硬調で彩度は低い。空の色についてはETERNAに近いが、よりシアン寄り。
・ETERNAの空の表現は、映像としての主張を抑えるためにやや緑がかった青としている。
クラシックネガはかなり特殊で、明度によって色の見え方が変わる。暗いトーンだとシアンに、明るいトーンだとマゼンタに寄る
※すべてのフィルムシミュレーションで明度ごとの色の傾きは異なっている。その中でも、PRO Neg.系は素直で扱い易い特性
・PROVIAは一目で「綺麗」と感じられる最大公約数を狙ったもの。
・モノクロはPROVIAをベースにグレースケール化したもの。これに対してアクロスはフィルムの分光感度曲線を参考に、色に対するグレーのトーンを再現させている
・ASTIAは人物と風景の彩度バランスが良くなるようにギリギリのところを狙って設計している。そのため、あまり画質設定は変えない方が安定する。
・Velviaはカラークロームエフェクトを適用すると「色の深み」が出てより理想のVelviaに近付く。緑のシャドーはシアンに寄る。

こうして言葉で表現されると納得感がありますね。その上で、フィルムシミュレーションのパラメータ設定について開発者の方のおすすめが述べられています。

PROVIAでハイライト、シャドー、カラー、シャープネスを各々「-1」、カラークロームエフェクトを「弱」 → 普段使いに
・(上のPROVIAで派手に感じる場合)PRO Neg.Stdでカラーを「+2」
クラシックネガでグレインエフェクトを「粒度大」「強」、シャープネスをマイナス側に最大 → 「映える」感じ
・ETERNAブリーチバイパスでトーンコントロールのシャドーを「+3」、ハイライトを「+1」、カラーを「-4」 → 写真作品向けのブリーチバイパス

上記を参考に、X RAW STUDIO で個人的にしっくりくる設定を探ってみました。

1.普段使いのPROVIA・PRO Neg.Std(ポートレート寄り)

① PROVIA(パラメータ変更なし)
 
まずは比較用にストレートのPROVIAです。

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コントラストが高く、彩度も高めに感じます。そこで次はFUJIの方のおすすめを参考にして…
② PROVIA(ハイライト、シャドー、カラー各「-1」、シャープネス「-2」、カラークロームエフェクト「弱」)

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若干軟調になりました。しかし、まだポトレにはコントラストも彩度も高めに感じます。個人的には更にカラーを下げて「-2」にすれば、風景含む日常使いに良さそうです。
次は、これを逆にPRO Neg.Std側からアプローチしてみます。
③ PRO Neg.Std(カラー「+2」、カラークロームエフェクト「弱」、ハイライト「-1」)

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良い感じですね。肌のトーン、カラーともに落ち着きました(ハイライトを「-1」にしているのは、X100Vが全体的に若干白飛びしやすいように感じていて、それを抑制するためです)。ただ、背景にもう少しコントラストが欲しい感じもするので、カラークロームエフェクトを「強」にしてみても良いかもしれません。

2.風景用のVelvia

次はVelviaです。個人的には、ストレートのVelviaはただただ彩度が高くて「嘘の色じゃん」と思ってしまうので、ほとんど使っていないのが現状ですが…。

 Velvia(パラメータ変更なし)
 
同様にまずは比較用にストレートのVelvia。

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ビビッドで明るいですねえ…次に、これに「深い色の表現」ができるというカラークロームエフェクトを加えてみます。

② Velvia(カラークロームエフェクト「強」、ハイライト「+2」)

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確かに、浮ついて明るく鮮やかだった色がぐっと締まりました。カラークロームエフェクト「強」だけだと若干濃くなりすぎな印象だったので、相殺するためにハイライト「+2」を加えたのも効いています。これなら一度使ってみても良いかもしれません。

3.映えるクラシックネガ

① クラシックネガ(パラメータ変更なし)
 まずはストレートで。素でも十分映えますよね。

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次はこれを大きくいじります。

② クラシックネガ(シャープネス「-4」、カラークロームエフェクト「強」、グレインエフェクト「粒度大」「強」)

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より色に締まりが出ました。シャドー部のグレインもフィルムっぽさを助長しています。ただ、個人的にはグレインエフェクトは「弱」にしても良いかな、という感じです。

とりあえず今回はここまでです。今回の中では、普段使いには1.③のPRO Neg.Std が良さそうかな、と。ただ、いろいろ書いてきましたが個人的には今まで使っていての本命はPRO Neg.Hi かクラシッククロームな気がしているので、引き続き模索を続けます。ある程度目星が付いてきたら第2弾を書きます。それではまた。

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