続きは夢の中で

どれだけ映画を見ても、どれだけ音楽を聴いて彼らの人生や名言を見ても、どれだけ小説を読んでも、救われないものを彼は大事に包んで私に見せてくれた。
そしてパクッと食べてしまった。
その瞬間から、私は濃紺の夜空に浮かぶ使い古された宇宙船のように、気持ちが何処かに離れていってしまうようになった。

嬉しかった筈なのに、あれだけ望んだものの筈だったのに、
何故か満たされたはずの心には小さな穴がプツッと空いていて、
そこから透明のさらさらした何かが落っこちている。

彼は私に言った。

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