219. 近視小児の屈折異常に対するアトロピン0.01%の効果(乱視)

Effects of atropine 0.01% on refractive errors in children with myopia

Zhu X, Wang Y, Liu Y, Ye C, Zhou X, Qu X. Heliyon. 2023 Jul 27;9(8):e18743. doi: 10.1016/j.heliyon.2023.e18743. PMID: 37576220; PMCID: PMC10415657.


背景:アトロピン治療中の乱視の変化についてはほとんど知られていない。我々は、アトロピン0.01%点眼薬が近視小児の球面屈折異常と円柱屈折異常の両方に及ぼす影響を調べることを目的とした。

方法:近視が-6.00D以下かつ-0.50Dより大きく、乱視は少なくとも片眼で-2.00D未満の6~14歳の小児を登録した。対象者は、単焦点レンズ装用+アトロピン0.01%を毎晩1回点眼する群と、単焦点レンズ装用群(対照群)に無作為に割り付けられ、3か月間隔で追跡調査が行われた。調節麻痺下屈折と眼軸長を測定し、全乱視(total astigmatism:TA)、角膜乱視(corneal astigmatism:CA)、残余乱視(residual astigmatism:RA)の大きさと方向が評価された。

結果:全体で119眼(アトロピン群69眼、対照群50眼)が9か月後の最終解析に含まれた。アトロピンを点眼した眼は、対照眼に比べて近視の進行が有意に少なかった(等価球面:-0.35±0.33 対 -0.56±0.49D、p = 0.001、眼軸長:0.20±0.19 対 0.33±0.19mm、p < 0.001)。対照眼(-0.04±0.23D)と比較して、アトロピン投与眼ではTAの有意な増加が観察された(-0.14±0.29D)。これは主に、RAのわずかな減少(0.02±0.32D)よりも、CAの増加(-0.17±0.26D)に起因するものであった。

結論:アトロピン0.01%は近視進行の予防に有効であったが、9か月間のアトロピン投与は、近視の中国人小児において、臨床的にわずかではあるが、統計的に有意なTAの増加をもたらした。

※コメント
これまでと異なるのは乱視の状態を表に出して評価しているところ。discussionでは、低濃度アトロピン使用での乱視の変化は、アトロピン治療中の毛様体の収縮反応の変化に起因する可能性があるとのことです。
ですが数値を見ても臨床的に影響を及ぼすほどではないため(平均値で0.1D程度の差)、実用としてはそこまで気にしなくてもいいかもしれません。

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