358. 屋外照明と運動介入が子供の視力に及ぼす影響に関する実証研究

An empirical study on the effect of outdoor illumination and exercise intervention on Children's vision

Liao S, Li X, Bai N, Wu D, Yang W, Wang F, Ji HZ. Front Public Health. 2023 Dec 12;11:1270826. doi: 10.3389/fpubh.2023.1270826. PMID: 38155899; PMCID: PMC10754518.

目的:屋外照明とスポーツと近視発症との関係を探り、屋外照明と運動が正常視力と近視の小児のディオプター(度数)に及ぼす影響を分析し、将来の児童・青少年の近視予防と治療の指針を得ること。

方法:201名の児童を近視の有無で2群に分けた。各群は、屋外運動群、屋外対照群、屋内運動群、屋内対照群の4群に無作為に分けられた。このうち、屋外運動群と屋内運動群には、中強度および高強度の有酸素運動を週3回、1回60分間、12か月間実施し、屋外対照群と屋内対照群には、対応する期間、通常の学習と生活をさせた。追加の運動介入はなし。実験終了後、各群のディオプターを比較した。

結果: normal群と近視の全群のディオプターは、実験後に有意に低下(近視寄り)した(p < 0.01)。屋外運動群と屋内対照群のディオプター差(p < 0.01)、屋外運動群と屋内対照群のディオプター差(p < 0.05)、屋内運動群と屋内対照群のディオプター差(p < 0.01)は有意であった。また、屋内運動群と屋内対照群の間でディオプターに有意な差がみられた(p < 0.01)。実験後の近視児童のディオプター変化をみると、屋外運動群と屋内運動群(p < 0.05)、屋外運動群と屋内対照群(p < 0.01)、屋外対照群と屋内対照群(p < 0.05)で有意差がみられた。屋外対照群と屋内運動群の間では、実験前後で、normal群と近視群のディオプター変化に有意差がみられた(p < 0.05)。

結論:屋外での光と運動の介入は、小児の視覚に有益な効果をもたらすが、近視かそうでないかによって効果が異なるため、屋外での光と運動は、normalの小児のディオプターを下げるのに、より良い効果をもたらす。

※コメント
本研究の近視の定義は両眼の屈折が【−0.5Dより大きく−3.0Dより小さい】。
normalの平均屈折はおよそ+1.50D、年齢は全群6.5歳程度。
discussion抜粋-
本研究では、ランダム化比較試験を通じて、非近視および近視の子どもにおける屋外および運動のディオプターへの影響を客観的に検討した。この研究から、近視になる前に屋外でスポーツをすることが近視の発生を最も予防できることが示唆された。近視の子供にとっては、屋外にいることや十分な光がある環境にいることが近視の進行を遅らせるのに効果的である。
(理由までは不明)
結論抜粋-
屋外照明と運動介入を12か月継続すると、子供のディオプターの低下を有意に抑制し、近視を改善することができる(←これは言い過ぎです、改善はしてません)。個々の効果についてみると、屋外照明因子は近視および非近視の子どものディオプターに有意な影響を及ぼすが、運動介入因子は非近視の子どものディオプターにのみ有効である。外光と運動介入は、視力の異なる子供のディオプターに異なる影響を与える。近視の子供と比較すると、屋外光と運動介入がnormalの子供のディオプターに及ぼす効果はより良い。


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