121. 非対称な両眼性弱視患者において,視力は視力が悪い眼で4 line,視力が良い眼で2 line改善し,眼間の視力差は遮閉状態にかかわらず2 line改善した。早期の遮閉は眼鏡矯正のみと比較して利点はない

Effect of Primary Occlusion Therapy in Asymmetric, Bilateral Amblyopia

Shoshany TN, Michalak S, Staffa SJ, Chinn RN, Bishop K, Hunter DG. Am J Ophthalmol. 2020 Mar;211:87-93. doi: 10.1016/j.ajo.2019.10.030. Epub 2019 Nov 9. PMID: 31712066.


目的:多くの両眼性弱視患者は視力が非対称である。このような患者に対する標準的な治療法はなく,治療成績もあまり報告されていない。我々の目的は,遮閉治療のタイミングに基づき,視力のアウトカムを比較すること。

デザイン:レトロスペクティブ・介入型比較症例シリーズ。

方法:
設定: 施設での診療。
患者集団: 2010年から2014年の間にボストン小児病院で弱視と診断された患者。
InclusionCriteria: 客観的な視標に基づく測定で両眼の視力が0.3 logMAR以上,眼間差(interocular difference:IOD)0.18 logMAR以上,年齢2~12歳。
除外基準:Loss to follow-up,手術既往あり,形態覚遮断弱視。患者は,一次遮閉または二次遮閉のいずれかを行った(一次遮閉=両眼の視力が0.3 logMAR以上のときに開始,二次遮閉=視力が良い方の眼が0.18 logMAR以上に改善したら残存IODを修正するために開始)。
観察手順:患者の属性,視力,IOD,立体視をグループ間で比較。
評価項目:12~18か月後および最終診察時の視力の改善度。

結果:2,200人の患者のうち167人(7.6%)が非対称の両眼性弱視であり,98人が適合した。患者は,一次遮閉群(n = 50)と二次遮閉群(n = 48)に分けられた。患者の属性,ベースライン視力,IODに群間差はなかったが(p ≥ 0.22),一次遮閉群では斜視弱視の割合が高かった(p = 0.007)。両眼の視力,IOD,立体視は,弱視のサブタイプで層別化した後でも,グループ間で同様に改善した(p ≥ 0.48)。二次遮閉群では,12~18か月後に両眼20/30,IOD 1 line以上を達成する確率が高かったが(p ≦ 0.40),最終診察時には同等となった。

結論:非対称な両眼性弱視患者において,視力は視力が悪い眼で4 line,視力が良い眼で2 line改善し,IODは遮閉状態にかかわらず2 line改善した。したがって,一次遮閉は眼鏡矯正のみと比較してそれ以上の利益をもたらさない。

※コメント
発症年齢(中央値)は4.2歳。
良い方の眼のVAは0.3logMAR
悪い方の眼のVAは0.7logMAR
31%が斜視弱視,22%が不同視弱視,35%が混合弱視。
早期に,遮閉治療をおこなっても,眼鏡だけで様子をみて後々遮閉をしても結果は変わらないという結論でした。

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