179. オルソケラトロジー装用者の小児近視コントロールにおける0.01%アトロピンの追加効果:2年間のレトロスペクティブ研究

Add-On Effect of 0.01% Atropine in Orthokeratology Wearers for Myopia Control in Children: A 2-Year Retrospective Study

Du L, Chen J, Ding L, Wang J, Yang J, Xie H, Xu X, He X, Zhu M. Ophthalmol Ther. 2023 Jul 5. doi: 10.1007/s40123-023-00755-4. Epub ahead of print. PMID: 37405578.


はじめに:オルソケラトロジー(Orthokeratology:OK)と低濃度アトロピンは、近視をコントロールするために推奨されるアプローチである。しかし、年齢が若く近視度が低い小児では、OKまたはアトロピン単剤治療中に眼軸が急速に進行する可能性が高い。本研究では、24か月以上の小児を対象に、近視コントロールにOK+低濃度アトロピンを併用した場合の有効性を評価し、その効果が持続するかどうかを検討することを目的とした。

方法:このレトロスペクティブ研究では、近視コントロールのためにOKを適用した小児(7~14歳)のベースラインとフォローアップの受診記録を検討した。オルソケラトロジー単独治療を受けた68人の小児(OK群)と、オルソケラトロジーと同時に0.01%アトロピンを併用した68人の小児(AOK群)を対象とした。ベースライン時に一連の眼科検査が行われ、6か月ごとに眼軸長(axial length:AL)が測定された。2群間の異なる来院時のAL変化の比較は、反復測定多変量分散分析(repeated measures multivariate analyses of variance:RM-MANOVA)により行った。

結果:2群間でベースラインの特徴に有意差はなかった(p>0.05)。ALは両群とも経時的に有意に増加し(すべてp<0.05)、AOK群の2年間の変化はOK群より0.16mm(36%)低かった(0.28±0.22mm対0.44±0.34mm、p=0.001)。AOK群ではOK群と比較して、0~6か月、6~12か月、12~18か月で有意なAL伸長抑制が認められた(抑制率:それぞれ62.5%、33.3%、38.5%、p<0.05)が、18~24か月では有意差は認められなかった(p=0.105)。重回帰分析の結果、年齢と治療効果との間に交互作用が認められ(交互作用係数=0.06、p=0.040)、AOK群では年齢が1歳下がるとAL伸長の遅れが約0.06mm増加することが示された。

結論:OK装用者における0.01%アトロピンの相乗効果は1.5年以内にのみ発現し、低年齢児ほど併用治療の恩恵を受けた。

※コメント
低年齢児ほど低濃度アトロピン+オルソケラトロジーの効果が顕著に出るという報告です。
やはり可能であればcombine therapyが効果が強そうです。費用対効果がどれほどなのか、どのような背景の子供たちがより恩恵を受けるのか。その辺りが臨床的には重要になってくると思います。

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