203. 不同視弱視、斜視弱視および混合弱視児における固視安定性と網膜構造パラメータとの関係

The Relationship between Fixation Stability and Retinal Structural Parameters in Children with Anisometropic, Strabismic and Mixed Amblyopia

Mompart-Martínez R, Argilés M, Cardona G, Cavero-Roig L, González-Sanchís L, Pighin MS. Life (Basel). 2023 Jul 6;13(7):1517. doi: 10.3390/life13071517. PMID: 37511892.


背景:弱視は眼球の構造・機能的変化をもたらす疾患である。これらの変化の関係は複雑であり、まだ十分に理解されていない。

方法:参加者は、5~9歳の斜視(n=9)、不同視(n=16)、混合(n=6)性の片眼弱視の小児31人と、年齢をマッチさせた非弱視の小児14人であった。95%および63%二変量等高線楕円面積(Bivariate Contour Ellipse Area:BCEA)、眼軸長、中心窩無血管領域(Foveal Avascular Zone:FAZ)面積、黄斑中心部の厚さおよび体積を評価した。これらのパラメータ間の関係を検討した。

結果:最高矯正遠見視力(best corrected distance visual acuity:BCVA)(p<0.001)、BCEA95%(p=0.002)、BCEA63%(p=0.002)では4群間に統計学的有意差が認められたが、FAZ面積、中心黄斑厚、中心黄斑体積、眼軸長では認められなかった。弱視眼は対照眼に比べてBCVAが悪く、固視不安定性が大きかった。眼球間の差は斜視弱視でより顕著であり、特にBCVA(p = 0.003)、中心黄斑厚(p < 0.001)、中心黄斑体積(p = 0.002)において顕著であった。弱視眼では、BCEA95%および63%はBCVAと相関していたが、FAZ面積とは相関していなかった。

結論:弱視は固視安定性とBCVAの低下と関連しているが、構造的変化との相関は一般的に欠如しており、弱視における解剖学的構造と機能との間の複雑な相互作用を示唆している。

※コメント
今回の報告では、弱視の種類と網膜構造の間に有意な差はなかったとのこと。機能的な差(視力、固視の安定性)には差がみられるということは抹消部位の器質性な影響が弱視という現象に与えるものは大きくないのでしょう。
※眼軸長に差がなかったのはよくわかりませんが…

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