【漫画原作・シナリオ】ときめき♡えゔりでぃ ~ゴリラ娘むーちゃん、Drummingが止まらない~ 第1話

登場人物

葛谷先輩(17) 久瀬剛高校二年生
むーちゃん(16) 久瀬剛高校一年生
パンジーちゃん(16) 久瀬剛高校一年生。むーちゃんの友人
天の声・N(ナレーション)
取巻き女A
取巻き女B
飼育員

第一話「出会い」

○久瀬剛高校近くの道路(朝)
むー「遅刻、遅刻」
   むー(16)、食パン一斤を腕に抱えて、パンをちぎりながら食べて、走
   る。
むー「喉乾いたわ」
   むー、懐からりんごを取り出し、左手で握りつぶし、手から零れたり
   んごの果汁を口に流し込む。
むー「んー、フレッシュ」
天の声・N「今日から久瀬剛高校に通うことになった、むー。(小声:ジャン 
 グルの)どこにでもいる可愛い女子高生。(小声:りんごを握りつぶすって
 ゴリラかよ)。そんな、ゴリ……彼女は、今から運命的な出会いをするので
 ある。(小声:そして、犠牲者も増えるのである)」
むー心の声「おい、全部聞こえてんぞ。視聴者がヒロインが毛深いゴツい何
 かと勘違いするだろうが。こちとら、か弱く純粋無垢で売ってるんだ、ち
 ゃんと紹介しやがれ」
天の声・N「(小声:なら、女の子らしく振る舞えよ)」
むー心の声「腹から声出せや」
天の声・N「へーい…視聴者が待っているので…どうぞ、ストーリーを進めて
 ください…」
むー心の声「ちっ、無駄な時間を使ってしまったわ」
むー「あの角を曲がったら、学校だわ」
むー、角を曲がると、横一列に並んだ
三人組の真ん中の背中に衝突する。
むー「きゃああ」
   むー、尻もちを着く。
葛谷「あぁ?どこのどいつだ、ぶつかって来る間抜けは?」
   葛谷(17)、眉間に皺を寄せて、後ろを振り向く。
天の声・N「久瀬剛高校二年生、葛谷。どうしようもないクズであるが、イ
 ケメンで、女子生徒に人気である。いつも女子生徒を連れて、遊んでい
 る。可愛い女の子に目がない」
むー「とぅんく」
むー心の声「登校初日からイケメンと遭遇」
取巻女A「誰?この子」
取巻女B「ちょっと、葛谷くんに近づかないでくれる?」
   取巻女AとB、葛谷の左右の腕にそれぞれ抱きついている。
天の声・N「取り巻きの女子生徒達、葛谷に集る蝿である」
葛谷「おっ」
   葛谷、抱きつかれている取巻女AとBを両腕で払い除け、むーにそっと
   手を差し出す。
葛谷「お怪我はないですか、子猫ちゃん。久瀬剛の制服を着ているが、見な
 い顔だね。新入生かな?」
むー「とぅんく、とぅんく」
むー心の声「捕獲チャ~ンス」
取巻女A「ちょっと葛谷くん」
取巻女B「そんな女置いて、行きましょう」
   すると、むー、取巻女AとBを足首をそれぞれ掴み、左右のブロック塀
   に向かって、投げ飛ばす。
   取巻女AとB、ブロック塀にめり込む。
天の声・N「早く逃げるんだ、葛谷」
葛谷「は?」
   葛谷、ブロック塀にめり込んだ取巻女AとBを左右交互に顔を向け、驚
   く。
   むー、葛谷の差し出した手を掴む。
天の声・N「時すでに遅し」
   掴まれた葛谷の手はめきめきと音がなり、葛谷、悲鳴を上げる。
葛谷「ぎゃあああ」
むー「ありがとうございま~す」
   むー、満面の笑みで、差し出された手を引っ張って、立ち上がる。
むー「あの~、あたし、四月から久瀬剛に入ったむーです。絶賛フリーで
 す。よろしくで~す」
   苦痛な表情の葛谷。
むー「あの~、お名前、何ていうんですか?あと、学年~」
葛谷「あ…?てめぇなんかに教える…」
   葛谷、滝のように顔から汗が流れる。
   むー、笑顔のまま、葛谷の握った手を力を込める。
葛谷「ぎゃあああ、折れ…折れるううう」
むー「お名前と学年は?」
葛谷「くず…や…に、二年だ…」
むー「え~、先輩なんですか!?入ってすぐに先輩と仲良くなれて、うれち 
 いです」
天の声・N「どのあたりが仲良いのか」
葛谷「う…るせ…え、ど…動物園に帰…」
   むー、笑顔のまま、葛谷の握った手を力を込める。
むー「う・れ・し・い・で・す・よ・ね?」
   苦痛な表情の葛谷。
葛谷「う、う…れし…い」
むー「ですよね?一緒でうれしいで~す」
   むー、満面の笑みを葛谷に向ける。
むー心の声「あとひと押し」
天の声・N「でハンティング完了です」
むー心の声「あぁ?」
天の声・N「いえ、続きを…」
むー「じゃ、仲良くなった記念に、今日の昼、一緒に食べましょう?」
葛谷「あぁ?誰がお前なんかと食べ…」
   苦痛な表情の葛谷。
むー「食・べ・ま・しょ・う・ね?」
葛谷「わ…か…った…」
   むー、葛谷の手を離す。
むー「じゃ、せんぱ~い、お昼、よっしくで~す」
   むー、手を降って、走っていく。
   葛谷、腫れた手を息を吹きかけて、冷やす。
天の声・N「葛谷、地獄の…」
むー心の声「あぁ?」
天の声・N「葛谷、胸がときめく新学期の始まりであった」
<了>

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