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いざという時に大切なのは食べ物を作れる力。自分の暮らしを変えるために藤沢に移住。

コトモファーム会員
柏原さん 藤沢市在住 40代

編集者としての経験を活かして、多様な働き方を実践

元々出版社に勤めていて、書籍の編集・制作に携わっていました。昨年の夏からはフリーランスとして、これまでの編集者としての経験や人材育成・組織開発の専門知識を活かした働き方をしています。
編集といっても文章を書くだけではなく、研修ワークショップの企画、組織の問題解決をサポートするファシリテーションの仕事などを行っています。
 
また現在は、編集の仕事を通じて出会ったオーガニックヘナを知ってもらうための活動もしています。「ヘナ」は、インドなどの地域で栽培されてきた植物です。アーユルヴェーダ(インドの伝承医学)で約5000年前から用いられてきたほか、白髪染めやトリートメントなどのヘアケアのためにも使われています。
一般的に美容院などで行われているのは、ケミカルな薬品を使用した白髪染めやトリートメントです。でも、化学薬品による白髪染めやヘアケアって、実は髪の毛が傷みやすくなり、体への負担も大きいんですよね。
 
私たちがご提案しているのは「オーガニックのヘナ」や「ハーブ」など天然の植物を使用するヘアケアです。植物の力で白髪も染まるし、髪が美しくなるし、健康にも良い影響があると多くの方からご感想をいただいています。
オーガニックヘナやハーブを使ったヘアケアは、まだまだ知らない方が多いので、「化学薬品以外にも別の方法があるよ」と伝えるための活動を行っています。
 
 
(柏原さんが実践されているオーガニックヘナ普及の取り組み。詳しくはこちらからご覧になれます)
合同会社KAMI・会社概要・メンバー紹介 - KAMI.llc (kamillc.com)


いざという時に大切なのは食べ物を作れる力。自分の暮らしを変えるために藤沢に移住。

まずはコトモファームで野菜作りを始めた経緯について紹介させていただきます。
私は茨城県出身で、実家は昔から農業をやっていました。でも子供の頃はなぜか、農業ってすごく「ダサい」と思っていました。「お勤めしている人たちのほうが格好いい」というイメージがあったんです。
 
そんなことを私の祖父母に言うと、戦時中の話をされて、「いざという時に大切なのは食べ物を作れる力なんだよ」と繰り返し言われました。食べ物がなかった当時の経験から、何が大切なのかを私に教えようとしていたんだと思います。
ただ当時の私には祖父母の言葉が全く響かなくて……(苦笑)。都会に出て働くことに憧れていました。

出版社で編集者として働いていた頃の様子


実際に都内で長く仕事をしていたんです。でも、年を追うごとに「何か違うんじゃないか」「もし今の会社がなくなっても、この先生きていけるのだろうか……」という違和感が強くなっていったんですよね。
 
3.11の震災が発生したとき、スーパーやコンビニからごっそり食べ物がなくなりましたよね。私、あの時「食べ物が当たり前にあると思ったら大間違いなんだ」と気づかされたんです。
「子供の頃、祖父母が言っていたことは本当かもしれない」と、その時に初めて思いました。
 
その頃から、仕事や暮らしに対する葛藤が大きくなっていきました。
やりがいをもって仕事を続けているけれど、今の仕事を頑張れば頑張るほどに、会社とか都会の便利なシステムに最適化しすぎてしまって、そこから離れたら生活できなくなってしまうのではないか。会社とか、都会のシステムは便利だけど、いざという時にそれは自分を助けてくれるのか。今、やっている仕事は、暮らしの中で本当に大事なものなのか……。
徐々に葛藤が誤魔化せなくなって、いよいよ「自分の暮らしを変える必要がある」と思いました。
 
そこで、もう少し土に近いところで生活をするために、2019年に藤沢に移住しました。
実は、移った当初から畑をやりたいと思っていて、コトモファームのことも調べていました。でも当時は区画の空きがなくて始められなかったんです。
 
そうしているうちに、2020年、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務がメインになり、藤沢にいる時間が長くなりました。仕事の時間がある程度自分で調整できるようになったので、「そろそろ畑を本格的に始められる状態ができたかな」と思ったんです。
それで改めてコトモファームに問い合わせたところ、ちょうど空き区画があったので、2020年に入会申し込みをさせていただきました。


入会された当初の畑の様子


初めて育てたジャガイモで、食べ物を生み出す自然の力を体感

私は決してマメな性格ではないんです。サボテンも枯らすほどです(笑)。だから、このいい加減さで野菜を育てられるのか、初めはすごく不安でした。
初めて育てたジャガイモが特に印象に残っています。3月ごろに種芋を植えて、6月に収穫したのですが、本当にジャガイモができていてすごく驚きました。
 
最初の土づくりや植え方さえポイントを押さえておけば、自然には食べ物を生み出す力があるんだと学びました。「私でもジャガイモを作れるんだ!!」と、すごくうれしかったですね。


ほとんど何もない状態から、数か月で収穫したジャガイモ


野菜作りを始めてみて、生活面では2つの変化がありました。
 
1つは、リフレッシュをするために畑に行くようになったことです。
畑に行くと元気になるし、リフレッシュできるんですよね。
 
現在パートナーと一緒に住んでいるのですが、パートナーは会計士で数字を扱い、私は編集で言葉を扱っているので、常に頭の中は数字だらけ、言葉だらけ。いつも頭を使って仕事をしています。
 
でも、考え続けているとストレスがたまるし、目や腰が痛くなるし、座りっぱなしって正直体にはあまり良くないんですよね。
「もう疲れたな」という時に、気分転換のために二人で畑に行くという選択肢ができました。特に作業をしなくても、ただお弁当を食べに行ったりすることもあります。畑にいるだけで、頭に上った血や肩の荷がすっと下りるようなリラックス効果を味わっています。


畑の空気に触れるだけで、張り詰めていた緊張感がゆるんでいく


もう1つの変化は、収穫した野菜についてです。思った以上にたくさん収穫できるので、自分で料理をするだけでなく、他の人におすそ分けしたくなる気持ちが強くなりました。「私たちの畑でとれた野菜なんです」と、半ば無理やり周りに配っています。
 
買ったものではなく、自分の手で作ったものをおすそ分けできるってすごく豊かなことだと思います。それに「私がつくった」というよりも、「自然の力を借りて野菜が出来上がっている」ので、「自分がつくった野菜」というよりは「自然そのもの」「自然の力」をおすそ分けしているような感じです。


自分で育てた野菜が食卓の中心に


手軽に野菜作りを始められて、無理なく続けられるところが魅力

コトモファームの良い所は、特に何かを準備する必要がなく、体一つで野菜作りが始められる点だと思います。他の市民農園を調べてみたのですが、自分で道具などを用意するのはハードルが高いなと感じていました。コトモファームでは、使う道具は準備していただけるし、種苗も分けていただけるので、低コスト低リスクで始められます。しかも無農薬で、種も自家採取できますし、低コストでこれだけ品質の良い野菜が収穫できるのは、とてもありがたいです。
 
もう一つの良い所は、来園される方の雰囲気がすごくいいなと思っています。他の区画の方とトラブルになることもないですし、畑に集まるのが皆さんいい方たちで、皆さん楽しそうに作業をされていますよね。これは、コトモファームがこれまで作り上げてきたもの、小島さんのお人柄や畑の雰囲気、ホームページ等で発信されているメッセージなどによるものだと思います。


ご友人と一緒に作業することも


畑で食べ物を作る体験を多くの人と分かち合えるように

これからの農との関わりで、二つ力を入れたいことがあります。
 
まず一つは、自分たちが食べるものは、できるだけ自分たちや顔が見える人たちが作ったものにしたいと思っています。かつて祖父母に教えてもらったように、食べ物を作る力は本当に欠かせないものだと感じるようになりました。今はまだ、私の全ての食事の数パーセント程度かもしれませんが、その割合を少しずつ高めて、自分や周りの大切な人の食事を賄えるようにしていきたいです。
 
もう一つは、私の周囲の人たちをもっと畑に呼びたいと思っています。私がSNSで畑の画像を投稿したりすると、羨ましがる方がいるんですよね。「いいな」「畑行きたいな」って。
以前の私のように、一日中頭を使ってパソコンとにらめっこするような働き方をしている人たちにこそ、畑に行って、土に触れてもらいたいです。
 
自分で食べ物を作ることは、癒しでもあり、学びや気づきの多い体験でもありますよね。実際にお友達を畑に連れて行って、体験してもらう中でそう強く実感しています。
特に都会で暮らししている方など、農と距離ができてしまっている人を、少しずつこちら側に近づけていくようなお手伝いが出来たらいいなと思います。


(2023年3月6日)

体験農園コトモファームのHPはこちらからご覧になれます。
https://www.eto-na-en.com/cotomo-farm/
お問合せ先 TEL:070-6556-5300
      メール:cotomofarm@eto-na-en.com

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