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京都大学大学院情報学研究科 社会情報学コースに合格した話

今回表題の研究科に合格したため、これから受験する人たちに向けて体験記を残しておこうと考えました。
また、自分は高専の専攻科から受験する外部生であり、かつ受験科目が医療情報学であるのですがこのどちらに関しても体験記がなかったため主にその人たちの役に立てばと思います。


TL;DR

  • TOEICの点数を上げるより当日の筆記試験対策を優先する方が良い

  • (高専専攻科からの受験の場合)出願時に本科4, 5年の成績証明書と専攻科の学位申請予定の証明書も提出する必要がある

  • 研究室訪問はした方がいい

  • 志望研究室の先輩と繋がりを持った方がいい

受験しようと思ったきっかけ

実は最初は大学院に進学する気はなく、高専の専攻科1年で第一志望の企業に内定をもらっていて就職しようと考えていました。
研究したいと思うほどの分野が自分にはないなと思っていたのが理由なのですが、様々な人の話を聞いているうちに研究したいと思う分野(医療情報学)が出てきたので「内定もあるしチャレンジしてみよう」と思ったのがきっかけです。

試験科目

社会情報学コースの受験科目は以下のようになっています。

  • 英語(150点) → TOEIC, TOEFL, IELTSなどのスコアを元に換算

  • 情報学基礎(150点) → 指定の教科書から出題

  • 専門科目(300点) → 第一志望研究室の指定する科目を解く

自分の志望した医療情報学の研究室であれば、専門科目は医療情報学の問題を解くことになります。
また、情報学基礎は以下の本から問題が出題されることが募集要項に明記されています。(2023/09/17現在)

試験対策

英語

自分は英語の外部試験としてTOEICを選択し、そのスコアを提出しました。
最終的に提出したスコアは720点(L355, R365)です。
勉強方法としては、主にスタディサプリ ENGLISHを回しながら補助教材として「1駅1題 TOEIC®️ L&R TEST 文法特急」を通学の電車内で解いていたりしました。
スタディサプリでは講義を視聴して類題を解き、終わったら用意されている問題をひたすら解くという形で勉強していましたが、解いているうちにPART5, 6が自分の弱点であることが分かったのでそこを補強するために基礎固めなどを目的に文法特急を周回しました。
TOEICの点数を伸ばすのはもちろん大事ですが、後述する当日の筆記試験の対策を行うことはさらに大事なので(夏季受験の場合)800点を取れれば十分ではないかと思っています(720点で提出した自分が言うのもなんですが…)

情報学基礎

情報学基礎に関しては募集要項に試験範囲が「該当の書籍から出題する」と明記されているので、迷いなく本を何周かしました。
実際に1周してから過去問を見直すと、本の練習問題がそのまま出ていることがあったりしたので、ただ読むだけではなく練習問題と演習問題も解くようにしようと方針を決めました。
情報学基礎の勉強についてはある程度今まで習ってきたことが主な内容だったのでスムーズに進みましたが、知らなかった事柄もそれなりにあったのでそれに関する問題を解くときはなぜそうなるのかをきちんと理解してから先に進むよう心がけていました。
また、過去問を追っているうちに情報学基礎については傾向が見えてくるのと、5問中3問を選択して回答する形式ということを考えて頻出の分野にかなり比重を置いて勉強しました。

専門科目

専門科目は前述した通り、第一志望が医療情報学についての研究室だったため医療情報学を選択することになりました。
受験する年の4月頃に研究室訪問を行ったのですが、その時に「この参考書を使って勉強するといいよ」と教えてもらった参考書をもとに勉強を進めました。
研究室訪問をしていなかったらこの参考書について知ることができなかったかもしれないので、他の入試情報や研究室について知れたということも含めて研究室訪問をしてよかったなと思います。

基本的に専門科目についても情報学基礎と同じように参考書を何周かするといったふうに勉強していましたが、志望研究室の先輩に「教授の講演とかのアーカイブも見ておくといいかも」と言われたので、その辺りの動画を見ながら要点を抑えるといったこともやっていました。
また、上記の参考書には問題が掲載されているわけではないので過去問を見ながら問題の出題傾向がどのような形かなどを予測しながら、どのようにして出題されるかを想像して知識を深めました。
また、問題の出題傾向として情報学の知識を持っている学生が医療情報について勉強することで解くことのできそうな問題が3問、医療知識がないと解くのが難しい問題が2問という構成になっていることが分かったので、それも考慮して勉強を行いました。

出願時の注意

これは出願時に大学に在籍している人以外が注意する事柄なのですが、出願時に例えば高専の専攻科生は専攻科での成績証明書だけでなく以下の書類の提出を追加で求められます。

  • 高専本科4, 5年次での成績証明書

  • 学位授与の予定があることを証明する書類

これに関しては出願書類には書いていないので、一応大学院の教務掛に確認しておこう、ぐらいの気持ちで聞いてみたところわかりました。
専攻科などからの出願を行う人は注意してください。

志望理由書について

この項に関しては志望研究室の先輩からの受け売りですが、志望理由書を記述する際は以下の点について主に意識しました。

  • 時間の流れを意識する

  • 読み手側が読みやすいようなレイアウトで記述する

時間の流れを意識するというのは、今までにやってきたこと、今やっていること、これからやりたいことという風に記述することで「なぜこの研究科を志望しているか」ということがより明確に分かることを意図してのものだと考えています。
また、読み手が読みやすいレイアウトで記述することで、面接で自分が説明することを聞き手が咀嚼しやすいように用意する志望理由書として質が高いものとすることができると考えています。

試験当日

筆記試験(1日目)

一日目の筆記試験では、午前に専門科目(2時間)、午後に情報学基礎(2時間)という形で試験が行われました。
午前の専門科目はいくら勉強しても以前の出題傾向から3問完答しないと合格が難しいと考えていたことも相まって非常に緊張していました。
しかし、前日にたまたま「ここ出たりしないかな〜」とか思いながらなんとなく深めに読んでいた箇所がそのまま出てきたりして、運が良かったのでなんとか乗り切ることができました。
実際に出題された問題は以下のようなもので、自分は1, 2, 5を選択しました。

  1. 医療情報連携基盤のついての記述問題(EMR, EHR, PHRについての説明)

  2. CTスライスのデータ伝送などを題材にした計算問題

  3. 標本化定理についての記述問題

  4. 特定のケースに関する解析研究についての記述問題(睡眠時無呼吸症候群の在宅治療について)

  5. RSA暗号の計算・最近のセキュリティ対策手法についての問題

午後の情報学基礎に関しては、かなり対策していたことと元から知識が備わっていたこともあって割とつつがなく解き切ることができました。
1時間ちょっとで解き終わっていたので見直しをしていたんですが、余裕かましてたら残り5分で凡ミスに気づいて冷や汗かきながら全力修正したので見直しはきちんとした方がいいです…。
実際に出題された問題は以下のようなもので、自分は1, 2, 3を選択しました。

  1. マシン命令からなるプログラムを読んだり書いたりする問題(データ操作)

  2. 配列のmin, maxを求めるプログラムについての問題(アルゴリズム)

  3. 様々なデータ構造についての問題(データ抽象)

  4. 大学のシステムを題材にしたレコード操作の問題(データベースシステム)

  5. 様々な計算の理論に関する問題(計算の理論)

口頭試問(2日目)

口頭試問の対象者は2日目の朝に掲示板に掲示されるのですが、自分の番号があったので安心しました。
募集要項には「志望理由書の内容を5分程度で説明した後、質疑応答に移る」と書いてあったのでかなり緊張していたんですが、実際に始まると
「研究の抱負を1分で述べてください」→30秒ぐらいで述べる→質問なし→終了
で拍子抜けしました。
口頭試問の順番は一見受験番号がバラバラだったのですが、噂によると試験での点数順(降順)と言われているようです。真偽はわかりませんが…。
自分は29番目だったのですが、実際に定員近傍の人たちは自分のようないかにも形だけみたいな口頭試問ではなく募集要項通りに進められたらしいです。
後述の成績開示の項でも言及しますが、評価基準は全く分からなかったのでしっかり伝えたいことを伝えられるようにリラックスして臨むのが良いかと思います。

成績開示

受験終了後、成績開示手続きを行ったところ以下のような結果でした。

  • 英語: 110/150(73%)

  • 情報学基礎: 138/150(92%)

  • 専門科目: 240/300(80%)

  • 口頭試問: 70/100(70%)

  • Σ: 558/700(80%)

英語はおそらく合格者の中で最低レベルな気もしますが、当日の筆記試験で巻き返すことができたかなとは思います。
口頭試問については、自分みたいなすぐ終わる口頭試問で70点なのにしっかり口頭試問された人がそれよりも低かったりと全く採点基準が分からなかったです。

受験を終えて

外部からの院進、かつ大学生でない自分からすると周りから聞いていた「外部からの院進は孤独」という噂に戦々恐々としていました。
しかし実際に始めてみると、周りの専攻科生の友達も当然進学ならみんな外部生であることや、他の受験生と情報交換をしていたこともあり、あまり孤独であるとは感じませんでした。
もちろんこれは自分の現所属が特殊であるということに起因しますが、「他の受験生と情報交換をする」だけでもこの気持ちはかなり和らぐのかなと思います。
受験を終えて振り返ってみるとそのように感じたので、これからこのnoteで言及されている研究科を受験する人は、質問などがあれば自分のTwitter(https://twitter.com/cotton392)に気軽にDMなど送ってもらえればと思います。

余談

受験を終えてしばらくして、先輩から「来年度の研究室に配属されるM1、今のところTomohiro君だけだよ」って言われてかなりびっくりしました。
研究室が大学構内でなく京大病院内にあるのに加えて同級生いないのはキツすぎるので情報学研究科の同級生は仲良くしてくれると嬉しいです…

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