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本領発揮の岸田外交。林外相はなぜG20を欠席したのか?外交の岸田の作戦?


 岸田と菅前を分けるものは持っているか、持っていないかです。
 内政の実務能力なら菅前の方がはるかに上です。
 ただ、菅前って人はとにかく持っていない。ナンバー2としては超一流です。ただ、ナンバー1にはなったのですが、ナンバー1として続けられるものを持っていなかった。
 岸田首相が総裁選を勝った時はなにしろ東京五輪が一応は終了して、コロナはオミクロンになって、落ち着いてきた。
 この時期に就任できたこと自体が持っている。

 本題です。
 林外相のG20の欠席はいったいなんだったのかです。
 調整不足とかは、いまの結果を見れば、ちと違うと思いますよね。
 推測としては。
 
 1.岸田首相をインド経由でウクライナに訪問させるためのアリバイ作り  
 
 2.林外相を訪中させるための中国への面子作り
 
 まず、1です。
 これは、インド訪問もたまたま。習近平がプーチンと会うのとタイミングがあったのも偶然。
 そんな偶然があってたまるか。
 珍しく高橋洋一先生を信じるのですが、多分、アメリカからなんとなくの情報を得ていて、指示に近いものがあったのではないか。
 それがはじまったのが2月からではないかと。
 そうすると3月8日のG20の林外相の欠席があり、そのお詫び行脚的に岸田首相のインド訪問を計画したのも計算が合います。
 G20に林外相が欠席してもインドのモディ首相は特に反応はせず、政権内部でも落ち着いていたことのつじつまもおかしくはありません。
 モディ首相のインドはQUAD陣営でアメリカ、日本にとっては同盟国なので口裏合わせはできる仲です。
 アメリカがインドを仲介していた?あるんじゃないですか。
 ただ、同盟国なので問題はありません。そのためのQUADです。
 ある意味ではQUADが機能しました。
 まず、これが1.のアリバイ作り。

 次に2.の中国の面子作り。
 一方で林外相にG20に出席させて、すぐに訪中させたら、中国は「こいつらはどっちを向いている?」ってなるでしょ。
 QUAD、AUKUS側と中国側、どっちも刺激しないための2正面作戦。  
 ただ、中国国内での邦人拘束はシナリオにはなかったと思います。
 ここでも岸田首相は持っていて、林外相の訪中の意味合いが異なってきました。
 最初は、日本が中国にもいい顔するつもりだったと思います。
 中国側も想定していたシナリオどおりに朝貢外交を日本にさせることはできなかった。
 日本、強気だったでしょ?
 もし、G20で林外相がなんかの約束とかをして中国に乗り込んでいたら、最初から中国はそりゃ最初から強圧的になりますが、できなかった。
 習近平にしても自分と核の拡散をしないと合意をした翌週にベラルーシに核配備するって約束を破るプーチンにいつまでも付き合いきれないが本音かと。
 今回、中国は強気なことを言うどころか歩み寄りが見られるぐらい。
 わからないのが中国海警局の日本領海侵入ですが、うーん、現場と北京の意思の疎通ができなくなっている可能性も否定しきれなくて。
 習近平は沿海部出身で押さえつけができていると言われているのですが、台湾海峡には手を出しているようで、一線は超えていない。現場には不満がないとは思えない。
 日本と中国が最悪の関係になったのは日本の海上保安庁と中国漁船が衝突した時期。
 そこまでは絶対にやらせないコントロールをしている。
 今回は、どうも中国海警局の船は日本の漁船に動きをあわせていて、海上保安庁を刺激するような真似もしていない。
 結果的に時間は長くなったのですが、海上保安庁が厳しい対処をしたら、即離脱するつもりだった気も。
 日本の漁船が港に戻ったら、中国側も離脱するつもりだったのでは。
 たしかに中国当局は日本を試しました。ただ、一線を超えることはさせないつもりでもあった。
 西側の国と付き合うのと中国、ロシアを一緒にしてはいけません。

 これですね、どっちの妄想だとしても外交の岸田としては見事に作戦が成功しているのですよ。
 外交の岸田としてはウクライナ訪問以降は満点。
 本領発揮です。

 ところで岸田首相って、去年の秋いや年をまたぐぐらい前まで安倍さんの亡霊を菅さんよりよっぽど背負っていたと思います。
 自民党の楕円の哲学が崩壊して、かなり政権運営に苦労していました。
 国葬ではこの亡霊は消えなかった。
 防衛費増までは亡霊を背負っていました。
 防衛力強化は安倍さんの思想が強いものでした。
 これが異次元の子どもあたりからどうにもこれが見えなくなって、岸田首相自身の思いを話しはじめた。
 あとは岸信夫さんの引退宣言。
 たしかに岸さんは世襲をしましたが、一時的に岸信介の系譜が消えた。
 これは最後にちょっと妄想を書きます。
 日銀総裁人事、賃上げになるとアベノミクスとは別の成長戦略。
 ウクライナ訪問でやっと首相として岸田らしさ、自分の思いを発揮できたかなと。
 持っているというか、たしかに大型の指導力のある首相ではないのですが、いまの空気の日本にはちょうどいい首相にもなってきた。
 宏池会リベラルらしいお公家様的なソフトさがいまはいいのかもしれない。
 いいか悪いかは別にして閉塞した空気の時代の日本では安倍政権が長期化するしかなかった。
 日銀・黒田総裁も同じ十字架を背負っていました。
 リーマンショックもまだ解決したとは言い難く、東日本大震災のあとの日本はつらかった時代は、あの指導力が必要だった。
 コロナを経た日本人にはああいう指導力やカリスマはもういらない。
 もっと多様性やリベラルさが必要な空気に岸田首相がはまってきた。
 総裁選ではライバルでもあって、自分を追い落とすかもしれない高市さんをかばう余裕すらいまの岸田首相はあるでしょ?

 小西文章はよくわからないです。ありゃ、立憲民主党にとっての踏絵だったのか、自民党を統一地方選を前に結束させるための血判状になったのかよーわからんです。
 結果的にマスコミはかなり自民党・政権にはなにかを言いづらくなった。 
 それでも岸田首相に注文をつけられるのは改憲派の読売グループ、保守の産経グループ、経団連側の日経グループ。
 この3グループは注文をつけますが、追い落とすことはしません。
 これも岸田首相は持っている。

 ところで途中で書いた岸信介の系譜。
 安倍=>菅=>岸田の流れを岸信介=>池田勇人の流れと同じようにするのが天の配剤だとしたらできすぎです。
 そこまで天に恵まれた首相とかはありえないですね。
 まさかですね、この文章では安倍さんの亡霊と書きましたが、実は消えたのは安倍さんの亡霊ではなく岸信介の亡霊の依り代がなくなって、消えたのは岸信介の亡霊。

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