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スーパー猫の日に② 箱入り娘

結局スーパー猫の日に更新できなかった、今飼っている猫の話。
一応、前回の続きです。↓


出会い

職場の駐車場で保護した子猫「メイちゃん」を新しい家族のもとに引き渡してしばらく経った頃。

「やっぱり猫がいた方がよかったなぁ」

母が呟いた。
何と勝手な……あなたが猫を飼うのに否定的だったから里親を探したんじゃないか!
そう言うと「あんたがここまでちゃんと世話すると思わなかったから」と返ってきた。これまた失礼な。

母も子供の頃には実家で猫と暮らしていたのだから、猫が嫌いなわけではない。
メイちゃんがいなくなってやっぱり寂しくなってしまったみたいだった。


地元の神社の前に個人経営の小さなペットショップがあった。(最近閉店した)
ある日、母とふたりでふらりと覗いてみた。

単に覗くだけのつもりだったが、そこで生後3か月くらいのキジトラの子猫と出会ってしまった。わたしたちが訪れるほんの数時間前に引き取られてきたばかりだという。
ここで会ったのも何かの縁。この子を連れて帰ることにした。

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子猫の頃

最初のうちは陰に隠れていてなかなか出てきてくれなかった。
おとなしくておりこうさんな猫ちゃんが来てくれたぞ!そう思っていた。

が、どうやら単なる人見知り、猫をかぶっていただけのようだ。
わが家の環境に慣れてくると大暴れ。障子は破るわ、仏壇は破壊するわ、朝はお腹の上でジャンプして起こしてくれるわで、元気いっぱいのおてんば姫の本性を現したのはわりとすぐだった。
まさに猫。猫らしい猫。猫の中の猫である。

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紙袋が絡まったままの体で障子をぶち破ったところ。捕獲するのにひと苦労。
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シロクマのぬいぐるみをヨダレまみれにし、蹴りを入れる。
最終的にこのシロクマさんはバラバラ死体となって御臨終。


名前をつけてくれた人

この子は、名を「ミミ」という。いかにもベタなこの名前は、妹が当時付き合っていた元・元・元カレがつけた。

さっきも書いた通りミミは人見知り。猫の扱いに慣れている元猫飼いの友人が遊びに来た時もなかなか近づこうとしなかった。
しかし、この名前をつけてくれた当時の妹の彼氏にだけは違った。彼は松坂桃李似の超絶イケメン。初対面のその瞬間からすぐにデレていたのだ。
猫もイケメンには弱いらしい。ミミが初対面でデレた相手は後にも先にも彼ひとりである。

一時期一人(と一匹)暮らしをしていたアパートにて。
名付けてくれた妹の元元元カレにデレるミミ


性格など

「人見知り」以外に、おてんばであばれんぼで甘えんぼ。
抱っこが好きじゃないけど膝には乗りたい。(でも夏は暑いので寄ってこない)
幼少期に動物病院で犬の吠え声にビビり倒して以降、病院はこわい。
わたしのてのひらをちゅうちゅうする癖が抜けない。
写真写りはあまり良くなく、なかなかカメラ目線をくれない。
窓の外を見て過ごすのが好き。完全室内飼いの箱入り娘だ。

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アパート暮らしだった頃のひとコマ。
こちらでは珍しい雪に釘付け。
いま住んでいる実家の猫部屋から。やっぱり外を見るのが好き。

人見知りでもあるが猫見知りでもある。一度、知人が保護していた猫をひと晩預かったことがある。自分よりもずっと小さい子猫に散々ビビり、その子をキャリーに入れて隔離してからはキャリーの外から盛大に威嚇しまくっていた。ミミが日中ひとりで過ごすのはさびしかろうと多頭飼いを考えたこともあったが、この様子を見て諦めた。ミミは自分が一番のお嬢様なのだ。

わたしが下僕としてお世話全般をやっているので、やっぱりいちばん懐いてくれている。
名前を呼べば返事をするし「おいで」と言えば膝に乗ってきてくれる。
かわいくてたまらない。
ちょっとくらいイタズラされても「猫だもんね〜(*´꒳`*)」でゆるしてしまう。

母も母で、ミミのイタズラにはぷりぷりしつつ、適度な距離感で付き合っている。積極的にかわいがりはしないが、様子を見て面白がったり、たまにちょっかいかけては猫パンチを喰らったり。
わたしが旅行などで家を空けるときには代わりに世話をしてくれる。ありがたいことだ。


これからも……

ロックバンド「人間椅子」和嶋さんのテルミン演奏を聴いて不穏な表情を浮かべるミミさん。お気に入りショット。

現在、ミミは9歳になるところ。猫の寿命と言われる年数の折り返しくらい。
これまであっという間だった。成猫になった1歳の頃からずっと変わらないから(最近若干丸々しすぎ感はあるが……)、こんなに年月が経っているなんて実感が湧かない。9年間ずっと変わらずかわいい。

そしていつもわたしを癒してくれる。
気持ちが沈んだとき、心が痛いとき、寂しいとき、ふかふかでやわらかなミミを撫でていると心が落ち着く。
呼ぶと来てくれて、撫でるとゴロゴロ喉を鳴らしてくれると、自分が必要としてもらえているみたいで安心する。
宇宙のような漆黒の後頭部は、見つめていると悲しい気持ちを吸い取ってくれる。
猫には、動物には、不思議な力がある。

あと何年この子と一緒にいられるだろう。これまでがあっという間だったから、これからもあっという間なのかもしれない。
できるだけ長く一緒にいたい。ミミができるだけ長く健康で幸せでいられるように、これからもしっかりと下僕の務めを果たしていきたい。


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