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カントリーの楽器といったら、まずはBob Willsから語りはじめなければなるまい。

カントリーミュージックの楽器についてを中心に書き溜めていきたいと思いnoteを始めた。カントリーの楽器について語るとき、色々な始め方があるとは思うのだけれど、まずはカントリーミュージックのルーツの一つである音楽Western Swingの代表格Bob Wills & His Texas Playboysの楽器について紹介したい。

今のカントリーミュージックシーンでは歌姫だとか、スーパーギタリストとかがもてはやされているが(いや、それは2000年代初頭の話かな)Western Swingの花形はフィドル奏者だった。今となってはフィドルが目立って出てくるカントリーミュージックは少なくはなってしまったけれど、Western Swingにとってフィドルは欠かせない楽器であった。

Bob Wills(James Robert Wills)もフィドル奏者だった。
テンガロンハットに「葉巻を咥えて!」フィドルを演奏するという、今となっては放送に耐えられないようなスタイルで、一世を風靡した。40年代にはそのスタイルで8本も映画出演をしているのだから、日本でいう加山雄三や小林旭(古いか)のような存在だったことがうかがい知れる。

私は、勝手にBob Willsの使っている楽器はどこかアメリカのGibson Mandolin-Guitar Mfg. Co. Ltd.製あたりのフィドルだと思っていたのだけれど、調べてみたところ、どうやらどうやら18世紀イタリアの名工G.B.グァダニーニ(Giovanni Battista Guadagnini)の製作したものであったそうだ。
彼はその楽器を30年代(Wikipediaによると1935年あたり)に購入したそうなのだが、それほど売れっ子でもなかった時期に、よくもまあそういう高級楽器を購入できたもんだ。やっぱりビッグなミュージシャンになるひとは楽器への投資を惜しまないのか…。

グァダニーニに楽器といえば、ストラディバリウスにも並ぶほどの名器とモノの本で読んだこともある。今手元にそのモノの本がないので、なんという書籍だったかは忘れたが、そうらしい。

そもそも、フィドル音楽について、私は全く詳しくはないのだけれど、ヨーロッパではアイリッシュ・ミュージック、ジプシー音楽、 Bob Willsと同時代にパリでうまれたマヌーシュ・ジャズなんかで盛んにフィドルが使われている。もっとも、フィドルとヴァイオリンは呼び方が違うだけで同じものだから、ヨーロッパのクラシック音楽奏者が演奏していたヴァイオリンと同じものをヨーロッパのフィドル奏者が使っていたことも考えられる。

北アメリカで、フィドルが登場する音楽といえば、アパラチアのフィドルが一番有名である。ニューヨーク出身だがBruce MolskyはRounder Recordsレーベルにアパラチアスタイルのフィドルのアルバムを出しているので、私も時々聴いたりしている。
そのアパラチアの音楽をルーツに持ちながら、ケンタッキー出身のBill Monroeが始めた音楽、ブルーグラスに登場するフィドルも北アメリカ音楽を代表するスタイルだ。私もビル・モンローのレコードが大好きで、愛聴しているが、彼のマンドリンと並んで彼のバンドブルーグラスボーイズのフィドル奏者(ケニー・ベイカー!)のフィドルが音楽に華を添えている。

それで、話を戻すとBob Willsである。
彼のフィドルのスタイルはブルーグラスのスタイルとも違う、テキサススタイルなのだが、このテキサススタイルというのは上記のアパラチアのスタイルとも少し違って、要するにジャズに影響を受けたスタイルである。ブルーグラスではバンドにフィドル奏者はだいたい一人だけれど、テキサススタイルは二人もしくは三人のフィドル奏者がハモったりする。

そういえば、テキサススタイルのBob Willsのフィドルには太く、艶やかな少しヨーロピアンな香りがするのだけれど、あれは彼の楽器に起因するところもあるのかもしれない。

Bob Willsのフィドルについての話は、尻切れトンボになってしまうがこのぐらいにして、次からはWestern Swingで活躍したギタリスト、スティールギタリストの楽器について書きたい。


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