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2022年1月〜2月によく聴いたアルバム達

 一つ前の記事を随時更新したいと書きましたがそんなことをできるはずもなく気付けば3月になってしまいました。世間に目を向けると暗い気持ちになるばかりの昨今です。暗い気分の時こそ音楽を聴きたくなるものですね。サマソニ行きたいなあ。The Libertinesは本当にPeter Doherty(謎のフランス人とのコラボ作が出ますね。バンドはどうした)も一緒に来てくれるのでしょうか。
そんな今年の初めによく聴いたアルバム達です。ほぼ前の記事に出てきてはいるんですが、こちらは実際に聴いた感想という形になります。

Cat Power / Covers

お久しぶり通算3作目のカバーアルバムは、私の好きなCat Power、つまり全編暗くてソウルフルなルーツミュージックで最高でした。原曲はLana Del ReyにThe PoguesにIggy Popにセルフカバーまでとにかくヒップな選曲。悪いはずがありません。私はボーナストラックのストーンズ"You Got The Silver"が聴きたくて国内盤CDを買ってしまったクチです。結果割とストレートなカバーで、だからこそ本編の没になったんだろうなと納得もしました。国内盤CD、ボーナストラックなんて懐かしい響きもこの郷愁溢れる作品には合ってるではありませんか。

宇多田ヒカル / BADモード

今年頭は本作なくしては語れません。特に復帰後の評判は私の周りでも高かったのですが、"光"をはじめ昔から好きな曲はあれど別にそこまで…な私でも素直に頭を垂れる他ない傑作です。思わず過去作を全て聴き返してしまいました。タイトル曲とか本当にいい。
とはいえ上記然りFloating Pointsが絡んだ曲とそうでない曲に大きな差があることは否めません。正直タイアップ曲のうちの何曲かが足を引っ張ってる気がしなくもありませんが、どうでしょう。

Elvis Costello & The Imposters / The Boy With No Name

The Imposters印のロックンロール…つまり生々しくて燻銀なロックンロールが全開な作品でした。かっこよろしいのは大前提なんですが、ステレオタイプなElvis Costello(=初期)のイメージで聴くと渋く、とっつきづらい作品ではあります。いやもはやそのイメージよりもこの渋い感じの方が長くはあるんですが。"Brutal Youth"(1994)くらいからでしょうか。玄人好みなロックンロールよりもバラードの方が好みです。

Miles Kane / Change The Show

これまでの中では一番ポップで、クラシックなブリティッシュポップといった感じにまとまった佳作だと思います。Corinne Bailey Raeとの曲なんか爽やかで素敵ですね。しかし1stの"Come Closer"やThe Last Shadow Puppettesで見せるような飛び抜けた曲がないのが辛いところ。あとはやはりマフィア映画の下っ端Aみたいなルックスと音楽が合ってないので、この人は髪を伸ばした方がいいと思います。

Big Thief / Dragon New Warm Mountain I Believe In You

早くも年間ベストの呼び声も高い、ドカンと20曲80分の大作にして全く飽きさせない傑作。演奏面でのRadioheadの影響が囁かれ、とかくインディー筋から評価の高いバンドですが、難しいことを考えなくてもフォーク/カントリーとして曲がいいのがずるいですね。いい歌をクールなサウンドで聴かせたら最高に決まっています。個人的には本作のプロデュースの一端を担ったDr. Dog再評価にも期待です。 

Spoon / Lucifer On The Sofa

ここ最近で一番話題になってない感があるSpoonの新作ですが、最高です。いたってシンプルな、60sソウル/R&Bに影響を受けたロックンロール
なのに、この人たちがやるとどうしてこんなにカッチョいいんでしょう。"The Hardest Cut"のブレイクの鋭さなんか、おそらく今年これ以上のギターの音は聴けないんじゃないかという気すらします。そしてその後に訪れる"My Babe"のジェントルさもまたエモい。オトナの余裕ってやつですね。

Metronomy / Small World

ローファイダンス・ポップでお馴染みの彼らですが、本作はソングライティングに重きを置いた、SSWやらAOR風な作品でした。3rd"Love Letters"の最初の方("The Upsetter"と"I'm Aquairs")がドストライクな私は好物です。とはいえ件の2曲と比べても普通というか、全体的に飛び抜けたものもない、といのが正直な感想。
Porriges Radioとの共演もなんだか出来損ないのFleetwood Macみたいですし。その出来損ない感がこのバンドのチャームでもあるのですが。

Sea Power / Everything Was Forever

祝・全英4位!インディーで地道に活動する中堅がチャートの上位に入ると嬉しいですね。解散しなそうで。パンデミックの影響もあり、「今までユーモアに逃げがちだったけど真面目にやろう」と思ったという本作。真面目にサイケなインディーロックをやっています。悪くはないけどユーモアこそ彼らの良さだったにな、と思ってしまうのも確か。
毎回歌詞が印象的な彼らですが、本作のパンチラインは「クトゥルフ、僕の元においで/自由にしてあげたいんだ」でしょうか。

Bernard Butler / People Move On (Reissue)

1998年のソロ1stにして傑作のリイシュー。注目すべきは有名ギタリストのソロ作、そのリイシューを記念したボーカルの再録という、ギターじゃないんかい、な頓珍漢さ(?)でしたが、結果まんまと再録版の方ばかり聴いてる自分がいます。元々音が悪くない90年代後半のアルバムのリイシューとなると、単純なリマスターよりもこういう方が聴きごたえありますね。なんだかんだギターも微妙に再録してるうえに、最終曲"I'm Tired"なんかは完全新録です。流石の凝り性。
内向きで悲痛な思いも希望も過剰で温かいウォールオブサウンドでぶっ飛ばす本作は、リリースから20年以上を経てなお、どうしても疲れて孤独な日のお供として極上の作品です。

James Morrison / Greatest Hits

デビューのタイミング的に、1stの頃は癒し系イケメン(風)SSW的な扱いを受けた彼ですが、その要因でもある"You're Beautiful"でお馴染みJames Bluntと比べてソウルの影響が色濃いところが個人的にツボで、それ系のブーム(ダニエルパウターとか流行りましたね)が過ぎた後もこっそりと聴き続けています。何よりも2009年の3rd"The Awakening"でBernard Butlerをプロデューサーに迎えたあたりで私は彼を応援しようと決めました(商業的にはその辺りから下降線になった気がしますが)。
本作は再録ベスト盤です。代表曲を羅列されるとそのエモさに胃もたれします。件の3rdからの曲がBernardが絡んでない曲なのが不満です。

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その他にもHurray For The Riff Raffやアニコレなんかをよく聴いていました。今月はこれまでのところBand Of HorsesやRex Orange County、Michelleの新作が好きです。若年世代U2普及プロジェクトことSing2観に行きたいなあ。

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