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【音楽×珈琲 鑑賞録】11月1日~マックス・ブルッフ スコットランド幻想曲

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【61日】
11月1日のテーマは、【作曲・演奏】

とりあげる作品は、
マックス・ブルッフ /
スコットランド幻想曲

です。

マックス・クリスティアン・フリードリヒ・ブルッフ
Max Christian Friedrich Bruch
1838年1月6日 - 1920年10月2日
ケルンに生まれベルリンで没したドイツの作曲家、指揮者、教育者

「スコットランド幻想曲」(Schottische Fantasie)作品46は、1879年から1880年にかけて作曲したヴァイオリン独奏とオーケストラのための協奏的作品です。
正式な題名は「スコットランド民謡の旋律を自由に用いた、管弦楽とハープを伴ったヴァイオリンのための幻想曲」(Fantasie für Violine mit Orchester und Harfe, unter freier Benützung Schottisher Volksmelodien)。作曲当初は「スコットランド協奏曲」(Scottische Konzert)、「ヴァイオリン協奏曲第3番」などとも呼ばれてもいました。

パブロ・デ・サラサーテのために作曲され、サラサーテに献呈されましたが、初演は1881年2月22日に、作曲上のアドバイスを行ったヨーゼフ・ヨアヒムの独奏で、ブルッフ指揮のリヴァプール・フィルハーモニー協会によって行われました。
後にヤッシャ・ハイフェッツが1947年に世界初録音を行い、世界的に知名度が高まりました。

以前記事にした、1868年のヨアヒムが初演した「ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26」 (1. Violinkonzert g-moll Opus 26)から約13年を時を経た作品で、これもまた旋律の美しさが際立っている名曲です。
マックス・ブルッフの音楽は、旋律性に長けていることが前回の記事で理解できましたが、もう一つの特徴が民族音楽を取り入れた音楽性にあります。
この「スコットランド幻想曲」のほかに、「コル・ニドライ」(ユダヤ教音楽)、「スウェーデン舞曲集」など、世界各地の民族音楽を巧みに昇華しています。

ブルッフはスコットランド幻想曲を手がけた当時、スコットランドに行ったことはなく、「スコットランド音楽博物館」(Scots Musical Museum)という曲集からインスパイアをうけ作曲しました。
多くの音楽家がその大地に行くことなく、伝来したものからインスピレーションを受け作曲していますし、当時の趨勢からも民族音楽を取り入れて曲を作ることはヒットにつながる作法のひとつでした。

ブルッフの作品がこんにちまで演奏し続けられている要因は、やはりその旋律性の美しさにあるのでしょう。
ある意味メロディメイカーとしての優秀さがずば抜けていたため、他に類をみない評価を得ています。
そこに民族音楽という材料が掛け合わさったことで次元を超えた感じです。

メロディは誰にでも作れる反面、技術ではないセンスによるところが大きいものです。ただ、センスは知識によって始まり、磨くことで開花するもの。
ブルッフの旋律がなぜ愛されるのか。
その秘密を探ることは音楽の理解を深めることに必ずつながるはず。
自らのメロディセンスを磨くためにも、ブルッフの音楽をもっと聴いていこうと思いました。

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