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【音楽×珈琲 鑑賞録】12月14日~アルノルト・シェーンベルク ワルシャワの生き残り

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【18日】
12月14日のテーマは、【周辺】

とりあげる作品は、
アルノルト・シェーンベルク /
ワルシャワの生き残り

です。

アルノルト・シェーンベルク
Arnold Schönberg
1874年9月13日 - 1951年7月13日
オーストリアの作曲家、指揮者、教育者

「ワルシャワの生き残り」(A Survivor from Warsaw)作品46は、1947年に作曲した、ナレーター、男声合唱と管弦楽のための作品です。
演奏時間はおよそ7分程。初演は1948年11月4日にアルバカーキにおいてカート・フレデリック指揮、アルバカーキ市民交響楽団、ナレーションはシャーマン・スミスが担当しています。

この作品における特徴であるナレーションは、シェーンベルクが作詞で、第二次世界大戦中にワルシャワのゲットーから生き延びてきた男がホロコーストの恐怖体験を訴えかけるように語っています。
言葉は英語ですが、ドイツ兵が登場する場面での台詞はドイツ語。
ナレーションが大詰めを迎えると男声合唱に代わり、旧約聖書の申命記第6章の4~7節をヘブライ語で歌いあげます。

音楽は、さすがのシェーンベルクという狂気じみた音響で、十二音技法の無調音楽が不気味でありながら、だからこその強訴感で恐ろしさを促しています。

ナレーションとオーケストラの協奏は不規則に聴こえるようで、ナレーションが音楽に合わせ、音楽に合わせナレーションを行っているため、歌っているようにも聞こえます。
このナレーション、「シュプレヒゲザング」(独:Sprechgesang「語る歌」)、または「シュプレヒシュティンメ」(独: Sprechstimme「語る声」)という表現で、この作品でも精密な進行と場の空気に緊張感があり、グッと引き寄せられる感覚を覚えました。

オペラとも歌曲とも違う表現主義音楽。
マスには届きにくい音楽性かも知れませんが、刺さる人には深く刻み込まれる音楽です。
現在のようなグローバルに届く時代においてはよりシェーンベルクの手法は学び深いものがあります。

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