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レッドアイ

レッドアイといえば、昼間のバーカウンターで一杯飲むのにぴったりのカクテルだ。俺は昔、よく酒に酔って昼間っからカウンターに座ってたもんだ。その時は、人生が何かを見つけようと必死になってた。でも今は、もうそんな必要もない。人生を理解するなんて、無駄なことだとわかったからだ。

そんな俺がこのレッドアイを飲むと、いつも思い出すのはあの時のバーカウンターだ。トマトの酸味とビールの微炭酸が、心地よい酔いをもたらしてくれる。
このカクテルは、ビールとトマトジュースを合わせたシンプルなものだ。普通のビールをグラスに注いで、その上にトマトジュース加える。そしてスプーンでかき混ぜたら、出来上がりだ。

酔いが回ってくると、頭の中がぼんやりとしてくる。でも、それがまた心地よくてたまらない。カウンターの向こうでバーテンダーが黙々とグラスを磨く音が、さらに俺の意識を麻痺させていく。

そんな中、ふと目に入ったのが、物思いにふける綺麗な女性だった。彼女は一人でカウンターに座り、何かを考え込んでいるようだった。俺は彼女のことを見ているうちに目が合ってしまった。彼女は小汚い俺を見ても優しく微笑んだ。俺は精一杯賢く見せようと人生について考えるふりをした。

あれ以来俺はレッドアイに酔いしれて、昼間のバーカウンターで人生について考えるふりをするのが好きになった。

もう何年も経ってしまったけど俺は何一つ変わらない


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