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2月の絵本鑑賞:『ユックリとジョジョニ』、『ゆきのひ』、『こびととくつや』

『ユックリとジョジョニ』荒井良二 作
ほるぷ出版 1991年 28cm

歌が上手なユックリと、踊りの上手なジョジョニが出会って、それだけのシンプルなお話なのだが、何だか良い雰囲気。
ただ一緒にいるだけで楽しい、世界が違ってくる、そんな空気が伝わる。
明るくてビビッドな絵が、二人のワクワクした気持ちをを表しているようで楽しい。
ユックリとジョジョニという言葉のチョイスも、穏やかなユックリと、元気一杯ののジョジョニという感じで、絶妙だなと思う。

『ゆきのひ』加古里子 作
福音館書店 2009年 20×27cm

雪の季節は過ぎてしまったけど、こちらは加古里子さんの、楽しい雪国の絵本。
雪が降る季節の、田舎での暮らしぶりが語られている。
子どもたちが、「りっちゃん」「とよちゃん」などの愛称で登場していて、なんだか親しみを感じる。
雪国で暮らす子どもたちやその家族が、雪と共に目一杯生きていることが伺える。自然と共に暮らすことの厳しさと楽しさの両方が、沢山伝わってくる。
どちらかというと説明的な語り口なのだけど、読み進めていくと、雪国ならではの豊かな暮らしを一緒に味わっているような、充実感が湧いてきた。

『こびととくつや:グリム兄弟の童話から』
カトリーン・ブラント 絵 藤本辰巳 訳
平凡社 2002年 26cm

可愛いイラストに惹かれて手に取った本。どちらかというとシンプルなイラストに、靴のくしゅっとした手作り感や、正直者の靴屋の夫婦、そしておどけた身振りのこびとたちの様子が詰め込まれていて、すごいと思った。
言葉が全てひらがなで書かれているおかげか、堅い印象に思えることがある昔話の語り口も、易しく読めた。若干長めなので、読み聞かせには少し根気がいるかもと思う。
靴屋の夫婦とこびとたちの、見返りを求めない、儚くも優しい関係性に、じんわりくるものがあった。