見出し画像

みんなで考える みんなで作る

2020年4月より
武蔵野美術大学 大学院 造形構想研究科 造形構想専攻クリエイティブリーダシップコースに通っています。私の学科では「クリエイティブリーダーシップ持論」という授業があり、毎週クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているゲスト講師をお招きし、お話を伺います。
あくまで講義のレポートではありますが、デザイン思考などを学び、実践している方々との繋がりや、情報の共有が少しでもできれば嬉しいなと思います。

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第9回【講義日】2021年9月6日(月)

関治之さんにお話を伺いました。
関さんは自信を「Civic Hacker」と名乗り、Code for Japanを立ち上げられた方。またそれに加え、この9月からデジタル庁のプロジェクトマネージャーとして携わられているそう。エンジニアとしてインターネットの進化とともに走りながら、ソフトウェアやシステムの開発等に参加素ていたとのこと。なんと多彩な方なのでしょうか…
https://www.code4japan.org/

みんなと生きる


そんな関さんがなぜCivic Hackerを始めたのかというお話です。
その始まりは、2011年の東日本大震災の時のこと。
それまでというもの、Yahooジャパンでエンジニアとして働いており広告配信システムを作っていたそうです。
そこであの大震災が起き、その4時間後には関さんは動き出していました。
「Sinsai.info」という震災の情報を地図上にマッピングしていくというサイトを作り始めたというのです。

今現在45歳の関さんは、10年前の東日本大震災が大きな転機になったと言います。それまでは全く社会課題とかにコミットするということは想像していなかった、Yahooジャパンでエンジニアとして働いていて広告配信システムを作っていたそうです。それが、たまたま東日本大震災の時に、Sinsai.infoというサイトを立ち上げて、震災の情報をみんなで地図上に集めてマッピングしていくというものを震災当日に作り始め、オープンソースソフトウェアを使って、すぐに情報が集まったり、助けてくれる人たちがたくさん集まったというからすごい。顔を合わせたこともない250人の人々が、避難所の開設や救援物資の流通など、ライフライン情報が人々が日々共有されていったそうです。
日本人ならば、あの日の記憶は強烈に残っていることと思います。
震災4時間後なんて、何が起こっているかも理解し切れていなかったですし、怖い。どうしよう。と自身と大切な人々の安否しか私は、頭に浮かばなかったと思います。
そんな中、人々のために瞬時に行動ができる心の強さと美しさたるや。カッコ良すぎます。
そして、「震災までは社会課題解決なんて全く考えていなかった」とのことでした。ご自身の心の美しさが、導かれるように世の中へ滲み出ていったのでしょう。



ボトムアップな社会


そこで印象に残ったのが、伽藍とバザールのお話です。
伽藍とバザールという2つの比喩を対比しながら、トップダウンアプローチとボトムアップアプローチを比較しているもの。その中で、オープンソースでは、バザール型の方がいい形だということを述べています。行政システムだと、今では、それぞれの自治体が伽藍を組み上げている状態で、変化に弱くて一つの組織にノウハウが溜まり、利用者側は手を出せない状態になってしまうとのこと。自治体でも共有してオープンソースのコミュニティになることでいろんな人の声が届くようなスタイルを目指したのが、Code for Japanにつながったということ。
Code for Japanは、ビジョン・ミッションとして「ともに考え、ともにつくる社会」「オープンにつながり、社会をアップデートする」と掲げています。東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトも関さん達によって提供されているのですが、githubという共有サイトにオープンソース化され、わずか3週間で224名のエンジニアが750件の改善提案を投げかけ、671件が取り入れられています。ずっと扉は開いているので、みんなの声によって、力によって成長し続けるのです。美しい。素晴らしい。沢山の声を吸い上げて、しっかりと反映させていくスタイルこそ自治体の理想の姿だと、そう思います。


みんなで考える みんなで作る 

関さんのお話を聞いていて、ハッとさせられた部分がありました。
自治体のシステムに対して、他人任せにし、評価ばかりしている自分についてです。評価をするということも興味を持っている証拠ではあるとは思いますが、それって自分勝手な態度です。汗もかかずにあーだこーだいうことなんて誰でもできます。私自身も自分ごととして捉え、何かできることはないかと働きかけなければと思ったのです。
関さんが「参加型熟議民主主義」という言葉を仰っていました。そこで本当に大切になるのが対話であり、正しいことでなく、楽しいことが大事だと。本当の「楽しい」って深く深く掘り下げていくと、正しいにも繋がるような気もするんですよね。過ちを含んだ楽しさって結局虚しくなる物です。
自分自身のあり方としても、再度考えさせられる回でした。ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?