本棚の本は整理しないでください
2020年4月より
武蔵野美術大学 大学院 造形構想研究科 造形構想専攻クリエイティブリーダシップコースに通っています。私の学科では「クリエイティブリーダーシップ持論」という授業があり、毎週クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているゲスト講師をお招きし、お話を伺います。
あくまで講義のレポートではありますが、デザイン思考などを学び、実践している方々との繋がりや、情報の共有が少しでもできれば嬉しいなと思います。
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第11回【講義日】2021年9月20日(月)
今回はグラフィックデザイナーで大阪芸術大学教授の三木 健さんのお話を伺いました。
三木 健さんは、1955年神戸生まれ。1982年に三木健デザイン事務所を設立し、ブランディング、アドバタイジング、パッケージ、エディトリアル、空間など様々なフィールドにおいて情報を建築的にとらえる発想でデザインを提案し、多くの賞を受賞されています。
みんなで生むいいデザイン
お話の中でも特に印象に残ったのが、セレンディピティについてです。
偶然の幸運をキャッチできる能力を、意識的に鍛えていらっしゃることだそう。どれほど自分が偶然の幸運に出会えるだろうか?ということを期待し、無駄を無駄としない余白にこそ生まれる発想を大切にされています。
そこから仮説を立てて、物語を妄想していき、コンセプトを組み立てていくそうです。
ブランディングは絆づくりであり、Mind Identity(理念の声)、Visual Identity(理念の顔付き)、Behavior Identity(理念の行動)の心・顔・体をデザインしていくことだとのこと。
それにおいて重要であることは対話。
効率重視な今のビジネスは、結果をすぐ出そうとする直線的なアプローチで溢れていますが、果たしてそのアプローチの中にいいアイディアは生まれているのだろうかと言うことを考えてしまいます。
偶然から発想をキャッチする
偶然の幸運に出会う能力=セレンディピティを高める を定義されている三木さん。その例として、事務所の内のルールで、「書籍の並びを整理してはならない」というものがあるのだそうです。事務所にある多くの本は全てランダムに入っており、返す場所もどこでも良いそう。三木さんの道草や寄り道をいかに大事にされているかが伝わるとともに、しっかりとそこに向かうようにデザインされた三木さんのアイディアは驚きました。偶然と言う不確実性を含む事象を確実にデザインしていく三木さんのプロフェッショナルをひしひしと感じました。
さらに、三木デザイン事務所ではブランディングを推進し、構想を深めるための八則を掲げます。
三木さんの生み出すもの、思考全てに楽しさ・ワクワク感が溢れ出ているんです。そしてそれを普遍化し、汎用性のある形にするべく、デザイナーでありながら、言語化し、このように私たちに発信してくれることは素晴らしい姿勢であると感じました。
偶然の中からヒントをキャッチするためには、非常に注意深く観察し、一瞬のヒントを見逃さないことが非常に重要であり、これを今までの経験から逃さず、しっかりとデザインアイディアへ昇華させている三木さんの、豪快で丁寧でハッピーなデザインへの姿勢に圧倒されました。
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