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障碍と法、私たちは一体何をしたいのか

聴覚が何らかの問題があって、聞こえない小学生が重機に跳ねられて亡くなった事件。
そしてその経過を追うほどに、心底、社会とはくだらぬと思い至る。
-----------------------------------------------------------------------------聴覚支援学校に通う女児(当時11)が2018年、大阪市生野区で重機にはねられて死亡した事故で、将来得られたはずの「逸失利益」をどう算定するかが争われた訴訟の判決が27日、大阪地裁である。
 裁判実務では、障害がある場合、低く算定される傾向がある。原告側は「健常者と同様にすべきだ」と訴えている。被告側は、障害などを考慮し、算定すべきだと反論している。
 亡くなったのは井出安優香(あゆか)さん。両親と兄が20年1月、重機の運転手や当時の勤務先を提訴し、逸失利益や慰謝料など計約6100万円の賠償を求めている。
 両親によると、安優香さんは生後すぐに難聴と分かり、医師からは「将来話すことは不可能」と言われた。母・さつ美さん(51)が安優香さんを連れて聴覚障害児向けの教室に通い、自宅では野菜などを見せながら、口を大きく動かして言葉を教えた。
 安優香さんは、発音の仕方と口の形で相手の話す内容を理解でき、友人と会話もできた。事故当時、大阪府立生野聴覚支援学校小学部の5年生。授業に積極的に取り組み、翌週には漢字検定を受ける予定だった。
 こうした状況を踏まえ、原告側は訴訟で、健常者と同様に逸失利益を算定すべきだと主張した。安優香さんには学年相応の学力があり、補聴器を使って口話でコミュニケーションを取れたと指摘。音声認識アプリなどの技術が発達し、障害者の就労環境の改善も見込まれるとし、「健常者と差異なく働くことができたと考えられる」と訴えた。
 提訴から3年。父・努さん(50)は地裁に向かう日は必ず遺影に手を合わせ、安優香さんの補聴器を胸ポケットに入れていた。当事者団体とともに署名活動もし、今月15日には地裁に5度目の提出をした。署名は計約11万5千筆に達した。
 夫妻は「娘が頑張る姿を見てきた。事故がなければ立派な社会人になっていたはずだ。障害の有無に関係なく、誰にでも将来の可能性がある。社会にとって良い前例になるような、前向きで公正な判決を下してほしい」と話す。(丘文奈)
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将来得られたはずの「逸失利益」 障害者、低い算定

 逸失利益は、事故などで亡くなったり、後遺症を負ったりした人が、将来得られたはずの収入を指す。古くは1914(大正3)年の大審院判例に「被害者側が加害者側に請求できる」と言及されている。
 被害者が就労者の場合、事故前の収入や「あと何年働けたか」などを根拠に算定されることが多い。一方、子どもの場合は将来、どんな仕事に就くかが見通せないため、逸失利益が認められない時代もあった。だが64年、最高裁は「不正確さが伴うとしても、裁判所はできうるかぎり蓋然(がいぜん)性のある額を算出するよう努める」と判示。現在では、平均賃金に関する国の統計を元に算定されるのが一般的になった。ただ、過去の裁判例では障害がある場合、逸失利益が低くされることが多い。障害の内容や程度、学力やコミュニケーション力などを踏まえると、社会の支援状況などを考慮したとしても「健常者と同じように働けたとは言えない」などと判断されるためだ。
 厚生労働省の2018年の調査では、聴覚障害者の平均賃金は全労働者の約6割。今回の訴訟の被告側も、安優香さんの将来の職種や仕事内容が「大幅に制限される可能性がある」として、原告側が主張する額の約6割が妥当だと反論する。
一方、近年、より高い割合を認めた裁判例もある。
 高校時代の事故で高次脳機能障害などが残った山口県の全盲の女性に対し、20年の一審・山口地裁下関支部判決は、健常者と障害者との間の賃金格差を考慮しつつ、女性の学歴などから「潜在的な力を発揮して就労する可能性があった」と認定。全労働者の平均賃金の「7割」をベースに逸失利益を算定した。さらに、二審・広島高裁は21年、障害者雇用や就労支援が徐々に変化する社会情勢から「今まで以上に、健常者と同じ賃金条件で就労できる社会の実現が図られることが見込まれる」とし「8割」と結論づけた。
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争点の“逸失利益”とは、基礎収入(被害者の年収)×労働能力喪失率なる14の等級それぞれ決まった料率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数というもので算出されているそうだが、これまた歪である・・

詳細は以下各省庁を参照されたし。
労働者災害補償保険法施行規則 別表第一 障害等級表
https://www.mhlw.go.jp/.../roudo.../rousaihoken03/index.html

就労可能年数とライプニッツ係数表
https://www.mlit.go.jp/.../04relief/resourse/data/syuro.pdf

労働能力喪失率表
https://www.mlit.go.jp/.../04r.../resourse/data/sousitsu.pdf

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未来ある子供、障碍の有無は一切関係ない。
なのにあらゆるルールが隅々にまで張り巡らされ・・一体何なんだろう。

-----------------------------------------------------------------------------障害者基本法(昭和四十五年五月二十一日法律第八十四号)

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そして、加害者側はそれらのルールをベースに減額が妥当だとツケ入る。
法律とは一体何なのだろうか。誰のために作られ、誰を守っているのか。

法曹の全てが刷新でもされない限り、こういうことが繰り返されること自体が変わることはなかろう・・この国をごっそり刷新する方法はないものだろうか?


昨晩、北海道の鰊が手に入ったので捌いて“身欠き鰊の甘露煮”を作ってみる。三枚におろし3-4等分にしたものを濃い目の緑茶で20分ほど炊いた上で水・醤油・日本酒・味醂・砂糖・生姜で煮詰めるだけ。
写真を見る限りはもう少し煮詰めても良かったかとも思うが・・とても簡単なので丸魚を買って、お試しあれ。

身欠き鰊の甘露煮

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