四季

1994年産まれ29歳 10歳女児の継母、第一子妊娠中

四季

1994年産まれ29歳 10歳女児の継母、第一子妊娠中

最近の記事

私は君のママになれない

彼の子どもを心から好きになれない。 私の方がママらしいことをしてるのに「ママはいるからもう要らない」って言われて、ママと呼ばれることを諦めた私って幼稚でひねくれてるのかな。 「もうママって呼ばれるのは諦めたよ」と私が言うと、彼は悲しそうな顔をした。だって呼びたくないなら仕方ないし「第二のママって呼ぶ」とか言われてて外で「第二のママ!」って呼ばれて、周りから哀れみの目を向けられるなんて恥ずかしくてたまらない。だったら今まで通りちゃん付けで呼ばれたほうがマシ。 私は自分の子ども

    • 「なんとなく」を信じる。

      結婚が決まった。 どうやら年内、二十代最後の年に私は既婚者になるらしい。それと同時に小学校高学年女児の母にもなる。人生とはなんとも面白可笑しく出来ているもので、諦めたその時にこそ不思議なタイミングで愉快な出会いを果たし、あり得ない程のスピードで未来が拓けていく。抱える問題や乗り越える試練は山のようにある、「普通」の結婚生活を送ることは恐らく叶わない。けれど、なんとなくこれが正解な気がする。「なんとなく」で動いた結果、それが本当に正しい選択であったことを私は知っている。試行回数

      • この胎にはなにも居ない。

        「一応は陽性なんだけどうっすらだから、おそらくは子宮外妊娠というやつで」「もう生理になっているみたいだ、初期流産というやつだね。」 社長室のような豪勢なテーブルの向こう側に座った老年の医師が、趣味の悪い金色のギラギラした時計を見せつけながら、あれこれとカルテに記入している。書いている万年筆もこれまたギラギラしていて趣味が悪い。そして残念そうな声のトーンとスピードで話す。頭の後ろの方が少しずつ、だが確実に冷たくなっていくのが分かった。この胎には、なにも居なかったのだ。 月経の

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