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【ゲーム会社就業実績500名以上】授業料なしでプロフェッショナルを育成しているアカデミーの秘密を探る

いったいどうやって運営しているんだろう。

毎年150名以上が卒業、その90%以上がゲーム会社やCGスタジオに就職できるプログラムがある。授業はほとんどがオンライン。講師はプロフェッショナル(以下:プロ)として活躍しているCGデザイナーなどで、受講生は真剣そのものらしい。専門学校とはちょっと違う雰囲気と講義スタイルが特徴のその名は「C&R Creative Academy」。なんと無料で運営されているという、なぜそんなことができるのか、秘密と秘訣は意外なものだった。


3DCGキャラクターモデルクラスはじめ、各クラスは常に人気だ

2023年6月までで500名のプロを生み出す

「デザイナークラスやプランナークラス、エンジニアクラスなど、クラスごとで授業形式は変わりますが、講師が講義をする時間は全体的には少なく、とにかく自主制作と制作に対しての講師からのフィードバックに時間を充ててもらっています」とアカデミーの責任者で塾長と呼ばれている佐藤浩平さんは言う。

アカデミーの責任者で「塾長」と呼ばれる佐藤浩平さん

「2018年8月、ゲーム業界に入りたい人はたくさんいて、ゲーム会社からの求人もたくさんありました。でも実際に入社できる人が少ないという不思議な状態でした」その解決策の一つとして産声を上げたのが「C&R Creative Academy」だ。これまで500名以上のプロを輩出しているものの、残念ながら業界の人材状況はまだまだ課題が多い。

「今もゲームクリエイターを目指す人は多くて、年々増加傾向にあると思います。でも、業界を目指す人の母数に対し、実際にゲーム業界に就業できる方の割合は少ないのが現状です。よく勘違いされがちですが、『相対的に上手い人がプロになれる』のではなく、『業界レベル(企業が育成できるレベル)に到達している人』がプロになれるという構造なんです。似て非なるものです」

「私たちはこの"業界レベル”にとにかくこだわり、毎月講師と運営で打ち合わせをして、今現場ではどのレベルの人材が求められているのか常にチェックして生徒を指導しています。すべては『業界就業してから継続的に活躍できる人材』を育成するためです」

講師陣は全員プロのクリエイター。その要求レベルは高い

しかし、ここで疑問が。日本に60くらいあるゲーム系の専門学校でも同じように育成しているはずだが、それはどうなのか?

「2年生の専門学校では1年間でまんべんなくゲーム制作の基礎を学んで、2年目に専門コースという流れが多いのですが、その時には就職活動を始めなければならなくて、どうしても特定分野の技術力を高めることに時間が割けない事情があるんです」と佐藤さん。

9つのクラスがあり受講生は100名

さらに、「アカデミーは入学する時に本人が極めたい技術、やりたいことを決めてもらって、最初から1つの職種に就くことを狙っていくんです」とも。だからなのか、アカデミーのクラスは最初から細かく分かれている。昼間クラスの場合、月曜日から金曜日にかけて毎日5~6時間ほどの学習があり、それを3か月以上(1年近く続くものもある)、なんと入学金も月謝も違約金もなくすべて無料で受講できる。

3DCGキャラクター、背景、モーションなど、当初から志向に合わせてクラスが分かれる

【C&R Creative Academyの9つのクラス】
(1)3DCGキャラクターモデルクラス[6か月]
(2)3DCG背景モデルクラス[6か月]
(3)3Dモーションデザイナークラス[5か月]
(4)VFXアーティスト(ゲームエフェクト)クラス[5か月]
(5)After Effects(モーショングラフィックス)クラス[3~6か月]
(6)CGブラッシュアップクラス[※内定獲得まで]
(7)夜間モデルクラス<背景、キャラ>[8か月]
(8)UE4/C++(ゲームエンジニア)クラス[4~12か月]
(9)ゲームプランナークラス [6か月]

無料の理由は運営母体が、プロフェッショナル・エージェンシーのクリーク・アンド・リバー社(C&R社)ということ。就職先を紹介して手数料を企業側からだけ受け取る仕組みだからだ。そのため、教える側も教えてもらう側も真剣になる。

1年間での受講生は120~150名程度、その93%(2022年実績)が卒業と同時に大手ゲーム会社や制作会社、C&R社「C&R Creative Studios」のゲームスタジオ「COYOTE 3DCG STUDIO」などに就職して、最前線ですぐに活躍している。

実務視点でプロを育てる

アカデミースタッフの皆さん(左から大久保よし美さん、佐藤浩平さん、佐藤 菜那さん)

講義は実践的で受け身でない分、貪欲に試行錯誤しながら制作に臨む人、講師が与えた課題以上のものを提出して「驚かせよう」という思考を持っている人、いわゆる"できるヤツ”がどんどん成長していく。そのため、その成長スピードについていけない人はどうしても脱落してしまう。ずっと待っていてくれるということはない。

「きびしいと思うかもしれませんが、就職とゲーム制作のプロとして活躍していけるかという視点で育てているので。『ゲーム業界で活躍するのは、現時点では難しいかもしれない』と面と向かって伝えることもある」とスタッフの大久保さんは言う。「それは早く気が付いて欲しいし、その人の人生を真剣に考えているからこそなんです」

大久保さんは優しさから厳しいことをきちんと伝えてくれる

アカデミーで成長して、就職できる人はココが違う

では、どんな人がこのアカデミーで育ってプロとして活躍できるのか。ポイントを聞いた。
「行動と一致した『やる気と情熱』がある人です。アカデミーに入学するために、何か行動をきちんと起こしたかを見ます。単にゲームを作りたいと言うだけでなく、自分なりに調べたり勉強したりということが重要です」と佐藤さん。

才能やセンスは重要ではないのかと質問すると「才能は"時間”だと思うんです。どれだけ努力してセンスを磨けたか、時間をかけて接するかが大切なんです。大前提としてゲームやCGが好きな人じゃないとアカデミーへの入校は難しいですが、それと同時に、行動と一致した『やる気と情熱』を持ち、そして今後の伸びしろがあるかどうかを軸に入校のハードルを設けています」

どんなアツい人たちがOBなのか

では、いわゆるアツい人たちが集まるアカデミーには、これまで一体どんな人たちが入学、卒業していったのだろうか。佐藤さんに聞いた。
「京都大学を卒業して、どうしてもCGクリエイターとしてゲーム業界で働きたくて入学した関谷さんは印象的でした。ご両親や周りから反対されながらもアカデミーに入学すると言って東京に向かう時、おばあちゃんがコツコツ貯めた30万円をそっと渡してくれたそうです。それで『アカデミーで1番になる』と言ってまったくの未経験から本当に一番になり、今では株式会社セガでCGデザイナーとして活躍しています」

そのほかにも、台湾の牧場農家で働いていた謝さんは、29歳で来日して日本語学校で学びながらエフェクトデザイナーとして株式会社Skyartsに入社を果たした。

VFXアーティスト(ゲームエフェクト)クラス 2019年卒業生 謝さん

かなり特徴的な例として、役者やホストを経験後、インフルエンサーとして活躍していたものの生粋のクリエイティブ魂で30歳で入学。努力を重ねて、C&R社の「Amusement Creative Studio」に入ってモーションコミック(動くマンガ)制作を担当している川名さんもいる。

After Effects(モーショングラフィックス)クラス卒業生 川名さん(2021年10月卒業)

それ以外にも人生いろいろを感じさせるツワモノクリエイターが続々と輩出されている。うーん、このアカデミーは最強のゲームクリエイター養成機関なのかもしれない!!!!!その思いを強くしてインタビューは終了した。

卒業生の懇親パーティーも開催

取材を終えた週末、アカデミーやC&R社のゲーム事業部主催で卒業生60人以上を集めた懇親パーティーが開催された。アカデミーのモデルクラス(昼間・夜間)卒業生でゲーム会社で就職した仲間が、虎ノ門のイタリアンレストラン「Cassolo」で久しぶりに再会。もちろん講師や塾長、スタッフも参加したが、この時ばかりは厳しさはなく、優しい眼差しで歓談やゲームに興じていたのが印象的だった。

卒業生の懇親パーティも開催されている

その卒業生たちを見て、努力を重ね壁を乗り越えて自分の夢をつかんだ人たちというのは、こんなにも目がキラキラとしているものか、と改めて思った。この人たちが創るゲームはさぞかし楽しいものになるんだろう。日本のゲームのために、アカデミーの皆さん、こんな人たちをもっともっとたくさん育ててくださいね!■CR

CREEK & RIVER公式note編集部

C&R Creative Academyについてもっと知りたい方はこちら▼

https://www.cr-ca.com/