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2021アルゼンチン代表について-3(選手2)

☝ひとつ前の記事はこちらのリンクから読めます。

1.アルゼンチンの選手(若手)

アルゼンチンの主力は怪我がない限り連戦します。それ故に体の強い選手が多いですが、疲弊とも隣り合わせというのが現状です。
2021年は特に疲弊起因の怪我で主力の離脱が発生した中、代役としての若手の台頭もあり、光明が見えた年でもありました。

※オータムネイションシリーズ中なので代表キャップ数が正確ではありません。WOWOWなどで改めて確認する事をお勧めします。

1-A.FW編

フォワード陣は同じような顔触れが多いですが、その中で8人のうち1-2人を代わる代わる試すような形で若手に少しずつ経験を積ませている印象があります。筆頭としてクレメールを挙げていますが、彼が若手の希望の星的存在になっているかもしれません。(やや喧嘩っ早い所がありますが)

●Marcos Kremer(マルコス・クレメール) LO・FL 代表26caps

2015−2016 Club Atlético del Rosario
2016−2020 Jaguares
2020‐ Stade Français
2020年にニュージーランドに初めて勝利した時、最もタックルの多かった選手です。(20タックルくらい。その上で失敗0)
タックルの多さとラインアウトの球際の強さが特徴の選手です。ただその一方でタックルの初動が速すぎるあまりオフサイドの反則を取られることもたまにあります。

1997年生まれの24歳の選手です。経歴としては17歳(2015年)に地元アルゼンチンのプロクラブでデビューし、18歳頃、スタートメンバーに定着するようになります。2016年にハグアレスに加入し、同時にアルゼンチンU20代表にも選出されます。U20代表では3位に貢献しました。この貢献とパフォーマンスが認められ、ロスプーマズにも呼ばれるようになりました。
さらに、18歳でスーパーラグビーのデビューも果たしています。


●Thomas Gallo(トーマス・ガジョ) PR 代表2cap

2020 Olimpia Lions
2020– Benetton Rugby
1999年生まれのプロップの選手です。2021年のTRC(南半球対抗戦)の最終戦、オーストラリア戦で初キャップを飾り、後半からの出場ながらも2トライを決めました。
プロチームとしては祖父母の出身地イタリアのベネトンと長期契約を結んでいます。

イタリアにルーツを持ち、イタリア代表になる資格も有していましたが、アルゼンチン代表として戦うことになりました。個人的には突破力の高い選手として2023,2027W杯で注目したい選手です。


Juan Martin Gonzalez(ジュアン・マーティン・ゴンザレス) FL 代表1cap

2021 Jaguares XV
2021– London Irish

2021年にルーマニア戦でアルゼンチン代表デビューした21歳の若手です。
現状、フランカーにはブルーニ、マテーラ等がおり、層が厚く食い込む必要がありますが、2023年・2027年で台頭してくるかもしれない選手です。

2021年からロンドンアイリッシュと契約したのでPremireshipに揉まれて育つことになると思います。


1-B.BK編

フォワード陣と違い、事情により様々な選手が入れ替わるバックス陣です。ウィングやセンターは7人制ラグビー上がりが多く、ディフェンスの硬さを国是とするようなアルゼンチンに於いて、トライを取るためにはウィングの脚の速さが必要不可欠なのではと感じます。そのためか年齢的にもかなり若い印象を受けます。
ボッフェリ、ベルトラノウは27歳くらいですが、他の選手は22-24歳前後です。

●Santiago Carreras(サンティアゴ・カレラス) UtilityBK 代表17caps

2019–2020 Jaguares XV
2019–2020 Jaguares
2020– Gloucester
2019年にスーパーラグビーデビューし、2020年からはグロスターでプレーしている選手です。グロスターではWTBをやりますが、2021年のTRCではSO、FBなどもこなしました。(それ故にポジションはUtilityBK表記にしています)

全体的にバックスとしてのプレーをそつなくこなす選手という印象です。ニコラス・サンチェスが高齢化しているのでSOに定着する可能性ももしかしたらあるかもしれません。
なお、弟にマテオ・カレーラスもおり、弟は今年2021年に代表デビューしました。(ニューカッスル・ファルコンズ所属)


●Gonzalo Jesús García(ゴンザロ・ガルシア) SH 代表2caps

2020 Ceibos
2021 Cafeteros Pro 
2021– Valorugby Emilia
2021年にアルゼンチン代表初キャップを獲得したスクラムハーフです。南半球対抗戦の後半から出場してきました。

プロデビューはまず2020年にアルゼンチン国内リーグのロサリオのチームに加入したのち、2021年にCafeteros Pro (コロンビアのプロチーム)に加入し、SLARで南米の各チームを相手に試合を積み重ねました。
そして、南半球対抗戦での出場を機にイタリアの国内リーグ(TOP10)のヴァロラグビー・エミリアとの契約を獲得しました。

プレースタイルとしてはテンポの速さと自ら先陣を切って突破する攻撃的なスタイルが魅力です。ただクベッリのような老獪さ・巧さに関してはさらにテストマッチの経験などが必要そうです。


●Gonzalo Bertranou(ゴンザロ・ベルトラノウ) SH 代表27caps

2016−2020 Jaguares
2021− Dragons
2015年からアルゼンチン代表になっている選手です。前記事で取り上げても良かったのですがキャップ数が27とまだまだ伸びそうな感じなのでこちらの方で取り上げました。
現在はURCのウェールズのチーム、ドラゴンズに所属しています。

私個人的にはガルシア推しなのですが、ベルトラノウは北半球のフィジカルの強さに圧されない長所があると感じています。後半戦、試合をある程度整えたのも彼の力によるものが大きいですしね。



●Bautista Delguy(バウティスタ・デルグイ) WTB 代表17caps

2018–2020 Jaguares
2020–2021 Bordeaux
2021– USA Perpignan
2016年にアルゼンチン7人制代表になったのち、2018年から15人制ラグビーのプロ・代表に参戦するようになりました。
7人制代表上がりの特徴ではあるんですが、ウィングからのトライを取れる脚の速さ・ステップが持ち味の選手です。
2020年の南半球対抗戦ではトライを挙げるなど活躍しましたが2021年は北半球のプロリーグでの試合も相まって疲弊からか代表戦は低調な結果になっています。


●Marcos Moneta(マルコス・モネタ) WTB? 代表0caps

2018- Argentina 7s
アルゼンチン7人制代表として、東京五輪でトライ王に輝きアルゼンチンの銅メダルに大きく貢献した選手です。

アルゼンチンを中心に南米に詳しい(多分記者)Paul Teitさんもいつ代表戦出場するの?って言っていますが現在まだ出場は叶っていません。
カレーラスやデルグイとの競争にまず勝つ必要があります。


●Lucio Cinti(ルシオ・シンティ) CTB 代表4caps

2018- Argentina 7s
2019 La Plata 
2021- London Irish
上記のマルコス・モネタと同じ21歳でアルゼンチン7人制代表の東京五輪銅メダルのメンバーでもあります。
彼は南半球対抗戦後半からキャップを被り、試合に出場するようになってきています。2021年はロンドンアイリッシュと契約したのでPremireshipで時々見る機会も出てくると思います。また、イングランド仕込みのプレーができる選手として今後主力になってくると思います。
(アルゼンチン代表のバックスは入れ替わりが激しいですが)


●Emiliano Boffelli(エミリアーノ・ボッフェリ) UtilityBK 代表25caps

2015 Pampas XV
2016–2020 Jaguares
2020−2021 Racing Metro 92
2021-2022 Edinburgh
2015年からアルゼンチン代表に名を連ねています。ですが、25capsと常連になったのは最近のようです。
元々はウィングやセンターでした。今年はニコラス・サンチェスの負傷により、SOに転向したカレーラスと分担してキック担当&フルバックに落ち着き始めています。
また、キック精度に関しても数戦で50m級のロングキックに対応できるようになるなど、順応の高さも見せています。オータムネイションズカップではフルバックでの起用が多いので注視が必要な選手です。

所属チームとしては2016-2020年にハグアレスとしてスーパーラグビーで117点の得点を積み重ねたのち、撤退後はラシン92⇒エディンバラ(スコットランドのチーム)と、今はURCを主戦場としています。


2.最後に

アルゼンチン代表の選手はハグアレスがスーパーラグビーから撤退したことによって、半数以上の選手がフランス・英国など北半球のプロリーグ(代表級の選手はほとんどトップレベル)と契約する形になっています。
すなわち、英国・フランスのレベルでプレーしている15人が代表に選ばれて来ることになります。

従って、2023W杯で日本代表がアルゼンチンと対峙する場合、イングランドと同等のフィジカルでプレッシャーをかけてくることは自明であり、このプレッシャー・ブレイクダウンにきちんと対応できない限りは勝利は難しいのではと考えます。
また、アルゼンチン側はフランスでプレーしている選手も多いことから2023のW杯は半分ホームに近い、慣れた場所での試合をする利点があることも考慮する必要があります。(これについて考慮が浅い記事・解説が散見されるので変な方向に向かわないか不安ではあります)

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