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世界のデフラグビーについて調べてみる2

こんにちは!
デフラグビーシリーズ第2回目です。

(ヘッダー画像はウェールズのニュースサイトの中から引用させて頂きました。)

今回の記事は各国のデフラグビーが2023年2月の世界大会に向けてどういうアクションをしているのかを中心に記事にしてみます。

主催国であるアルゼンチンは、当然ながら男女ともに参加に意欲的で6月の段階で集中的な強化・活動を始めています。

1.日本

日本については、7月23日に選考合宿が始まり、9月には2泊3日で合宿が行われました。

また、9月の合宿の中のラインアウトセッションでは、スローイングに関するコーチングが実施されていることが分かります。
(※コーチングを行った柴谷さんは元デフラグビー日本代表。去年まで日野レッドドルフィンズのアナリスト)
理論的なアプローチも取り入れているように感じます。

また、10月2日にJRFUと協働してデフラグビー体験会を開催する予定です。このnote記事を読む方で知り合いや家族に聴覚障害者の子供がいてラグビーに関心のある方だったら参加してみてはいかがでしょうか。
また、午後には体験会もあるのでそちらを見学してみても良いと思います。


2.北半球(ほぼ英国)

第1回世界大会の優勝・準優勝は北半球勢が独占しましたが、当時の規定では聴力が両耳25dB以下でした。
2023年の世界大会では聴力の規定が両耳平均40dBに変わっているのでその影響がどのくらい出るかといったところです。

2-1.イングランド

イングランドは4月に女子の聴覚障害者チームと地域のラグビークラブ2チームと試合を行っています。
また、10~2月にかけて強化合宿を行うことになっています。この時の参加したメンバーを中心に編成が進みそうです。
男女ともに募集がかかっているので、男子・女子それぞれ単独チームを編成して出場という形になるでしょう。
面白いのは12月と1月に合宿がないところですね、クリスマス休みと15人制ラグビーのシーズンなのでしょうか。

現役のイングランド7人制ラグビー女子代表に聴覚障害者(人工内耳)のJodie Ounsley選手がいますが、彼女もデフラグビーの大会に出場するかどうかも注目です。


2-2.ウェールズ

前回優勝チームのウェールズですが、イングランド以上に積極的にSNSを更新しています。
6月には、地元の大会に参加しました。
8月にはホームネイション(=英国連邦)選抜などと試合を行っています。

また、ウェールズラグビー協会主催で障害者ラグビーのイベントも7~8月にかけて開催されました。こういった情報もシェアされている状況です。

2-3.英国以外

英国以外はイタリアが時々Facebookで聴覚障害者ラグビー協会が記事をアップデートしていますが、明確な参加に向けた動きは現時点では見えていません。
フランスはグループが立ち上がっていますがこちらも公開できるレベルでの更新はあまりありません。(一度大会の告知があった程度)

内輪ではもっと動きがあるかもしれません。

3.南半球

3-1.オーストラリア

10月6日から10月9日にかけて男性・女性チームともに選考会・合宿を行うことが決まっており、Facebook上でイベントが立ち上がり、出欠の確認が行われています。

9月20日時点で参加確定含め、30人が関心を持っている状態です。
また、参加資金についてもオーストラリアのスポーツに特化した寄付サイトで寄付を募っている状態です。

3-2.ニュージーランド

facebookページにて一時は世界大会に向けて合宿がスタートした記事がUPされていましたが、現在Facebookページが見れない状態(非公開or削除)になっています。
ホームページの方も、国内対抗戦(兼7人制代表選考会)の結果がまだ発表されていないので動向の注視を継続していきたいと思います。

3-3.南アフリカ

2008-2011年にスプリングボクスのヘッドコーチを務めたPeter de Villiers が現在、南アフリカのデフラグビーチームのヘッドコーチに就任しています。また、彼の指導の下、9/24-25に合宿が行われます。
8/21-22にも練習が行われており、毎月1泊2日の合宿が行われるのでは?と思われます。かなり積極的な動きが見られます。
(もともと15人制で4チーム作れるだけの競技人口があるので7人制も選手層に厚みが出そうですね)

https://www.facebook.com/CoachPdV

https://www.facebook.com/SADeafRugby

4.アジア太平洋

4-1.香港

7~8月にかけてほぼ毎週、聴覚障害者を対象にラグビーを体験するような機会を設けていました。これを通して次世代育成・競技人口の増加を目指しています。
また、香港のメディアである香港01から取材を受けており、現状の課題(covid-19に対する隔離・制限/資金面)とともに、2023年の大会に出場したい旨の表明は出しています。(※具体的なアクションについての記事は筆者の調査能力では見つけられていません)

(※上の記事は広東語です。https://cantonese.jp/ ・百度翻訳など翻訳ツールを活用して読むのが良いかもしれません。)

4-2.オセアニア

例年通りであれば、Oceania 7sの中にDeaf部門の大会があり、フィジーとサモアを中心に7sの試合をやっていると思われますが、現時点では情報がつかめていません。(少なくとも2020年実施されており、フィジーがサモアに14-12で勝っている)

また、パプアニューギニア(PNGと表記します)も国内で少なくともデフラグビーの7sのチームが3つあり、直近で試合を行っているようです。ただ、PNGのデフラグビーチームが2023年の世界大会に参加するかどうかは分かりません。

上記、サモア、フィジー、パプアニューギニアの3チームが資金面で解決のめどが立てば参加してくる可能性は高そうです。
(世界デフラグビー協会の位置づけだとフィジー・パプアニューギニアの2か国がアクティブ、サモアが発展途上という位置づけです。前者2チームが可能性は高いかもしれません)

Deaf 7s Rugby 2020. Fiji Deaf 7s vs Samoa Deaf 7s Rugby.... Fiji Deaf 7s won 14 - 12.

Posted by Sailusi Jr Toalima on Sunday, July 24, 2022

(↑フィジー代表の選手が独走トライを決めるシーン)

5.アフリカ・その他

アフリカはケニアやウガンダ、ガーナを中心にデフラグビーの活動があります。
この中でもケニアは5年前に聴覚障害者ラグビー協会を立ち上げ、2019年以降、障壁を取り払う活動を行い、ニュースにも取り上げられています。
直近でも7人制ラグビーができるだけの人数が集まっている状況のようです。

上のリンク先記事より引用

また、ガーナも2023年大会の参加に向けて、ウェールズと一回親善試合を2020年4月にやっており、準備を進めているようです。


6.最後に

判る範囲でまとめてみましたが、もしかしたら検索不足で記事に漏れがあるかもしれません。
個人的には南アフリカ・フィジー辺りが優勝、アルゼンチンがベスト4に入ったら面白そうだなと思っています。2018年の第1回の時と比べても参加できる国が増えているので見応えも出てきそうです。
Youtube辺りでWorld Deaf Rugby連盟が中継を流してくれることに期待したいです。

さて、これはさらに未来の話。
2025年にオリンピックの聴覚障害者版である、デフリンピックが東京で開催されることになりました。
オリパラと比べて予算や競技規模は小さくなるかもしれませんが、この中でもしかしたらラグビーが競技として入る可能性もなくはありません。

中途失聴者を含む聴覚障害者でラグビーに関心がある人・過去にラグビーをやっていた人が居たら2025年の日本代表を目指すチャンスかもしれません。今から始めても遅くなさそうです。
そのためにも、一応世界のデフラグビーの動向は知っておいた方が良さそうですね。


↑投稿日の10月2日に開催されましたが、個人的にはこういうイベントを継続して開催してほしいと思っています。
この積み重ねと認知度向上が競技人口を増やすには良いと思うので。

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