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公務員本を民間視点で読んでみた(その3)

イントロダクション

去る4月29日、関東自主研サミットの主催で、関東自主研サミットにご縁のあるお三方(後藤さん、島田正樹さん、助川達也さん)が単著を出版されたのを記念してのイベントがオンラインで開催され、ワタシも参加しました。
それに備え、お三方の著書を民間視点で読み、本人の著書紹介のプレゼンを聴いたうえで、自分なりの学びをまとめてみました。
その3回目は、山形市役所の後藤好邦さんによる「ネットワーク活動でひろがる公務員ライフ」になります。
1回目、2回目に引き続き、ネタバレ要素が多大にあるので、これから読もうとしている人は、内容の部分を読み飛ばしてください。

内容(ワタシの学び)

冒頭部に「(自治体職員の)働き方や生き方に正解はない。その答えは一人ひとり異なり、それを自ら考えて実行すること」と書かれていますが、ここが全てのスタート。括弧付けしたのは民間視点で読むからという点が大きいのですが、この部分に関しては官民関係ないというのが一番大きな理由です。
「知域」とは文字通り「知」に関わる場であり、そこに飛び出すことで改めて「つながりの大切さ」や「つながりから始まる可能性」を感じることができる。

① ネットワーク活動
同じ市場のもとで利益を追求する民間企業には競争が存在し、技術やノウハウの情報を広く大きく公開するケースはあまり多くない。一方で自治体職員は技術やノウハウを共有することへの支障は少ない。そうした点から昨今は横のつながりを重視する活動が広がりを見せている。その切り口は人によって様々であるが、外に飛び出すことで横串を刺せるチャンスを得ることもできる。行政サイドはよく「縦割り」といわれがちかと思う一方で、共通課題の解決やアイディアの共有をできるチャンスは以前より確実に増えている。
そして、こうしたネットワーク活動は各々の目的や課題に応じて適宜使い分けていくことで、自分のなかでの幅が広がり、業務だけでなくプライベートにも活かすことができるようになる。

② 1歩目の踏み出し方
誰しもが最初から外に飛び出せるわけではない。しかし「チャンスは誰にでも訪れる。しかし、そのチャンスを誰もが掴めるわけではない。そのチャンスを掴めるかは少しの勇気をもち、行動を起こせるかにかかっている」と本文にある。そのチャンスはどこに転がっているかは分からないので、日々の業務においては誘いごとや頼まれごとに対して"Yes"と言える前向きなマインドを持っておくことが大切。
また、何かを実行するにあたっては「少人数の仲間と、身近な目標を立てて、期日を定めて行うこと」がポイント。

③ 仕事とネットワーク活動の両立
ワーク・ライフ・コミュニティ・バランス(WLCB)を意識して実践することがポイント。そのなかでも最重要なのはライフだが、人生で最も長く時間を共有するのが家族だからである。そのうえで、ワークとコミュニティとのバランスを取っていく。コミュニティはライフとワークを補完するものであるが、時にはコミュニティでの経験をライフとワークに還元することも大切。
官民問わず異動が存在し、時には望まない異動となることもあるが、それに備えるメンタリティとして「いつか自分の出番がやってくるから、それに備えて肩を温めておく」と強く念じることもポイント。そのうえで、人事異動には一喜一憂せず、自分の置かれた環境や立場で全力を尽くすことで、予期せぬ新しいチャンスと出会う可能性の門戸を開けておくこと。

④ 人財の育て方
業務上の評価は上司がすることになるが、後輩からの「目」にも気を配ること。後輩からの評価は、自分の業務や業務外の活動を評価する物差しとして捉えられるということを忘れてはならない。
その点から、自ら行動して後輩たちのロールモデルとして見本を示す一方で、時には一兵卒として後輩のバックアップとして貢献し、主体性と協働性をバランス良く持っておくことがポイント。
昨今、自治体職員の転職も散見されており、人財の流動性が目立つようになってきたが、これは決して悪いことではなく、官民双方の視点を有する人財であれば、相互の欠けたピースを埋める「通訳」として、相互理解を浸透することができるので、パラレルキャリアは一つの方法となり得るが、この点に明確な正解があるわけではない。

総括

一冊目の「自治体職員をどう生きるか」を読んでいることもあり、その延長線上にあるのかなと考えていました。
そのときの出版記念交流会にも参加していましたが、当時の学びは「ひとつのきっかけで、大きく変わる」ことと「丁寧に仕事をすることが、信頼として返ってくる」ということでした。
あれから1年とちょっとがたちましたが、本を読んでお話を伺ってみて思ったことは、そのときと大きく変わることはありませんでした。
逆に言えば、そのくらいこのポイントは重要視できるのだなと感じています。
非成長時代となって久しく、更にコロナ禍の状況下、チャンスと出会いの機会を増やす努力をする必要があります。
リアルの世の中に飛び出すことが難しく、オンラインでの場が増えている状況は、情報へのアンテナをより高く張り、嗅覚を高めておかないと、全国一律でヨーイドンのエントリー枠に滑り込むのは困難になります。
そして、場に参加するだけでなく、その機会をより活かすための見識を身につける自己研鑽も必要だということです。「想い」だけでは新しい価値は創造できません。
自分の学びを活かしながら、発信していく。その発信には情報だけでなく、感謝と感動を込めた「魅力」、さらには付加価値をもたせる「信頼性」を乗せていくことがより重要と感じています。

幸いにして、ワタシも限られた学びのチャンスをつかみ取れたのですから、それを自分の血肉としなければ勿体ないのです。3冊のなかで最初に読了した本ではありますが、このシリーズの集大成として書きました。
また、この本はより以前の2冊と比べても外に飛び出すうえでの実践的な内容が多いと感じています。外のフィールドに飛び出してつながりとともに自分の可能性を広げたい人に、特にオススメします。

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