ECLS-SHOCKを読んだ
心原性ショックを合併する心筋梗塞症例に対して、Early ECLSは usual careと比べて30日以内の死亡を改善せず, 合併症を増やすという結果。
心原性ショックとはここでは「低血圧, カテコラミン使用, Lactateが3mmol/L以上. あるいはLOSの症状があるもの」とされている。自分の臨床的な感覚としては, ECMOを導入する基準としてはかなり攻めていて, カテコラミンやIABP, impellaで乗り切れる人も結構含まれそうな基準に感じる。
また、コントロールグループの10%において高度な循環不全でECMOが導入されており, impellaなども同数程度導入されている。心原性ショックの20%くらいではMCSが必要であった。
救命的な治療を制限することはunethicalであるので、こういったRCTでは保守的な結果になりがちという側面もあるのだろう。よりハイリスクな集団でMCSがないと救命できないと考えている集団に対して効果的なRCTは組めるんだろうか?
臨床的な疑問が「集団に対する画一的な有効性」ではなく「目の前の患者がECMOによるメリットが大きいかどうか?」であれば詳細なリアルワールドデータを集めてTarget trial emulationなどの方が効果的(かつfeasible)なのかも。でもECMO導入時含めてエコーや詳細な循環指標などを悉皆的に集める必要があるので、これでもハードルは大きそう。
clinical implicationとしては、この研究で定義されたCSの基準を満たすだけではECMOの導入は不適当で, 一方でショックが進行するリスクが高かったり院内の体制(夜中に循環器内科が来るのに時間がかかるとか)等によっては総合判断で早めにECMO導入の検討はありえるという感じでしょうか。
Thiele H, Zeymer U, Akin I, et al. Extracorporeal Life Support in Infarct-Related Cardiogenic Shock [published online ahead of print, 2023 Aug 26]. N Engl J Med. 2023;10.1056/NEJMoa2307227. doi:10.1056/NEJMoa2307227
Leopold JA, Taichman DB. Routine Early ECLS in Infarct-Related Cardiogenic Shock? [published online ahead of print, 2023 Aug 26]. N Engl J Med. 2023;10.1056/NEJMe2309395. doi:10.1056/NEJMe2309395
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?