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押見修造の「惡の華」

2019年に山地悠紀夫についての本を読んでいて、
重い気持ちになったので、疲弊した頭をリセットするために、
押見修造の「惡の華」を再読していた。

「惡の華」は2019年の秋の公開に向けて
実写映画の製作が進められていた。

簡単なストーリーをご紹介すると、
閉塞した地方都市(群馬県桐生市がモデル)で、
鬱屈した思春期を送る、
ボードレールに心酔する少年、春日高男は、
同級生の佐伯奈々子にほのかな恋心を寄せている。

ある日、放課後の教室で、
佐伯の体操服を見つけた春日は、
反射的に持ち帰ってしまう。

その様子を同級生の仲村佐和が見ており、
春日と「契約」しようと持ち掛ける。

その契約とは、春日の変態性を
解放するという契約なのだが、
仲村が言う変態とは、
社会になじめない特異な性質のことであった。

そして春日は偶然佐伯とデートすることになり、
佐伯とつき合いはじめる。

仲村はデート中にも2人を尾行し、
春日の恋愛に横やりを入れてくる。

結局春日は仲村と
自転車に乗って家出するのだが、
それに気付いた佐伯が2人を追いかける。

その後3人揃って警察に保護され、
家出は失敗に終わるのだが、
春日は仲村の一見突拍子のない行動が、
実は春日に対する好意からのことだと気付く。

そして佐伯に別れを告げ、
仲村と行動を共にするようになるのだが、
あきらめきれない佐伯は、
春日と仲村が秘密計画のアジトにしている、
川沿いの掘っ立て小屋に放火する。

しかし春日の心は戻らず、
春日は仲村と2人で計画していた、
夏祭りで事件を起こすことの準備を続ける。

耐え切れなくなった佐伯は、
掘っ立て小屋に放火したことを自首するが、
春日と仲村は夏祭りで
イベントステージを占拠し、
その場で灯油をかぶって自殺しようとする。

自殺は阻止され、春日、仲村、佐伯は、
それぞれ故郷を離れて
バラバラに暮らすようになる。

引っ越し先(埼玉県大宮市がモデル)で、
高校に進学した春日は、
長身の美少女常盤と出会う。

常盤はカーストの上位に属していたが、
自宅にはたくさんの本を所有し、
読書が趣味であることを
同級生には隠していた。

常盤が読書好きであることを知った春日は、
事件後ずっとやめていた読書を、
常盤と交流することで再開し、
常盤が自分の小説を書くことを応援する。

春日とつき合うようになった常盤は、
春日の過去に何があったかを
教えて欲しいと言うが、春日は答えない。

そんな時故郷の春日の祖父が亡くなり、
葬式にかつての佐伯の親友、
木下が来て春日に仲村の消息を伝える。

外房の漁師町に仲村を訪ねた春日と常盤は、
海岸で3人で大乱闘をして仲村と訣別する。

そして春日は大学に進学し、
常盤はコンテストに入賞して小説家になり、
春日と常盤は結婚して、
おそらく幸せに暮らすだろうと思われる。

まあ簡単に言うと、
こんなストーリーです。

このマンガは僕が北九州の芦屋町に住んで、
若松の競艇場で働いている時に完結し、
僕はその最終巻を
毎晩嵐のような風の吹く、
海辺の寂しいリゾートマンションの一室で、
凍えるようにして一人で読みました。

物語の最後が
微妙にハッピーエンドだったことに
僕はとても救われました。

その後押見修造は「血の轍」という、
ものすごいパワーのあるマンガを書いた。


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