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#98 生きていてよかった

【往復書簡 #98 のやりとり】
①(9/12):及川恵子〈喜べ、12歳の私〉
②(9/14):泖〈生きてりゃ丸儲け〉
③(9/16):くろさわかな〈てりやきバーガー〉

てりやきバーガー

「生きていてよかった」ってくらいテンションがぶち上がったのは、旦那との初デートのときです。

デートと言っても、映画館とか水族館とか遊園地とか特別な場所に行くわけでも、ショッピングとかドライブとかデートっぽいことをするわけでもありませんでした。
事前に何の計画も立てず、ただ「久々に会おっか」みたいな感じで。

というのも、旦那とはその頃同じ会社で働いていましたが、持病で入院してしまってずっと休んでいたのです。ほんのり片思い中だったわたしは、悩んだ末に「大丈夫ですか」的なメールを出しました。
特別仲が良かったわけでも、面倒を見てもらっていたわけでもないので、旦那に後から聞いてみたら「なにか売りつけられるのか勧誘されるのかとちょっと疑ってた」とのことですが、訝しがられながらもメールのリレーが始まって、なんだかんだでデートすることになったのでした。

しかし入院中の相手とのデート。あんまり自由はききません。
土日はわたしもバイトで忙しいので、平日学校帰りにということになりました。

病院に外出届を出して来てくれた旦那と駅で合流し、だらだらとアーケードを歩いて、ロッテリアでてりやきバーガーを食べました(※)。感情が昂ぶっていたこともあり、そのときの会話の内容は全然覚えていません。多分、「てりやきバーガーって間違いないよね」っていう話はしたと思うのですが。なんか「ロッテリアのてりやきバーガー」以外の記憶がほとんどないのです。

まあ、「歩いて、ロッテリアに行って、てりやきバーガーを食べて、来た道を戻る」だけのデートなので仕方ないといえば仕方ない。自分じゃない誰かがそういうデートをしたと言ったら、「それは遊ばれてるのでは」とか「デートではないのでは」と心配になるレベルですが、遊ばれてもなかったしちゃんとデートだったのでよかったです。

今やその頃の自分の倍の年齢になってしまいましたが、久しぶりにてりやきバーガーが食べたくなったので、週末にでも旦那とまた食べに行ってきます。お互い、いつまでてりやきバーガーがおいしく食べられるかわからないしなあー。


※今考えると、旦那はあのときそんなジャンクなもの食べちゃだめだったはずです。「今を精一杯生きる」か「未来のために今を生きる」かって難しい選択ですよね。


追伸。1968年のリカちゃん広告がツボすぎます。リカちゃんのロゴ。「銀河に遊ぶ」「きものがいいかしらあ」などのパワーワード。最後に登場するリカちゃんフレンド(小三年)のコメント。どれもいい。


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