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DVDにて

 WEARE!とZ(どちらもバンド名)のDVDを入手し、観ている。どちらも解散ライブの映像を収めたもので、WEARE!は初めて、Zはラスト・アルバムである『絶塔』を聴いたあとに触れた。

 WEARE!はエモ、で良いのだろうか、フォーキーな歌心をギターロックで鳴らす四人組のバンド(三人だった時代あり)。あくまで淡々と、それまでに発表した三枚のアルバムから演奏していくのだが、最後の方では感極まって泣いているメンバーがいたりして、否が応でも終わりを実感させられてしまう。

 いきなりバンドの終わりだけを垣間見てしまったのは、まったく偶然にしろなんとなく趣味というか居心地というかそういったものが悪い感じがして、しかし演奏そのものはすばらしく、複雑な心境だった。

 Zは説明が難しい。日本に於けるエモ/ポストハードコアの伝説、THERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUTの元メンバーにskillkillsのドラムなども在籍していたアヴァンギャルドなロックバンド。『絶塔』の編成ではギター、ドラム、サックス/ヴォーカル、そしてゲストという感じだった。

 隙間を生かしつつも一打の重いアンサンブルと、狂気がユーモアを支配する歌詞世界で、他に類を見ないくらい『おっかない』バンドだ。映像に関しては初めてきちんと観たのだが、フロントマン根本潤の鬼気迫るパフォーマンス、魚頭圭のギター、弘中聡のドラムは冗談抜きで脳を揺らすように響くし、スタジオ盤も良かったが、やはりライブはずっとずっと良い。ゲストも盛りだくさんで、最後の祭りという感じだ。

バンドがなくなってしまうのは悲しい。いいバンドも、悪いバンドも、変わっていく過程を、『いま』を楽しめなくなってしまう。後には、音源と、映像、そういったものだけが残される。

けれど、こうして記録が残っている、というのは、かろうじてありがたいことなのかもな、とも思う。それが決して後世に残るというような大げさなものではなくとも、誰かが、いつか、どこかで、見つけ、触れるのかもしれない、から。

最近購入したPlastic Treeの最新アルバム『doorAdore』には、初回盤特典として過去のアルバムを再現したライブの映像が付属していた。ライブ、記録。そのアーティストが、観客が、スタッフが、確かに存在したということ。

未知の誰かに、発信するということ。

投げ銭してくれると小躍りしてコンビニにコーヒーを飲みに行きます。