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ファンド運営部門マネジメント・インタビュー③~投資管理部長・依田雅彦~

当社はソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)・サービスを運営するにあたって投資家の皆様にお届けするファンドの組成や運用、管理を主に担当するファンド運営部門(商品部、運用部、投資管理部の3つの部署で構成)があります。この「ファンド運営部門マネジメント・インタビュー」シリーズではファンド運営部門の各部の責任者が普段行っている取組みから投資家の皆様にいただいた疑問への回答までインタビュー形式で余すところなくお話していきます。

「自分が保有しているファンドが現在どのような状況なのか?」、「予定通りの期日に利益となって戻ってくるだろうか?」、「元本割れしてしまうのではないか?」、・・・。リスクのある金融商品への投資に心配は付きものです。そこで投資家の皆様の漠然とした不安を解消するために、今回は金融市場に関わり続けるベテラン、現在は当社の投資管理部長を務める依田に、当社ファンドの現状とそれに伴う対応について聞いてみました。

投資管理部長・依田がクラウドクレジットを選んだ理由

―まずは自己紹介、依田さんのこれまでのキャリア、クラウドクレジット入社のきっかけなどを教えてください。

依田:大学卒業後、銀行間の外国為替仲介業者にて金利スワップなどのデリバティブ取引を行っていました。その後、欧州系の金融情報ベンダーに転職して記者を経験。さらにその後は欧州系の投資銀行で約17年間、オペレーション部門を中心とした業務に従事してきました。

前職を辞めて新たなチャレンジをするとなった時、「前職の知識や経験を活かしつつ、それでいて今まで経験していないことをしたい」と思い転職先を探したところ、当社のホームページに行き着きました。直感的に面白そうだなと思って門をたたき、縁あって入社して今に至ります。

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ファンド運営部門の中での投資管理部の役割

―次に依田さんは、クラウドクレジットのファンド運営部門の中で投資管理部長のポジションに就かれていますが、投資管理部の役割とはどのようなものでしょうか?

依田:投資管理部が属するファンド運営部門は商品部、運用部と投資管理部の3部門になっています。

商品部は新しい資金需要者を発掘し、そこからデューデリジェンス(貸付対象となる資金需要者の調査)、ファンド組成を行う業務が中心になります。その後、そのファンドを販売すると決定したら、実際に集まったお金を資金需要者に投融資し、それから一定期間経過後に届けたお金を返済してもらう一連の取引管理・資金管理業務は、運用部の役割になります。

それでは私たち投資管理部は何をしているのかというと、資金需要者にお金を貸している間に、その資金需要者の経営状態に変調はないか、資金需要者が事業を展開している国や地域で法律の変更等がなされることによって事業の継続が難しくなっていないかなどのモニタリング、そして投融資の回収に懸念が出たときに関係者と行う折衝です。

どんなに事前のリスクチェックに細心の注意を払っても、貸出から返済までの間に資金需要者が同じ事業状況に居続けられるとは限りません。私たち投資管理部が常に状況をモニタリングし、各関係者と協働することで事業環境の変化に伴って生じる問題の解決を図っていくことは非常に需要なことといえます。

なお、法律の変更等に関しては、資金需要者に直接確認することももちろんありますが、場合によっては資金需要者が事業展開している国や地域の法律事務所にアプローチして情報収集等をすることもあります。

また、本邦には犯罪収益移転防止法という法律があり、好ましからざる人たち(反社会的勢力・違法薬物業者など)が犯罪等の活動を通して得たお金を既存の金融システムを使ってマネーロンダリング(資金洗浄)できないように、各社が体制整備しなければなりません。当然、当社グループもこの法律に対応する必要があります。

そのため、とくに海外の資金需要者等が麻薬取引を行っている人たちや日本でいうところの暴力団に所属する人などを把握して取引を謝絶する仕組みがしっかり構築されているかをモニタリングするのも、私たち投資管理部の役割になります。

あと、資金需要者と取引が開始された直後や資金需要者に万が一何らかの懸念が生じた時には、現場を確認するために現地に直接向かうこともあります。とくに資金洗浄のリスクが大きい国・地域や麻薬取引によく使われる国・地域、直近でテロリストが活発に活動している国・地域の場合は、資金需要者がしっかり事業を行っているかを現地で確認するに越したことはないですから、取引開始から1年以内に現地訪問するというルールにしています。

現地訪問の際に確認するのは主に資金需要者の事業環境です。普段、メールやSkypeを通じて資金需要者の状況確認は一定程度できますが、その国や地域の法律等の変更、事業環境の変化というのはなかなか遠隔で把握するのは難しいですから、私たちが現地に向かって直接確認する必要があります(注:ファンド運営部門のなかで十分な知見を有しているものであれば、投資管理部員でなくとも現地訪問の職責にあたることがあります)。

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投資管理部長・依田が投資家の皆様の質問に答える!

―ここからは投資家の皆様からよくいただく質問に対して率直にお答えいただければと思います。まずはこちらです。「保有している運用期間中のファンドが満期償還してから再投資するかどうか検討したいと思っています。参考までに御社のファンド全体の運用状況を教えてください。」

依田:当社のファンド全体の運用状況については当社ホームページに「お客様全体の損益分布図」(https://crowdcredit.jp/operation/index/24)がございますので、詳しくはそちらをご確認ください。

これを踏まえた上で直近の状況をご説明しますと、少々古いデータになりますが2019年3月末時点でのファンド全体の運用利回りは円建てで年6.00%でした。当社はサービスを開始して5年強になりますが、既に全額満期償還となったファンドもあります。その中で為替の動きもありますので一つひとつのファンドを見ていくと収益にかなりのばらつきが出るのですが、全体を均して見ると今のところは年6.00%の収益が生み出されているという状況です。

ちなみにこれまでに運用を開始したファンド総数が718本。そのうちの235本は既に満期償還を迎えています。一方で、残念ながら当初私たちが思っていたように運用がうまくいかず、投資家の皆様の元に返済ができずに、当初の見込みから運用期間が延長となっているファンドもあります。

しかし、全体の割合でいうと約90%のファンドは予定通りの運用ができています。残り10%のうち5%弱のファンドが元本割れになるリスクが一定水準まで高まっている状況にあり、一方の5%強のファンドが予定通りとはいえないけれども元本割れとまではならずにプラス圏を維持したまま満期償還を迎えることが期待できる状況にあると考えています。

とはいえ、過去の運用実績は、将来の運用実績を保証するものではありません。現在順調なファンドが暗転する可能性もありますし、逆に現時点で元本割れが生じる公算が大きく逆境にあっても将来的に好転する可能性もあります。だからこそ、投資家のみなさまには、分散投資を徹底することで、損失発生時のリスクを抑制するとともにポートフォリオ全体では比較的安定した運用成果を得られる運用方針をとっていただきたいと考えます。

私たちとしては、もちろんその資金需要者がしっかりと経営を維持していけばファンドが収益を出せそうという前提の下でファンド組成を行っていますが、そこに約束されたものはありません。そういうこともあって、投資家の皆様には特定のファンドへの集中投資は極力避け、分散投資を徹底していただければと考えています。

―次にこちらの質問です。「満期償還を迎えたファンドがあるのですが、その後に御社からお電話をいただくまで気づきませんでした。そもそも御社では電話以外にどういった対応をしているのですか?」

依田:償還金および分配金については、まず入金前日の夕刻に該当するファンドのお客様に対してその旨のメールをお送りしています。その上でさらに入金当日の夕刻にも改めてその旨のメール連絡をさせていただいております。

また、一部のお客様より「満期償還時の運用レポートがわかりづらい」といったお声を複数いただいたことを受け、別途運用実績を簡易に表したメールを送らせていただくなどしています。

運用レポートは私たちが投資家の皆様に報告しなければならないことを細大漏らさず記載しているのですが、それがわかりづらくてお読みいただけないというのでは本末転倒です。ですから、投資歴の浅い初心者の方にとってもわかりやすい運用レポートとは何かを考え続けながら、常にブラッシュアップしながら情報提供していく所存です。

投資管理部長・依田から投資家の皆様へのメッセージ

現在の日本はゼロ金利、マイナス金利といわれる環境です。その中で当社も含めたソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)の運営会社が組成するファンドは相対的に高い運用利回りが期待できるとされています。

しかしながら、ゼロ金利、マイナス金利の環境下で、相対的に高い金利が見込めるというのは、裏返せばその高金利であってもお金を調達する資金需要者の借入れニーズが旺盛にあってこそ。そう考えていくと、やはり相対的に信用リスクが高い資金需要者にお金を提供しているとの事実を十分認識した上で投資していただきたいと思います。

では「高リスクだからクラウドクレジットのファンドは購入しない方がいいよね」ということになるかというとそうではありません。先ほど申し上げたように分散投資の徹底を図ることでリスクに見合ったリターンをとりに行くような運用を是非お考えいただきたいです。

仮に利回りが高いA社が破綻して最終的に清算できる資産がほとんど残っておらず、大きな損失が生じてしまったとします。ここでA社のみに集中投資していれば大幅に元本を割り込む損失は避けられませんが、分散投資を徹底していれば他の運用資産でA社にて生じた損失をカバーできる可能性は十分にあり得るのです。分散投資の徹底を念頭において当社ファンドをご愛顧いただければありがたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。

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◇ファンドの手数料およびリスクについて
ご出資いただく際の販売手数料はいただいておりません。
なお、出資に対して、年率換算で最大4.0%の運用手数料を運用開始時に(または運用開始時および2年度目以降毎年度に)いただきます。
また為替手数料その他の費用をご負担いただく場合があります。
為替相場の変動、国の政治的・経済的なカントリーリスクや債務者の債務不履行等により、元本に欠損が生じるおそれがあります。
ファンドごとに、手数料等およびリスク内容や性質が異なります。
詳しくは、匿名組合契約書や契約締結前交付書面等をよくお読みください。

クラウドクレジット株式会社
第二種金融商品取引業:関東財務局長(金商)第2809号
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