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世界で一番かわいいよ!!!!!って言ってほしい(僕とくぴぽの話⑧)

僕はジェンダー論にとことん興味がない。
それもまぁ2022年に生きる現代人としてどうかというところではあるのだが、特段日々意識して暮らしているということはない。

けれども、この2年くぴぽを追いかけてきて、まきちゃんという存在を身近に感じていることで何となく思うことはある。

前にも書いたが、僕はコロナ禍でくぴぽを好きになった。
2020年9月のことだ。

2020年初頭までのくぴぽは、YouTube等でも観られるが、歌やダンスのパフォーマンスよりもまきちゃんがフロアでオタクにジャイアントスイングされたり、まきちゃんがオタクにボールをぶつけられたり、まきちゃんがオタクにバットで殴られたり、というヤンチャな印象が強く(全部安全なやつです)、2020年6月にアルバム「ニャンニーチュアン」が発表されるまで、僕は曲もろくに知らなかった。

その頃既にコロナ禍に突入しており、どこもライブ活動は休止、くぴぽはインターネットサイン会などで活動はしていたが、ライブができるようになってもフロアは声出し禁止、観覧場所の移動禁止、観客同士で一定の距離を保つなどの制限が多くつけられ、従来のライブパフォーマンスは全く出来ず、かなり苦しい状況に置かれていたように思う。

くぴぽもまきちゃんがクソデカいビニールのボールの中に入ったりとかいろいろ試行錯誤していたが、徐々にオーソドックスな歌とダンスのライブパフォーマンスを見せる方向にシフトしていった。そうやってパフォーマンスの練度を上げ、「ニャンニーチュアン」の楽曲の良さも手伝い、それ以前の楽曲の良さも発見され、くぴぽは“ライブアイドル”としての地位を確立して、僕も含め新規のファンがつき始めていったように思う。そしてまきちゃんはリーダーとしての立場はあるものの、イロモノ的な立ち位置ではなく、当たり前にメンバーの一人として認識されるようになった。

僕が通い始めた頃は、まきちゃんが暴れなくなったことにより、「パフォーマンスが弱くなった」「個性が弱くなった」という意見も散見された。過去の過激さに対して見ればそれはそうだという話だが、試行錯誤していた当時の過渡期はどっちつかずな印象もあり、理解はできる。

僕はその辺りまでの、まきちゃんを過剰にイジる、イジってもいいという風潮があまり好きではなかった。まきちゃんは凄い才能の持ち主だけど正直人間としては群を抜いてポンコツだし、出自が関西なので、愛のあるイジりも多かったけど、理不尽で不快なイジり方をする人も多かった。
僕も昔からお笑いは好きだし、中でも人格形成に影響受けるレベルでとんねるずが大好きだったので、理不尽なイジりや、見方によってはイジメっぽい笑いの取り方もそれはそれでアリな人間だが、それは当時の時代性もあったものの、ギリギリのラインを攻めるイジりはまず人間同士の心の間合いの取り方、言葉選びに相当なテクニックが要ることも解っている。

僕が少年として人生の大半を過ごした昭和~平成までのいわゆるテレビが強かった時代は、オカマとか女装家とかゲイとか、いわゆる新宿二丁目の香りのする人たちは強めにイジってもOKという共通認識があった。そもそも当時はLGBTQの概念なんて誰も認識していなかったので、彼らの存在は全部ひっくるめて“オカマ”だった。
僕も当時は何も考えずにそういう笑いを享受していたが、今になって思えば、彼ら(彼女ら)は無理解な世の中が自分たちに押し付けてくる理不尽になんとか対抗する手段として、作り笑いで受け流したり、自分を強く見せて弾き返したりしていただけであって、“何をしても傷つかない無敵のモンスター”ではなかったのだ。

まきちゃんへのイジりもそういう側面が大いにあり、昭和~平成的な“オカマイジり”が安易に展開されていたように思う。それをどう受け取っていたかはまきちゃん本人にしか分からないので内面に関する言及は避けるが、僕はあまり好きではなかった。そもそも、そういうことを言うオタクが面白くなかったのだ。ひとつも。

令和、特にコロナ禍を迎えて、人と人との距離感が物理的にも精神的にも重要視されるようになり、元々高まりつつあったジェンダー論やLGBTQへの関心・意識も人々に徐々に浸透し、いわゆる(身体の性、心の性両方の)性差での安易なイジりのようなものは鳴りを潜めるようになった。安易なイジりは大きなしっぺ返しを食う時代になったからだ。
冒頭に書いた通り、僕はこれに関してあまり関心がないので、それが良いとか悪いとか、あまり思ったことはない。ただ、何のひねりもなく誰かが理不尽にイジられているのを見て面白いとは思えないので、そういう意味では今の流れは悪くないと思っている。

そういえば、「まきちゃんかわいいSONG」から「まきちゃんブサイク」という歌詞がなくなり、全部が「まきちゃんかわいい」になった。これに関しても、「面白味がなくなった」という人もいるだろうし、「今のくぴぽにはその方が合っている」と人もいると思う。僕としては、どっちでもいいけど、喉に引っかかった魚の小骨のようなものがとれたような気分だ。
まきちゃんには面白く、かわいくいてほしい。

ただ調子にはのらないでほしい。

そう思っている。

(収拾がつかなくなり無理矢理終わりましたのでとりあえず)つづく……

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