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クラフトビール日記:WCB The Nemesis (++Double Chocolate Version)

週のど真ん中に休みがあっても、どこにも出掛けられない。
軽めの山になら登れないこともないけど、今は花粉が酷いので翌日が大変なことになる。

そんな週中の祝日をどう活用しようか、と考えて思い浮かんだ。
そうだ、こんな時は度数の高いビールを飲もう。
明日が祝日なら、翌日のことはあまり気にせず500ml缶のインペリアルスタウトを飲める。

というわけで、今日飲むのはWCBのインペリアルスタウト、Nemesis。
インペリアルスタウト好きにはいくらか思い入れのあるビールかもしれない。

国産インペリアルスタウトの期待の星

元々、オーセンティックなインペリアルスタウトというジャンルにおいては高い評価を得ていたものの、海外で作られた度数が高く、濃厚で複雑なフレーバーという新しいスタイルのインペリアルスタウトの登場を前に、国産インペリアルスタウトはやや下火だった時期があった(と、個人的には思う)。

ビールと言えば黄金色、ビールと言えば喉越し……そんな日本のビール市場でインペリアルスタウトなど流行るはずもなかろう。あまりにニッチな需要、日本のブリュワリーじゃそこまで本気で追いかけてくれないだろうなぁ、と思っていた頃に出たのがこの、WCBのNemesis。

それまで度数が二桁になることすら珍しかった時代に、まさかの度数11%。しかもただ単に度数が高いだけじゃなく、ちゃんと「度数が高いビール」らしい重厚なボディが感じられる。
しかも初回からバーボン樽に詰めてBA版まで用意するという。

国産のインペリアルスタウトというものにまだまだ期待していいんだ、と夢を見させてくれた。それは、病禍によって変わりゆく国内のクラフトビール界隈においてもひとつの印象的な出来事だったのでは。

そんなWCBのNemesisが、数年の時を経て戻ってきた。
そりゃあもう、買わないという選択肢はないでしょ。

感想

かなり重厚なボディ感にカラメル感のある甘み、厚みのあるコーヒー系のビター感。ごくごく僅かにブラックコーヒーのような酸味も感じられる。
ファーストバッチのNemesisのビター感はローストされた麦のフレーバーの印象が強かったけど、今回のNemesisはそれとは違い、かなり重厚感がある。
甘みもあるのでコーヒーになりすぎず、うっすらとチョコっぽさも感じる。けど、コテコテの甘さではなくしっかりとビター感を前に出してきているので、ジャンクな印象はそこまで強くはない。

これは、明らかに当時のNemesisを再現したものではない。
あの頃とは段違いの重厚感。今のWCBが作れるクオリティで、まったく別のレシピから、改めてNemesisを作ろうとしている。

前回のThe Guardianでも感じたのだけど、しっかり飲みやすい甘みは確保しつつも、お菓子のような甘さというほどべったり甘くはない。
これは、WCBが目指したかったインペリアルスタウトの姿なのだろうなぁ。

正直なところ、ちょっとアルコール感があるかなという印象ではある。カラメル感のあるビターな甘みがそう思わせているかもしれない。
が、これを単体でフードもなく500ml飲もうと思わなければ、アルホリックな印象はいくらでも打ち消せる程度。
個人的には今日の晩御飯にと用意した、カレーとの相性が悪くない。カレーの適度な辛さと甘みやスパイスの余韻が、このスタウトのビター感とマッチしていて良い感じ。
甘さがメインではないので、アイスクリームだって合うかもしれない。

やはり、WCBは国産インペリアルスタウトの希望だった。
いくらか尖った個性を感じるので、BAしてからが本当の姿かなとも思う。恐らく作った時期は違うのだろうけど、BA版も(樽のみだけど)リリースされているとのことなので、やはりBA版"Arch Nemesis"も飲むべきなのでは。

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