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無職とフリーランス、時々パート

私は来月から無職になる。フリーランスともいえるが、私の中では無職という言葉がしっくりくる。

人によって言葉から受けとる感情は違うと思う。私がなぜ7月からの自分の状況をフリーランスではなく、無職だと感じるのか。それはフリーランスには前向きな印象があり、無職には不安、後ろ向き、戸惑いを感じるから。

そう、私は今とても後ろ向きな気分なのだ。3年前にも起業したが、失敗している。3年前の起業時と今回の退職との一番の違いは、自分から辞めるかどうかだ。3年前は自分から覚悟を決めて辞めると言った。だから自分の中ではフリーランス。今回は自己都合ではない。満員電車や雨や雪は辛いけれど、辞めたいなって呟くこともあったけれど。本心をいえば、私は辞めたくなかった。

だが職場は外部委託されて無くなる。課の5人全員が職を失うのだ。その話をされたのは去年の12月。その時に「希望されるなら、委託先に紹介させていただきます。新しいところでは今より年収は多くなると思います」と言われた。私以外の4人はそれを信じたようだ。んなわけないでしょ。

そもそも課員5人にかかる年間予算と外部委託した場合の予算を比較して、委託した方が経費節減になるからゴーサインが出た側面もあるのに。

年が明けてから、次の仕事をどうするのか真剣に考えた。50代後半という自分の年齢から、今と同じ好条件の仕事がすぐに見つかるとは思えない。それでも動き出すしかない。私が危機意識を持って次をどうするか考えているのに、課の男性職員たちは委託先への紹介をただ待っていた。

「行ってやるか」「最後のご奉公と思って働いてやるか」そんな上から目線の会話をしている男性職員たち。頭から委託先に横滑りで転職できると信じ込んでいるのには、心底驚いた。

私は書くことが好きだったこともあり、ライターとして修業を始めた。幸運が重なり、3月にライターデビューすることもできた。次の仕事が決まらなくても、なんとか食べていけるあてが出来たのは嬉しい。

5月半ば、上司から委託先への紹介を打診された。月給は時給制になり、年収ベースで100万以上も下がる。足元を見る委託先も、そんな話を持ってくる上司にも腹が立った。もちろん、断った。

今の仕事は精神的にかなりハードだ。それなりの給与とボーナスがあるから頑張れるのに、100万円以上も年収が下がって同じ業務を続けられる自信はない。

だからと言って、ライターだけで食べていく自信もないし、腹も括れていない。だから7月から私はフリーランスではなく、無職になるという方がしっくりくるのだ。

ライターとしてお金を稼いでいる以上、完全な無職ではないのにね。

言葉は不思議だ。言葉には力がある。たかが無職、たかがフリーランス。それでも今の私は「7月からフリーランスのライターです」と自己紹介ができない。

未知の世界だから怖いのだ。そう、私はいま恐怖を感じている。ライターだけで食べていける気がしないから。だから週に3日のパートを探すことにした。そうだ、パートで定収入を得ながらライターすればいいんだ!と思った瞬間に心が軽くなった。

ところが。いやいや待てよ。やっぱり書くことに集中しよう。フリーランスでライターになる。いや待て。安定しない状態は無職だ。とグルグルと思考が同じところを回りだす。

さて。私は7月から自分を何と名乗るのだろう。人は名乗るものになっていくというが、私は何を名乗り、何になっていくのか。少し不安で少しワクワクしている。

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