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ビットコインの特性から考えると安全資産なのかリスク資産なのか

ビットコイン現物ETFが承認されてから暗号資産業界のメディア以外のメディアにも少しビットコインの話が出てくるようになりました。一般メディアの扱いではビットコインはリスク資産に分類されているようです。しかし、ビットコインはリスク資産なのでしょうか。その仕組みを考えるとリスク資産の性質とは違う気がしてなりません。そうであれば世間がリスク資産と考えている間、ビットコインの上昇は続くかもしれません。

安全資産は本当に安全なのか

リスク資産とは元本保証がない資産や、値動きがあって将来得られる収益額の予想が難しい資産のことと言われています。株式、投資信託、不動産、社債などがそれにあたります。
リスク資産に対する安全資産とは預貯金、国債、元本保証付きの保険商品などが該当します。
一般的にみんながそう思っているので余計にリスク資産はボラティリティ(変動幅)が大きく、安全資産がボラティリティが少ないという面もあるかと思います。
さて、この一般的に認識されている定義ですが、見方を変えるとどっちがリスク資産でどっちが安全資産なのかわからなくなります。どちらかというと安全資産が果たして安全資産なのか?というところが怪しくなります。
預貯金や国債は安全資産とされています。確かに変動が少ないので、株や不動産が景気悪化により価値に不安が生じた場合、みんな預貯金や国債に返還するため、預貯金や国債は安全資産になります。
しかし、それはあくまで法定通貨ベースで考えた場合、ということになります。もう少し踏み込んでいうと日本国内で円ベースで考えていた場合になります。円ベースで円換算で資産を考えていた場合は預貯金や国債は安全資産ということになります。
これを例えばドルベースで考えた場合、どうなるでしょうか。為替レートが1ドル=110円の時に100万円を持っていたとして、3年後1ドル=150円になっていたら100万円はドル換算で考えると9,090ドルだった預貯金は6,666ドルに目減りしています。さて、これは果たして安全資産と言えるのでしょうか。
これは法定通貨が中央銀行の恣意的な施策により発行量が増え続ける可能性が高いからだと思われます。日本に住んでいて日本円を使って生活するなら価値の変動はわかりづらく、円がどれだけ刷られようが実感として感じにくいかもしれませんが、ふと気がつくと今まで100円で買えたものが130円になっていた。ということになります。今は幸いなことにインフレ傾向なので実感しやすくなっていると思います。
日銀というより政府の施策のせいだと思いますが、だいたい政治というのはとにかく法定通貨をばら撒いて景気を良くしようとします。これは目眩しのような気がします。生産性は今のまま、ただ円の価値を下げてなんとなく経済成長しているように見せるということが可能です。同じ量の物やサービスが提供されていても、円の価値が100円から110円に下がれば10%の経済成長です。
実際は日本はずっとデフレだったので円の価値が下がっても物やサービスの価格も下がったので経済はゼロ成長、もしくはマイナス成長だったようですが。

国債も同じような物です。国自体の経済成長が止まればその国の通貨ベースでは価値は下がりませんが、他国の通貨ベースで考えると一気にリスク資産化します。

つまり、安全資産はそれほど安全ではないということなのではないでしょうか。もちろん、リスク資産と言われているものに比べると相対的に安全性が高い可能性はあります。ボラティリティが少ない確率が高いと考えられるからです。

ビットコインは本当にリスク資産なのか

ビットコインは一般的に変動が大きく、リスク資産と言われています。確かにボラティリティから考えるとリスク資産といえます。それは評価がまだ確立されてないからだと考えられます。
ビットコインはそもそも裏付けがない資産と言われていますので価値があるのか問われると、みんなが価値があると思っているから、としか答えられない性質のものです。しかし、この「みんなが価値があると思っている」というのは他の物も実は同じです。なのでその部分に関して深掘りするのはやめて、それ以外の性質について考えたいと思います。
株や国債は企業や国の成長性により価値が変動します。企業であれば提供しているものがみんなに受け入れられ買われれば買われるほど価値が上がる、逆も然り、ということです。
ビットコインはどうでしょうか。ビットコインはビットコインネットワークが動き続けている限り一定量が発行され、最終的には2100万ビットコインで発行が停止されます。これはスケジューリングされており、ネットワークが止まらないかぎり決まったことです。それ以上でもそれ以下でもない。つまり、変動要素がビットコインそのものにはない、ということです。あとは人の思惑で上がったり下がったりする、ということです。
この意味ではよく言われるデジタルゴールド、すなわち金と似た性質を持ちます。金はリスク資産と安全資産の間、と言われます。リスク資産と安全資産の間とはどうことでしょう。結局、ボラティリティがリスク資産ほど大きくないが、安全資産ほど小さくもない、ということかなと考えています。となると、ビットコインはやはり金と同じような位置付けというのが考えの一つとして言えるのではないでしょうか。
さらに言えば、もし将来的に基軸通貨に近い存在になったらさらにボラティリティは小さくなり、安全資産となるかもしれません。逆にいうとそうなった場合、もはやボラティリティがなくなるため価値が上昇するかどうかは物やサービスの価格が相対的に下がる、すなわちデフレ状態になるかどうかにかかってきます。最後は単なる預貯金ということになるということなのでしょうか。

今はビットコインはリスク資産だと言われています。しかし、その性質から考えるとリスク資産とは少し違う気がしています。最終的にどうなるかはわかりませんが、これまで述べてきたような妄想が現実となるなら、リスク資産と思われている間は上昇を続け、安全資産という認識に近づくにつれ相対的に上昇率は下がっていくような気がしています。つまりは、しばらく上昇し続ける可能性があるということです。法定通貨と違って発行量が一定であり、これから先、どんどんと発行量が少なくなっていく物だからです。
リスク資産と言われているうちが花かもしれませんね。

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