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VXX(iPATH S&P500 VIX短期先物ETN)の仕組みと基本統計量

私は2017年位からVIX関連の商品を良くトレードしている。一見とても収益が上げやすいように見えるものの、テールリスクが大きく取り扱いが難しい商品である。
「ヤバいけど面白い商品」というのが、私の感想だ。
今回は、VIXのETNであるVXXの仕組みと基本統計量をまとめることとした。

分析のモチベーション

実はvxxは2019年に商品が入れ替わっているため、ヒストリカルデータが取得しにくい。そのため、分析がしにくい現状がある。
本稿では、前後の商品を価格調整をして分析した。グラフにしたのが以下の通りである(データの作り方は後述)。

図1:VXXヒストリカルデータ

強烈な右肩下がりのデータとなっている。
ネット上を簡単に検索してみても、英語・日本語を問わず数多くのVXXショート記事が散見され、皆この特性に着目している。
次に対数グラフにしてみる。

図2:VXXヒストリカルデータ(対数)

対数にしてみると、確かに傾向が変わらないものの、ところどころ恐ろしい急上昇をする局面が存在する。
この急上昇局面で有名なのが、2018年2月のVIXショックであり、実際に私もこの余波を受けた。

VIXショック

以下の日経新聞の記事が詳しい。

簡単まとめると、VXXをショートするETFが当時日本に上場していた。
しかし、VIXショックが発生。2万9400円の価格の翌日に1144円となった。
1日で96%下落している。
正直、恐ろしい。
少なくともテールリスクを限定するような状況下で取引を行うなど工夫が必要である。

VXXが下落しやすい仕組み

ちなみに、VIXはどうなっているのか。ヒストリカルのグラフは以下のようになっている(googleで検索した)。

図3:VIXヒストリカルデータ

上記の通り、大半の時間を20前後での推移となっている。ご覧の通りVIXは横ばいと言っても過言ではないが、なぜVXXは右肩下がりなのか。それはVXXの商品設計に起因している。
価格下落の源泉は、以下が考えられる。

①先物ロールコスト

VXXは「S&P 500 VIX Short-Term Futures Index Total Return」という指数にトラックするように運用されている。
この指数は、常に30日間のVIX先物契約へのローリングエクスポージャーを複製し、加重時間を与える第1限月と第2限月のVIX先物契約の組み合わせ、となる。
この言い回しが分かりにくいのだが、いくつか例を挙げる。

(ア)第一限月の残存期間が15日、第二限月の残存期間が45日の場合
残存期間が30日になるようなウェイトにすればよいので、
30=15×0.5+45×0.5
となり、ちょうど第一限月と第二限月を等ウェイトにすればよい。

(イ)第一限月の残存期間が1日、第二限月の残存期間が31日の場合
残存期間が30日になるようなウェイトにすればよいので、
30=1×0.03333・・+31×0.9666・・
となり、ちょうど第一限月を3%と第二限月97%すればよい。

この動きを考えると、日にちが経つにつれて、
・第一限月のウェイトが減少していく
・第二限月のウェイトが増加していく
という動きになる。

ここで、VIXの先物は
(第一限月の価格)<(第二限月の価格)
となっていることが多い(コンタンゴ形状という)。そのため、毎日ロールすると安く売って高く買うことになるので減価する。
参考までに、VIX先物のカーブ形状を載せているwebをご確認いただきたい。

②ETF運用手数料

年率0.89%のコストがかかる。これも下落方向への価格変動に寄与している。

データ

上述の通り、2019/01/30に旧VXXは満期となり、新しいVXXに切り替わっている。そのため、2019/01/30を基準に価格調整を行った。
具体的には、旧VXXの価格を3.82倍している。

基本統計量の分析結果

ここでは、1, 30, 90, 180, 360, 720日毎のデータの基本統計量をまとめた。全体としてスキューが強く、プラス側の裾が重い(VIXショックなどの例が挙げられる)。

日次(1日毎)

count    3314.000000
mean       -0.000385
std         0.082863
min        -0.157110
25%        -0.024746
50%        -0.005693
75%         0.014338
max         2.919951
図4:VXXヒストグラム(1day)

30日毎データ

count    3285.000000
mean       -0.000005
std         0.555970
min        -0.456046
25%        -0.200952
50%        -0.115463
75%        -0.006284
max         6.595062
図5:VXXヒストグラム(30day)

90日毎データ

count    3225.000000
mean       -0.013615
std         0.817846
min        -0.648846
25%        -0.402750
50%        -0.293013
75%        -0.062890
max         4.889899
図6:VXXヒストグラム(90day)

180日毎データ

count    3135.000000
mean       -0.048239
std         0.963477
min        -0.785662
25%        -0.611753
50%        -0.446733
75%         0.057710
max         5.373462
図7:VXXヒストグラム(180day)

360日毎データ

count    2955.000000
mean       -0.027599
std         1.655136
min        -0.907416
25%        -0.806830
50%        -0.519409
75%         0.072305
max        12.055283
図8:VXXヒストグラム(360day)

720日毎データ

count    2595.000000
mean       -0.258764
std         1.118233
min        -0.963879
25%        -0.904520
50%        -0.734055
75%        -0.422211
max         4.947079
図9:VXXヒストグラム(720day)

終わりに

VXXの概要と、基本統計量についてまとめました。VXXは商品が入れ替わったため、それを考慮した分析はあまり存在していません。ですので、自分でやってみました。

トレードへの応用を考えたとき、テールリスクを考慮すると、単純なショートではなく、テールリスクを緩和するような方策が必要となります。
基本統計量を並べただけでは何のヒントにもなりませんが、様々な解釈が可能だと思います。気づいたことがあれば、こっそり教えていただけると幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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