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「ストーン効果法」 ~原音再生 ボサノバ編~

またまた、新たな発見です!!『オーディオと原音再生 前編』の「まえがき」で触れた「ストーン効果法」のストーン、「石」の増幅作用ですが、仕組みが分かりました。スピーカから出る音が中心軸に集中することにより大きく聴こえたのです。つまり、(パラボラ)アンテナのように「指向性が鋭くなった」と言うことです。そういえば、筆者が以前使っていたグッドマンのAXIOM 80というスピーカは、超強力マグネットで指向性が鋭く、そのためヌケが良かったのです。結局、ストーンは置き方次第でこれと同様の効果が期待でき、コーンスピーカが「ホーンスピーカ」のようになった、と言ってもいいでしょう。これにより、音圧が強まり、ヌケが良くなって、より一層生々しくなったと言えます。ですから、女性ボーカルなどは、いきなり声が出てくると、ハッとして息を呑みこみ、ゾクッとする、という不思議な(?)体験ができますよ!(笑)。

世の中、ハイエンドだか、ナイエンドだか(お金が・・筆者のことです!?笑)知らないですが、「音がいい」そして「生々しい」という点ではどんな高級システムにも引けを取りません。ぜひ、みなさんにこの雰囲気を味わってほしいと思います。詳しくは、「有料記事」(初稿です)または下記リンクをご覧になってください。(ヤフオクにストーンを出品しています!)

https://auctions.yahoo.co.jp/list3/23764-category.html(⇒「その他」カテゴリー)

さて、『ビッグバンド編』の冒頭に書いた「床屋のおやじがセルジオ・メンデスに似ていた」ということで思い出したのが、今回のテーマであるボサノバです。ボサノバは従来のブラジル音楽にモダンジャズの要素を加えて作られたもので、1950年代半ばに生まれました。そして、1960年代半ばに作・編曲家のアントニオ・カルロス・ジョビンがギタリストのジョアン・ジルベルトと組んで、ジョアンの妻のアストラッド・ジルベルトが歌った「イパネマの娘」が大ヒットしましたね。その頃、セルジオ・メンデスもブラジル66というグループで歌った「マシュケナダ」が大ヒットしました。ただこれはボサ・ロックということで、ボサノバとは見做されなかったようですが、広い範囲ではボサノバといえるでしょう。このレコードもよく聴きました。本来のボサノバ曲以外の楽曲も彼らのオリジナル・ナンバーのようにしてしまう、というセルジオ・メンデスのセンスの良さが窺えます。なかでも、ビートルズの「フール・オン・ザ・ヒル」やサイモンとガーファンクルの「スカボロ・フェア」など、別の曲ではないかと思うほど原曲とかけ離れたアレンジが光りますね。また、録音も良く、2人の女性ボーカルの声が大変魅力的に聴こえました。

ちょうどその頃、FM放送から透き通った音の電子オルガンのボサノバナンバーが流れてきました。それが、ワルター・ワンダレイの「サマー・サンバ」でした。番組タイトル曲として使われていたようですが、こんなクールで綺麗にスイングする曲があったんだ、と聴き惚れてしまいました。早速レコードを買い(タイトルは「レイン・フォレスト」)他の曲も聴きましたが、どの曲もワルター・ワンダレイのボサノバリズムに対する乗りが良く、アドリブも含めて軽快で気持ちいいという感じがしました。サマー・サンバの他にも、「ビーチ・サンバ」「コール・ミー」「オ・グランジ・アモール」といった曲がいいですね。このレコード、どうも音がいいと思ったら録音はルディ・ヴァン・ゲルダーだったのですね。ハイハットの音など、気持ちいいぐらい切れてます!(笑)。何回か来日公演があったようですが、行く機会を逸してしまいました。1986年に亡くなったそうですが、一度聴いてみたいと思っていただけに残念で、心残りです。

ところで、「サマー・サンバ」には懐かしい想い出があります。筆者は、その頃学生でバンドをやってましたが、同時に「ヤマハ音楽教室」にも通っていました。それは、エレクトーンを習うためです。そのきっかけとなったのが、この「サマー・サンバ」を聴いたことでした。自分でもこんな曲が弾けたらなぁ、と思って習い始めたのです。現在はあるかどうか分かりませんが、当時のエレクトーン教室には腕の段階レベルを表す「級」があって、たしか5級以上になると教師の資格が得られるのですが、その昇級試験に合格しないと上にいけなかったのです。筆者は8級から始めて、7級、6級と上がっていき、ついに5級を取得することができました。実は、5級以上に合格するとその資格取得を記念して発表会が行われることになっていたのです。都内にあるいくつかの音楽教室で資格を得た生徒の中で数名が演奏の腕を披露することになり、筆者にもその依頼が回ってきました(先生が推薦してくれたようです!)。さて何を演奏しようかな、と考えあぐねていたところ、先生が前記「サマー・サンバ」のコピー楽譜を持ってきてくれたのです。感動しました!それからというもの、猛練習して(アドリブも含め!)レコードとそっくりの演奏が弾けるようになりました。先生にも聴いてもらってOKを得たのですが、(発表会)直前になって演目を変える事態となってしまいました。その理由が、「上級者に配慮して」というものでした。つまり、4級(合格者)の人がもっと簡単な曲を弾くからそれはまずいということになったのです。がっかりしましたが、他の機会もあると思ったので別の簡単な曲(教本に載っていた曲です!)を選びました。それでも、初めて得た会場からの盛大な拍手に感激し、無事に弾けた安堵感と満足感に胸を撫で下ろしました。ちなみに、後日バンドが遠征した某スキー場のホテルにエレクトーンが置いてあって、そこで「サマー・サンバ」を弾いて拍手喝采を受けたことをよく憶えています。

ちょっと横道に逸れてしまいましたが、ボサノバの曲はサックスと女性ボーカルが良く合いますね。「ゲッツ/ジルベルト」のスタン・ゲッツや、日本の渡辺貞夫もよく演奏しています(生録会にも行きましたよ!)。また、リズムに特徴があって、リラックスできてほっとするのに最適ですね。ムードミュージックではないですが、BGMとして聴くことも多いです。そんなことから、筆者はボサノバのコンピ(コンピレーション・アルバム)のCDを何枚か車に常載しています。ドライブミュージックとしてもお薦めですよ!

女性ボーカルでは、アストラッド・ジルベルトやイリアーヌ、日本人では小野リサが有名ですが、筆者のお薦めは、『女性ボーカル編』で挙げたクレモンティーヌです。彼女はフランス人ですが、もともとラテン系でメキシコに住んでいたこともあり、ラテン音楽を好んでいたようです。また、スタン・ゲッツは彼女のことをアストラッド・ジルベルトの再来、と評価しています。クレモンティーヌのボサノバのCDはいくつかありますが、なかでも「クーラー・カフェ」と「レ・ボヤージュ」がいいです。ともに録音が良く、オーディオファンにはもってこいのアルバムといえます。聴きどころを紹介しますと、「クーラー・カフェ」の3曲目(タイトル曲)のフレーズの区切りで出る低音の響きがすばらしいですね。6曲目のデュエットですが、ベース、ギター、ピアノなどの音とリムショットによるリズムに乗って歌う、男性、女性、ともにボーカルが生々しくていいですね。それと、11曲目ですが、筆者には「空耳」で、「おぼっちゃ~ま~、おぼっちゃ~ま~」と聴こえるのですが、なにか悪い気がしないでもないですね!?(笑)。一方、「レ・ボヤージュ」では、タイトル曲を始め、5曲目、10曲目、14曲目など、暖かみのあるベースの低音と歯切れの良いパーカッションがリズムを刻み、その中からボーカルが眼前にスーッと抜け出てくるという、心地よい感じが堪らないですね。また、13曲目のデュエットのやはりベースの良く響く低音と、途中に入るアクセントのシンバルを交えた規則正しい(?)リズムで歌う、最後は笑い出してしまうというボーカルもいいです。

ボサノバ以外の曲でも、ボサノバのリズムが良く合う曲を演奏するグループがあります。同じサックスでも、ソプラノサックスをメインとしたフュージョンバンド、ジャジャ(jaja)をご紹介したいと思います。jajaはストリート・ミュージシャンでした。十数年前、今は無き亀戸のショッピングセンター「サンストリート」で聴いたのが始まりで、すっかりファンとなってしまいました(筆者の奥さんも感動してました!)。それからというもの、あちこちのライブスポットやライブハウスでのコンサートを夫婦で何回も見に行きました。セカンドアルバムの「アイ・ラブ・ユー」のCDには(妻に宛てた)彼らのサインもあります。ここでは、ファーストアルバムから3曲目「ア・バード・イン・ザ・ケイジ」と、「アイ・ラブ・ユー」から8曲目「ワン・サイデッド・ラブ」の2曲を採り挙げたいと思います。ともにボサノバのリズムで演奏するバラード調の曲で、一度聴いたら耳に残るとともに、ソプラノサックスの音色が心に沁みますね。久しぶりにホームページを見たら、現在も全国ツアーを行っていました。ただ、今年はコロナ禍でほとんどキャンセルになったようですが・・。機会があったら、また見に行きたいと思っております。

もう1枚、日本人アーティストのCDをご紹介します。アコーディオンの桑山哲也です。「サン=ジェルマン=デ=プレの出逢い」という、ダニエル・コランと共演したアルバムで、2曲目の「レカード・ボサノバ」もいいですが、最後14曲目の「イラリア」がボサノバのリズムで心地よいです(奥様が出演していた「渡る世間・・」にどこか似たような曲ですが・・笑)。

最後に、『トランペット編』でご紹介したダスコ・ゴイコヴィッチのボサノバナンバーを集めた「ユーロ・サンバ」というアルバムが、録音、演奏ともに良いので、再度お薦めしておきます。マイルス(デイヴィス)を彷彿とさせるミュートトランペットですが(10曲目など)、特に4曲目の「ハウ・インセンシティヴ」などは、音が透き通っていて、ギター、ベース、パーカッションとのアンサンブルは、目をつぶって聴いていると心が洗われるというか、オーディオファンにとっていつまでも余韻に浸っていたいと思わせる、すばらしい音と演奏ですね!

筆者は、勉強が好きで(うそです!笑)学生時代が長かったので、バンドも長くやってました。あちこちのバーやナイトクラブで夜のアルバイト(演奏)をしていました。米軍キャンプにも行きましたよ!(クリスマスパーティとか)。もともとはモダンジャズのバンドだったのですが、ボサノバのリクエストが多く、次第にレパートリーも増えていきました。ただ、本来のボサノバの曲もありましたが、スタンダードナンバーをボサノバ風にアレンジして演奏するということも結構ありました。実は、それが客に好まれたのです。要は、ボサノバのリズムが心地よく受け入れられたのではないでしょうか。筆者はドラムス担当だったので、適当にリズムを刻めば良く、非常に楽でした(笑)。やはり、ボサノバはリズムですね!単調に見えても(聴こえても?)これが大事なのです。処どころでアクセントを入れることで単調さを避けられますが、決してリズムを崩してはいけません。そして、演奏時間の長さが変えられる(単調なのでどこでも切れる!?)というのが演奏する側のメリットでもあるのです。パーティなどで、途中MCに止められることなどもままありましたが、そういう時の選曲によくボサノバを使いました。バンドをやってらっしゃる方、これは便利に使えますよ!ぜひ、参考になさってください。(笑)

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