W korea 2023 12月号 インタビュー訳


-寒いのに半袖の衣装を着ていますね。左腕の”1996”、右腕の”1971”のタトゥーが目にパッと入ってきます。いつ入れたものですか?

「僕が21歳のときに父が亡くなりました。その年から入れるようになりました。父が生前、息子と同じタトゥーを入れたい、と言っていたのにできないまま亡くなったので。その約束を一人でも守りたかったんです。1966、1971はそれぞれ父と母が生まれた年です。」


-10月末、ワールドツアーを始めたソウルにて、”Amnesia”という曲を初披露して話題になりましたね。どのように作った曲ですか?

「”記憶喪失”という意味を題名に込めました。実は僕お酒がちょっと好きなんですけど(笑)大人になって1,2杯お酒を飲むようになると、記憶がなくなっちゃうことが結構あって。何がそんなにつらくて、そんなに現実逃避したくなっちゃうんだろう、って思ったんです。曲を作りながら、自分の憂鬱、そして疲れ果てた姿を見つめることができました。”Amnesia”を作りながら、作曲の新しい方法論も探せて、より意味深かったです。忙しいという言い訳で見ないふりをしてきた僕の中の悩みを深く見つめ、整理し、どうにか音楽で表したんです。音楽に対する態度が、すごく変わりました。 

以前には”こんな感じのかっこいい曲を作ろう”位の意識で作曲に臨んでいました。何を表現するかは決めずに、”包装紙”を先に決めてたんですが、馬鹿だったなぁと思いました。アルバムごとに、正直でありたいとは言いながらも、実際は”こういう風に見られたい”が大きい人間だったんですよ。もう今は、本当に正直になって曲を書くことがどういうことなのか、少しわかってきたようです。初めの”根っこ”を重めにしっかり決めておいてから始めようという気持ちが最近は大きくなっています。」


-いつも音楽作業をどのように進めるんですか?

「曲ごとに全然違います。実際僕は無駄だったり退屈だったり似たりよったりなことがあまり好きではなくて、しょっちゅうやり方を変えようとするタイプです。似たようなことの繰り返しだなと感じたら、全てをやり直して作業場所を変えたりもします。例えば、リビングに機材を一式持ち出したりとか、誰かと旅行に行って作業をしたりします。いつも、ギターを弾く友達、プロデューサー、僕の3人で共同作業をしているのですが、その友達がいきなりギターを弾き出して良いメロディーが出たら、”それをベースに始めてみよう”ってなるときもあるし、ドラムのリズムが始まりになるときもあります。いろいろな方法で開けておくタイプです。”この歌がこんなに上手くいったから、同じように行こう”という性格ではないので。最近は一緒に作曲している友人たちと、まず1,2時間話します。”僕最近こんな感じだよ”なんて話しながら、自然と”ドラムのリズム一回出してみる?”、”このくらいのbpmだったら良いかも”っていう風に。僕らの間で使う”ニューロンの共有”(=脳の共有)という言葉があります。”こんな感じ”と誰かが伝えると、全員ぴったり分かり合えるんです。」 


-今回のコンサートでは直接ギターを手にして登場しましたよね。ギターを始めてどのくらいなんですか?

「元々僕が一番好きな楽器がギターでした。でも正直習ってからまだ2か月しか経ってないです。今までは常に、自分の歌声やダンスが表現方法の中心でしたが、少し違うものを使って音を出して音楽をするというのが、最近はとても楽しいです。今まで見れなかった自分の姿を見つめている気分です。」 


-2か月しかやってない人のクオリティじゃなかったですよ?楽器を習い始めたときというのは、カバー曲を弾いてみたりするじゃないですか。特に好きな曲などありますか?

「ハリースタイルズのkiwi、メタリカのEnter Standman、ジョンメイヤーのSlow Dancing、マネスキンのThe Lonliestなどなどです。」


-レパートリーが多彩ですね。ギターを1~2年続けて上手くなったら挑戦したいと思う曲はありますか?

「ステージが一番です。ステージでギターを最大限に利用することが、僕がギターを始めた理由だったので。ツアーが終わってから、休息時間で公演を本当にたくさん観に行きました。ポストマローン、ブルーノマーズ、ハリースタイルズ…。全員、楽器を演奏する姿がとてもかっこよく見えました。今の時点では、ジョンメイヤーが一番好きです。(自分の)ギターはフェンディのテレキャスターを持っていて、最近ギブソン・ファイヤーバードを買いました。それをステージに引っ提げていきました。」


-フェンダーもギブソンももっと一般的なモデルがあるのに、少しズレたものが好きなんですか

「みんながマイケルジャクソンが好きだというときに、僕はプリンスがもっと好きでした。漫画でも主人公よりサブキャラの方が好きでしたし(笑)」 


- 一時はアイドルを志望したり、MnetのShow me the moneyにも出たりもしましたよね。でも最近の音楽やステージの姿を見ると、”この人はロッカーだな”と思わされます 

「実際、練習生時代は、マニアックな音楽より大衆的な音楽中心になるしかありません。その時の音楽界の流れは、ヒップホップやR&Bが上手く行っていました。僕も過去に、その中にハマって生きていましたが、いつからか自分の音楽を作るようになってから、好みが形成され始めたんです。生のサウンドが好きだったし、演奏者がいるロックベースの音楽を好んで聴き、歌っている自分を見つけたんです。幼いときから聴いていた、ジャウリム(韓国のロックバンド)やYBの音楽が、思ってるよりも深く根付いていたんです。”あぁ、僕はロックキッズだったんだな”と自覚が芽生えました。」


-ロックとWOODZの共通点は何でしょうか。性格的に似ているとか?

「迷いがない、という部分が通ずるところだと思います。僕の長所が、実行力が強いことなんです。何かやらなきゃ、ってなったら絶対にやり遂げるタイプ。ロックも淀みない、というイメージが強いじゃないですか。いかなるときも楽しむ態度で臨み、傷つくことを恐れない性格です。」


-そういう性格は生まれつきですか、後から備わったんですか

「元から結構迷いもなく、ポジティブな方ではあります。一人でブラジル留学に行ったのもそうですし。」


-小学校を卒業してブラジルのSCコリンチャンス幼少年チームで、攻撃手としてサッカー留学をしたと聞きました。幼いのに、なぜ留学を思いついたんですか?

「サッカーをやりたいのに、母が、韓国では運動することに少し反対をしていました。やるならもういっそ留学に行った方が良い、と言われたので、小学校卒業のときに僕が直接留学院を探して、ウォンの利率とかも調べて、母の前でプレゼンテーションを行ったんです。そうして投資していただきました。ブラジルのサントスで1年、ぺナポリスで1年生活しました。」


-ブラジルでの2年は、WOODZの人生に何を残しましたか?

「ぺナポリスは空気がとても良くて、早朝の朝空を見上げると、夜よりも星がもっと多いくらいでした。天の川を見ていた記憶がとても幸せなものとして残っています。」


-サッカーのポジションはどこでしたか?

「ウィングです。最近もたまに仲良い人たちと日曜日サッカーをするのですが、ウィングポジションでやっています。運動が好きで、キックボクシング、MMA、ジム、バドミントン、ボーリング、ゴルフもやります。」


-運動にしろ音楽にしろ何一つ本気じゃないものがありませんね

「性格なんだと思います。際限なく好きなものを探そうと、努力をたくさんする方です。最近はジャズをとても興味深く聴いています。チェットベイカー、エラ・フィッツジェラルドの歌を聴きながら、以前は聴こえてこなかったような感情や色んなことを感じます。芸術は正解というものがないこと、オープンな感情で聴けば、たくさんの感情やメッセージを伝えてくれるという事実がいまだに興味深いです。今でもまだ音楽というものが気になるし、音楽家をずっと尊敬しています。」


-ロールモデルのような音楽家は誰ですか?

「ロールモデルを作ると、自分自身がしんどくなるような気がして、ロールモデルはいません。でも本当に大好きなアーティストを選ぶならば、ファレルウィリアムスです。音楽的にも素晴らしいですが、ファッションデザインからホテルインテリアまでまんべんなくこなすので素敵に思えます。」


-4月に発売したミニEP【OO=LI】に、Who knowsという曲がありますね。”僕がサッカー選手だったなんて誰が思う?”というメッセージを投げかけ、”これからもまた何に挑戦するか自分でもわからないぞ”というニュアンスを感じます。サッカー、音楽、そしてその次のWOODZがやりそうなこと、何があるんでしょうか?

「今はまだですが、でもありそうなのはファッション関係じゃないかと思います。でもそれは、新しい事業の成功失敗がどうでもいいと思えるくらいお金ができたら、そのとき改めて考えることだと思います。まず音楽で、一番かっこいいと思える位置についてから、そのあとで。今はありがたいことに多くの方々が好きでいてくれているけど、もっとたくさんの方が僕に魅了されて、会場の規模がもっと大きくなって、成長していく姿をもっと見せることが、一番やりたいことだし、幸せな姿です。今はそれだけを考えて生きています。」 


-WOODZにはこんなジレンマがありそうです。”KPOPという範疇でスタートしたからファンダムを集めることができた。でもKPOPというカテゴリにいるせいで、その外では低評価を受けることもある”と。 WOODZはどう思う?

「僕は、ただ感謝するだけです。多くの方が僕の音楽を聴いて下さり、好きになってくれ、ありがたい意見をたくさん頂いているんだから、そのありがたさに応えるために、次のアルバムでもっと成長した姿を、もっと正直な姿を見せ続けることが僕の宿題だというだけです。」


-こんなロマンやファンタジーを描いたことはありますか?ホンデの前でゴリゴリのヒョンたちと一緒にこう、体をぶつけあいながら演奏して成長していくような…

「すごくあります。誰かがバスキン(主にホンデ付近でストリートで踊ったり歌ったりする韓国の一種の文化)しているのを見ただけで、すぐにでもそこに飛び入りしたいとしょっちゅう思います。でも、僕はアイドルとして始まったので、まずはこの道で最後まで行ってみようという思いで一生懸命やってきたから、今ここまで来れたんだと思います。その全てがありがたい足跡だし、もしホンデから始まっていたら、ここまで熾烈に生きてこなかっただろうなと思いますね(笑)」


-WOODZという名前が、森、木から来たと聞きました。実際に森や木を好きなんですか?

「大好きです。前に占いで四柱推命を見てもらったんですが、不思議なことに僕には”木”が多いんだそうです。登山も好きです。清渓山にもよく行くし、漢拏山も今度行ってみたいです。」


-来年まで続くワールドツアーの日程を見ると、日本、アメリカ、タイ、フランスなど多様な国を訪ねる予定ですね

「本当に楽しみです。実は昨年の夏、一人で荷物を背負ってパリ、ロンドン、ベルリンを2週間以上かけて巡ったんです。一人でワインを飲みながら、自然とフランスの人たちと友達になって、本当に素敵な日々を送りました。その思い出たちがあまりにも良くて、ワールドツアーも期待しています。その友人たちと別れるときに、現地の色んなことを案内してくれてありがとう、と言ったら、彼らが”君と出会えたことにありがとう”と言ってくれてジーンとしました。僕も音楽を通して、新しい世界を紹介したいという思いが、さらに確かなものになりました。」


-グループX1のメンバーとしても活躍しましたね。例えば誰かが、”どこかでもう一度グループ活動をやらないか”と提案してきたら、やりますか?

「もう今は、かなり悩むと思います。そのような活動は良いことも多いけれど、僕が今持っているものたちに感謝しながら生きていく方がもっと満足できる気がします。グループなら、K-popアイドルグループよりもロックバンドの方が可能性が高いかもしれません。そうですね…。今は、WOODZとして、もっと多様な世界を見せることができるような、カラーのあるブランドになりたいです。そのために、今は溢れるほどにとっても楽しくて、とっても忙しいんです。」

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