キューバの課題:地方の教員不足

キューバのシエゴ・デ・アビラ県で教員不足が進んでいる。

政府は手をこまねいていたワケではない。
しかし、10年前からこの問題は続いている。

県は来年度以降ももこの問題に向き合うことを余儀なくされるだろう。


どうしたら教員不足を解決できるか。
県議会や地方の共産党集会では熱い議論が交わされている。

県教育部長の話では、県には6,151の教員ポストがある。
しかし、現在、903名の教員が不足している状況。

つまり県の教員ポスト占有率は、89.17%に留まる。
他の県や国と比較するとどうなのかについてはよくわからない。
しかし、キューバ国内でもこの数値は悪いものらしい。

県内で教員不足が顕著な市町村は、

・シエゴ・デ・アビラ(Ciego de Ávila)
・シロ・レドンド(Ciro Redondo)
・モロン(Morón)
・バラグアー(Baraguá)

の4つ。


カテゴリー別では、

・未就学児(Educación pre-escolar)
・中学(Secundaria básica)
・高校(Preuniversitaria)
・高専(Educación técnica y profesional)

の教員が特に足りない。

小学校と大学以外は教員不足。
ほとんど人手足りてないってことやん!


県の教育部長は、来年度は先生のいない教室をゼロにすると意気込む。
正規ポストさえ埋まっていれば、教育の質も維持できると信じている。

しかし、今のままでは来年度も、

・非常勤講師
・大学生の支援団
・各学校の運営管理部職員
・現職教員の頑張り(オーバーロード)

に依存することになりそうだ。

ちなみに、この大学生の支援団には、

"Contingente Universitario Conrado Benítez”

という名前がついている。

コンラド・ベニテスとは、キューバの識字率向上に貢献した教育者のことだ。

2015年にも、200人以上の大学生がこの非常勤講師チームに参加した。
志願制なのか強制なのかは分からない。

今学期は72名の大学生でスタートしたが、今では32名に減っている。
ということは、辞めたいですと言えば辞めさせてもらえるということか?


フォルネイロ教育副大臣によれば、教員不足解決のためにやるべき事が3つあると言う。

・現職教員へのサポート
・給与など待遇の改善
・これらを通じた、教員流出の防止

フェレイロさん曰く、少しずつではあるが結果はついてきている由。

待遇の改善については、現職教員に対して、

・住居の支給
・自宅修繕経費の補助
・いろいろな補助金の支給
・銀行ローンの付与
・電話、インターネット環境の付与
(キューバで個人がネット環境を持てるのはスゴイことです)

・自宅の床をコンクリにする
(今でもラテアメリカの田舎には、家の中の床が土のところが結構ある。)
・昼食を支給

という奨励がなされた。


にもかかわらずなぜ教員が減っているのか?

企業(公団)と同じくらい待遇が良い教員もいる。
県内の労働者の中では、最高水準の待遇なのになぜ?


給与だけが問題じゃないと考える人もいるみたいだけど、俺はそうだと思う。

この県の教員の給与システムは大まかにこうなっている。

・大卒教員の初任給は555ペソ+諸手当
(600ペソとしても、月3,000円行きませんよ!)
・勤務開始4か月目から評価次第で給与50ペソ増し
・3年目からは、勤続手当も出る。

待遇が悪くないというのは比較上の問題じゃないか?
そりゃあ、より実入りが良さそうな観光業に人材が流出するわ。
しゃあなくないか?

キューバのメディアが、教員にインタビューをしたみたいだ。
その結果、だいたいこんな回答が返ってきた。

・家族の支援がない
・業務が多すぎ
・フレックスタイムが認められない
・学校が十分な研修をしない


"問題は複雑だ。待遇だけの問題じゃない。”

行政はそう考えて、頭を悩ませているようです。
たぶん、予算もないだろうからキツイでしょうね。

それでは思考停止でダメなんだけど。
俺もいつかキューバの学校を体験してみたい。

キューバの英雄、ホセ・マルティは学校を重要視していた。
キューバの将来を担う子供たちのためには、この問題を早く解決しないといけない。

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