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#121 cultbooks collections - ガウディ 自然と聖家族教会

バルセロナのサグラダ・ファミリアを訪れた際スーベニアショップにて購入したガウディのデザインリソースに関する本です。

とても示唆に富んだ内容になっています。

こういう類の本はあまり日本語で提供されていないことが多いのですが、さすがサグラダファミリア、世界中から観光客が訪れる場所なのでとてもきれいな日本語で翻訳がなされています。

驚くべきことに日本人の翻訳者の名前の記載さえありません。

カタルーニャ語で原著をおさめた著者ジョルディ・アングレスもまたサグラダファミリアで職人として約50年勤めた人であり、その後も生涯をかけて自ら集めた資料をもとにガウディに関する展示を続けています。

非常に純粋な動機に包まれた一冊です。

信心深いガウディはつたの描くらせん、爬虫類の体躯、カテナリー曲線、細部でパターンを繰り返す野菜の根本などさまざまな自然を神の意思の貫く痕跡として文字通り身を捧げて研究し続けました。

徹底して粗末な上着しか身につけなかったため、最後は路面電車に轢かれてもガウディその人とは気づかれず数日放って置かれ死んだといいます。

有名な言葉として、ガウディは自然のことを「常に開かれて、努めて読むべき偉大な書物である」と述べたと言います。

物をデザインするとは神からの問題用紙に解答を書き込むことである、彼の作品群をバルセロナで見るたび敬虔なカトリックであった天才はそう考えていたように思えてきます。

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