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#119 cultbooks collections - vintage stuffed elephant

これは6-7年前に世田谷ボロ市で手に入れた、おそらく1960年代の日本のぬいぐるみです。

売り手が箱からポンと出したそこにタイミングよく通りがかりました。

売り手の言い値が100円。

100円なら考えるまでもありません。きっと長い間売れずに困っていたのでしょう。

家にある主にヨーロッパのぬいぐるみ関係の中にある数少ない日本製です。

足がフェルト、体がチェック生地で覆われています。

頭にかぶっているのは当時の日本人が考えるインド周辺国のイメージの帽子でしょう。

尻尾も堂々としていますが、最も気に入っているのは左右歪んで張り付いている目と地面までだらしなく届いてしまっている長い鼻です。

耳先のファンシーな処理も裏地の黄色も全ていいです。

人の外観の違いを物笑いの種にすることに鈍感だった日本の昭和40年代、デザイナーはどんな気持ちを込めてこの象を世に生み出したのでしょうか。

今の時代からよく観察しても、意識的に歪にデザインされている個性を愛おしく感じます。

そのゾウがこの国に生まれて約60年、日本人の暮らしはきっと少しづつよくなってきて、それに伴って他人を思いやる余裕も法律も生まれてきたのだろうと思います。

昭和40年代のゾウのデザインに、当時のデザイナーが時代に託した想いを見るような気がします。

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