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#6 ホラー漫画の金字塔、伊藤潤二「うめく排水管」: 負の感情こそがエネルギー

概要:


潔癖症の美人姉妹の姉に付き纏うオタク青年が、排水管の中に潜り込んでストーキングを行う話


作品名: 
「うめく排水管」

作者: 
伊藤潤二

感想:


日野日出志の「地獄小僧」にはまった頃。「新耳袋(アトモス)」という雑誌が売ってて伊藤潤二の特集があって知ったような気がする。

伊藤潤二傑作集の8巻だったはず。

他にも好きな話はあるのですが、特に「うめく排水管」が印象的だったので語りたいです。


①ありえない。だからこそ怖いストーリー

まず普通に考えて、人間が排水管の中に入り込むことも、その中で生活することも不可能だと思います。

ただ姉妹たちは「頭蓋骨など骨を折ってでも侵入してきた」「排水管に流れる水を飲んで生きてきた」かのようなことを言って妙に納得してしまう雰囲気があります。

それは姉妹が潔癖症のような家族構成だったこと、間違いながら父を殺めてしまったことの罪悪感などの要素があったからこそ、なおさらあり得ないことなのにあり得るように感じてしまうのかもしれません。

まあ、上記の内容時点でもう怖い状況なのですけれど。


②良質のホラーの共通点、それは枯渇しないエネルギー

良質なホラーはコメディに近いという話は結構あります。
実際、楳図かずお先生も「まことちゃん」というコメディを生み出しながらも「14歳」やら「漂流教室」やら様々なホラーを作り出してきました。
実際、伊藤潤二先生は「よん&むー」というほのぼの(?)猫漫画書いてましたし。

そこに共通するのはある種の「狂気」なのかもしれません。
いつまでも笑いを作り続けることにも、怖い物語を作ることにも枯渇しないためのエネルギーが必要なんだと思います。

ただ誤解しないで欲しいのは、「狂気」は自然発生するものではなくて、何かしらの「狂気」にあたる状況に出会ったからこそ「狂気」を理解してしまうということです。
別に好きで「狂気」に当たったわけではなくて、「狂気」に当たらざるを得ない状況にいただけです。

そのきっかけは人それぞれだと思いますが、この「狂気」が少なからずエネルギーになっているところはあると思います。

よく芸術は苦しみの中からしか生まれないという話だってあります。
そして負のエネルギーが作品として昇華される。


③まとめ

ここまで書いて思ったのは、俺は負のエネルギーのやり場に困ってるのだと思います。
それが現時点では作品に反映されていない(避けている?)ところがあって、自分だけの領域が欲しいのだと思います。
先ほど話した「新耳袋(アトモス)」に伊藤潤二の伝記的な漫画が載ってます(描いているのは伊藤潤二ではない)。
雑誌の最後の項にそれを描いた人の感想があったのですが、「順風満帆すぎて漫画にするのが難しかった」的なことが書いていたのが印象的でした。
個人の生活を深掘りとかはするつもりないですが、負の感情をホラーとして出力するための力、ぜひ見習いたいと思いました。


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