今まで数々のカップルが私の目の前でイチャつきやがったけど、今まさに目の前でカップルがいちゃついている

・・・と電車の中で打ち込んでいるそのすぐそばに、横目でこの観察日記を覗き見している会社員がいるので、ここからはその会社員に向けたメッセージを、

・・・とここまで打ったところで彼は目線を背け、自分のスマホに集中しだしたし、もう見られないだろうから観察日記に戻ります。

年齢は40代前半。場所は某都営線5号車。帰宅ラッシュより1時間ほど遅いためにさほど混んでいない車内の、車椅子ゾーンの手すりに2人は腰をかけている。

電車が傾くたびに、真正面から男に寄りかかり、年相応の皺の寄った手で男の顔をベタベタと包み込む女。男はまんざらでもない様子で「なぁに？」と甘ったるい声で応える。

いちゃつき始めて5分経過。女は男の腕を自分の腰に無理やり運んできて巻きつける。もちろん男はまんざらでもないよう。今度は揺れるたびに2人が横向きに顔を近づける。ギリギリまで顔を寄せているのに、そこは理性が働いてるのかキスまではしない。

10分経過したとき、女はクリーム色のバッグからスマホを取り出して、なんと男と自撮りをし始める。幸い2人は壁を背にしているから第三者が写りこむことはない。

どうしていちゃつくカップルは周りが見えなくなってしまうんだろう。個人的には外でいちゃつくことには反対じゃないけど、たぶん2人も普段なら人の目を気にして生きてる日本人のはず。ときめいてるときはドーパミンか何かが出て、麻薬みたいに一時的に脳が阿呆になってしまうんだろうか。

というか2人はどういう関係なんだろう。よく手を見たら2人とも指輪はしていない。遅めの春ならいちゃつくのも仕方ない。不倫関係にあるなら移動も貴重な時間だろうからこれも仕方ない。女は水商売をしているようなタイプではなさそう。指輪をつけないタイプの夫婦の可能性もまぁあるが、あのラブラブぶりからしないのはまずない。

ただのカップルだとしたら私よりも先は長くないだろうし、思う存分楽しんでいただいて結構。

しょうがない。女が我を忘れていちゃつきながら私の足を踏んだことは許してやろう。

春だなぁ。