皆様がた、お初にお目にかかりますわ。暮れ子と申しますの。
　
　つい先だってよりnoteなる場所につれづれ書き散らしておりました。小説や詩文ばかり書いていようと思っていたのもつかの間、ほかの方々のnoteの記事、その実り豊かな作物を見るにつけ、つい自分も何か日記やらエッセイやらを書いていきたいと思った次第ですわ。単なる自己紹介ひとつにつきましても人みな洗練されたお書き物ばかり、拝読するたびに頭の下がる思いでございますわ。

　あらためて自己紹介と申しましてもなにかきらきらした立身出世あるいは経歴とはとんと無縁でございますの。生まれも育ちも北海道は札幌のうらさびれた住宅街の一画、お父さまお母さまの間から世紀末に産まれましたわ。気づけば四半世紀も生きながらえていまだに実家暮らしをしておりますの。笑わないでくださいまし。
　大学を出たのちは社会に出て奉公人のまねごとをしておりますわ。つまらぬ勤めにあくせくと。同年代の人たちがみな華々しい成果を上げているのを横目に、なにか己も成し遂げたいと思い立ちまして、こうしてつらつら綴っている次第。
　たとえば運命の殿方でも現れて、ガサッと落ち葉すくうようにどこかへ連れて行っては頂けないかと夢想しながら、今日もお母様に整えていただいた寝台で眠りにつく手はずですの。

　そんな運命の殿方なんていないのは、夢見る少女をとうに過ぎ、もうわかりきっていることですわ。運命を切り開く寄る辺は己ひとつ、でしたらと勢いこんでかねてより夢見ていた物書きで、どうにか世に出て見せましょうと、このnoteにもひとつふたつ、大学時代の拙作を投稿してみたところですわ。

　それにしましても読書は毒とりわけ文学は猛毒でございますから、その毒に中てられて、中学生の時分以来、中毒を深めてまいりましたわ。
　大学でも新たにまた新たに毒を取り込みしまいには自分でも毒を作ってみようとする始末、文芸サークルがございましてそこでせっせこああでもないこうでもないと試行錯誤していたものでございますわ。たった数年前ですのにだいぶ昔のことのような感触、学友の方々とも卒業来は音信は絶えて、かねてより人好きのされる性分ではありませんので、致し方ないと思っておりますわ。
　それに創作は一人きりでもできるかけがえのない趣味、年の改まったのを機にまたぽつりぽつりと何事か紡いでいる最中ですの。

　この拙文を見に来てくださっている皆様方に、せめて有意義な時間を過ごしていただく笑っていただければ、幸甚といっても過言にはございませんの。せっかくですから往時に書いた簡素な詩文、その一つでも掲げて、自己紹介の代わりとさせていただきますわ。

死にたいと思ってさ、
煙草を始めたんだ
だけど生まれてこのかた優等生で通してきたから
煙草の正しい吸い方なんてわかんなくて
口の中に煙を含んでは吐いてを繰り返してたら
「お前、ふかしてるだけじゃん」
って、
「煙草は肺で吸わなきゃだめだよ」
そんな風に言われるとこっちもへんに意地を張って
「俺はこっちの方が性に合ってる」
って、
その場はそうやって通して
ひとり隠れて別の場所で煙草をくわえて
ためしに肺にまで煙を入れてみたら
どうしようもないくらいにむせてきて
涙が出てきて
死にたいと思ってさ、

死にたいと思ってさ、
酒に狂ってしまおうとしたんだ
だけどてめえの生活さえままならない学生だから
高い酒なんてとうてい買えなくて
スーパーで売ってるいちばん安い酒を買って呑んでたら
「この酒不味いな」
って、
「うわ、これ料理酒じゃん」
そんな風に言われるとこっちも引くに引けなくなって
「俺はこっちの方が性に合ってる」
って、
その場はそうやって通して
ひとりになった時にまた新しいのを開けて
一瓶いっきに干したところで
違和感がとたんにどっと溢れてきて
反吐が出てきて
死にたいと思ってさ、

死にたいと思ってさ、
でもこんなんじゃ死んでも死にきれないなって思ってさ、
ほら、
死ぬのにも格好つけたいだろ
だからその格好がつくまでは
生きようと思ってさ。

　なんですのこれ。まったく青臭い文章でありますことね。それでも他ならぬ己の物したものには違いなく、今ここ、この力量からどうにか成りあがるしかないのですわ。ゆっくりとでも丁寧に、気持ちのいいことばを連ねていける時が来ればと夢見てますの。都合のいい殿方を待つよりずっと現実的ではなくて？

　皆様がたはもう夕餉は済ましたのかしら。こちらはお母様の手料理をいただき、のんびりとした夜にてちてちと書いておりますわ。お休みの前のジャスミンティーがありますの。ジャスミンティーは眠り誘う薬、文学の毒に犯されたこの身その俗世をひととき忘れさせてくれる良薬ですわ。皆様がたもよい夜をそして新たな一日を健やかに過ごしていけますよう、微力ながら願っておりますわ。